【清春 ライヴレポート】
『東京・大阪ホール公演
『Covers』』
2019年8月13日
at メルパルクホール東京
8月13日 at メルパルクホール東京
アルバム『Covers』収録曲中心のライヴではなくなったとはいえ、そこはデビューして25年間、ソロになってからでも15年間のキャリアを誇るシンガーであるからして、その内容がチグハグになることは絶対にない。清春のコンサートは基本的に清春が自身の歌声、ヴォイスパフォーマンスを見せつけるもの。極端な話、ステージの中心で清春が歌えばそれでいいし、それ以外の何物でもないのだ。中盤の「シャレード」から「影絵」辺りを聴きながら、そんなことを思った。その歌唱力、表現力は圧倒的で、いい意味で安心して見てられるのだ。しかも、だからと言って、弛緩した空気は一切なく、キリキリとするような緊張感は持続していく。自作のメロディーやバンドサウンドの妙で攻めるアーティストがほとんどの中、歌声の説得力で迫る清春は今やロックシーンでは稀有な存在と言えるのかもしれないし、ある意味で孤立しているのかもしれないが、だとしたら、それこそが清春らしい。
3曲しか披露されなかったとは言っても、『Covers』収録曲も良かった。「悲しみジョニー」も「SAKURA」もアルバムのリリースを期待させるに十分な熱演であったことは間違いないが、特にアンコールでの「傘がない」に清春の核心を見た想いだ。井上陽水のオリジナルとは明らかに異なるニュアンスで、哲学的とも言われる歌詞に新たな解釈を加えているような印象があり、この日のハイライトのひとつと言っても過言ではなかろう。
ステージ上では清春の歌が中心とは言っても、この日のバンドメンバーを軽んじているわけではない。中村佳嗣(Gu)、大橋英之(Gu)、YUTARO(Ba)、FUYU(Dr)による演奏も、すこぶる良かったことも付け加えておきたい。卓越した技術をひけらかすことなく、歌を支えるグルーブをある種、淡々と(黙々と…と言い換えてもいい)作り上げる様子は職人技と言っていいものだったと思う。
撮影:柏田芳敬/取材:帆苅智之
アーティスト
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