【THE CHERRY COKE$ インタビュー】
バンドの力強さやタフさ、
しぶとさが詰まった一枚

L→R LF(Ba)、MUTSUMI(Accordion)、KAT$UO(Vo)、TOSHI(Dr)、suzuyo(A.Sax,T.Whistle)、MASAYA(Gu)

今年20周年を迎えたジャパニーズ・ナンバー1・アイリッシュパンクバンド、THE CHERRY COKE$。記念すべき年に到着した最新アルバム『OLDFOX』は、ここまでの荒波や未知への航海、紆余曲折や試行錯誤、自問自答の末に手に入れた珠玉の魅力や本質が集約された渾身の一枚に!

バラエティーに富みつつ、
バランスも非常に良い

今作を初聴して、ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」を想起しました。あのアトラクションはいろいろな国を1周して、また大団円的に帰ってくる。しかも、ベースとなる1曲を各国の風土を交え各場面で伝えていて、その辺りがアイリッシュパンクを基調にさまざな音楽性を今まで以上にブレンドさせている今作と重なったんです。

MASAYA

おおっ! ちょっと確信を突くのが早すぎですよ。嬉しいですけど、正解すぎて、それでインタビューが終わっちゃう(笑)。

KAT$UO

それはいわゆる“バラエティーに富んでいる”って解釈でいいですよね? であれば、まさにおっしゃってくださった通りです。これまでもバラエティーの豊かさを意識して作品ごとに制作をしてはきましたけど…特にMASAYAはその辺り毎度常に念頭に入れてくれていたし。そんな中、今回は自分たちでもトータル的にバラエティーに富みつつ、バランスも非常に良いと感じています。それこそまさに「イッツ・ア・スモールワールド」ですよ。

TOSHI

その辺りは曲順も関係しているかもしれませんね。メンバー全員で決めていった分、意味のある流れや大きな物語が作れただろうから。これまで以上にドラマチックになった印象は自分たち的にもありますし。激しいんだけど、ちょっと泣ける…みたいな。その激しさをやさしさや楽しさに置き変えると、まさにおっしゃった通り「イッツ・ア・スモールワールド」な作品かなと(笑)。

あまりに連呼されると、ある種、合わせてもらっているようにも感じられるので、「イッツ・ア・スモールワールド」の例えはこの辺りで勘弁してください(笑)。

MASAYA

あははは。とはいえ、今回はアコギもあるし、バラードやポップな曲もあったりと、ちょっとバラエティーに富みすぎた懸念も生まれたぐらいで。結果、“今までのようなパンチのある曲が足りないんじゃないか”という話になって、慌てて作ったのが1曲目の「火華~HIBANA~」なんです。それこそこの曲はレコーディングの1週間前に作り出しましたから(笑)。

「火華~HIBANA~」はバシッとしたパンチの効いた、今のTHE CHERRY COKE$らしい曲ですもんね。

MASAYA

自分たちの本質にいろいろなものを詰め込んだかのような楽曲になったかなって。それで今作のバランスも一気に引き締りましたから。

今回のそのバランスの中でも目立ったのが重さと軽さのコントラストでした。これまでのTHE CHERRY COKE$のメリハリはわりと激しさと緩やかさ、速さとミディアムさにコントラストが頼られていたのに対し、今作ではそれ以外のファクターも確実に加わっているというか。

MASAYA

それは意識的です。今作では特にその辺りとことんやってみました。軽くポップなものはとことん軽くポップにって。「Of Music」なんてまさにそんな感じの曲ですからね。

この曲には驚きました。ここまでポップな曲をやってしまって大丈夫なのかとの危惧もありました。

MASAYA

この曲に関しては反応や印象は関係なく、振り切ってみました。その結果、今までになかった要素が呼び込めたし、より全体的な幅やバランスも取れました。対照的に激しい曲も映えるようになったし。あとは、全体的にアコギの起用も良かったのかなって。

そうなんですよ! アコギが全体的にどの曲にも隠し味的に入っていたのも耳を惹きました。

MASAYA

あえて激しい曲でも入れたりしてますからね。それも手伝って、全体的に耳障りはかなり良くなったんじゃないかなって。年齢的なところもあるのかな。今、妙にしっくりくるんですよね、あのアコギの枯れた感じとかが。最近では“アコギこそ暴力的だ”と感じられるようになってます。

アーティスト