Salyuの「風に乗る船」の、歌詞には
ないけど聴こえるアレの正体。
Salyuの「風に乗る船」の、歌詞にはないけど聴こえるアレの正体。
歌詞には、“命”というキーワードは存在しない。
歌詞が描くストーリーを、彼女の歌声の素晴らしさと共に読み解いてみよう。
なぜなら、明確にされていない曲のテーマを見事に歌で表現しているからだ。
兎にも角にもまずは、彼女の歌声をぜひ聞いて欲しい。衝撃をうけるはずだ。
この曲のテーマは“命”だ。
彼女の歌を聴けば、“命”は歌に乗って聴き手の心に感情となって響いてくる。しかし、それはあくまで響き。
Salyu自身が、物事の終わりをネガティブに捉えない心持ちなのもあるだろう。
その想いをSalyuは歌声で、まさに雨上がりの後の「虹」を見たときの様な。
死と言っても“人の死”として、直接的に描かないのは、“死”を“人が亡くなる”という解釈だけにしないように。
“死”=“物事の終わり”と捉えてもらう事で、“終わり”は様々な“希望の始まり”に繋がる。
「あの日の出会い」が意味するのは、母親と初めて対面した日。そう、誕生の瞬間だ。
「くすぐるようなオーラを放つ」が、その誕生と出会いの喜びを絶妙に表現している。
なんだか、ちょっと恥ずかしいようで出会えた事がただただ嬉しく幸福でしかない。
そして、「誰かのために生きていること」の意味を知るころ。
https://utaten.com/lyric/jb20811192
「やっといえるかな積もる時間に」という一説には、出会いと別れの中で育まれた様々な感情を昇華する事にかかった時間。
人が何かと出会い最期を迎える時間の中には、必ずネガティブな出来事がある。
「ありがとう」と、抱えた苦しみを許すことができた時。すでに、そこには新しい時間が生まれている。
やがて、その「ありがとう」は、新しい時間に変わらずに在る存在へ向けられるのだ。
そして、苦しかったはずの「積もる時間」は「ありがとう」と共に新芽を咲かせ、幸せが実っていくのだ。
https://utaten.com/lyric/jb20811192
人の時間には、限りがある。人の命に限りがあるように。
時間は、命を運んでいく。その「長い時」の先には「あたしがここで生きていた事」すらも消してしまう。
まるで「大きな輪」を廻るように、命は始まりと終わりを巡り、自分以外も消えていくのだ。人も出来事も。
終わりとは、あったものが失くなる事で、無くならなければ続いた未来も無くなる事だ。
しかし、今は見えない未来にも風は吹いている。それだけは確実なのだから、“自分の命”を舵にして、“人生”という風に乗る船を進める。
乗組員は、巡りあった全ての命。
歌から聴こえる“命”の正体は…
Salyuは、歌い続ける命の中で、幾度となく古いスタイルを脱ぎ新しいスタイルへと変化を求めた。
だからこそ『風に乗る船』に”命”というキーワードがなくとも、Salyuの歌声からは“命”が聴こえるのだ。
TEXT 後藤 かなこ
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