【MIYAVI インタビュー】
日本語で歌うことが、
自分自身のアイデンティティーに
つながっていく
MIYAVI
国境も音楽ジャンルも超え、世界中のプレイヤー、ミュージシャンたちとのセッションを挑み続けているアーティスト、MIYAVI。昨年12月に発売した『SAMURAI SESSIONS Vol.3』からわずか半年という短いインターバルで、今度は待望のオリジナルアルバム『NO SLEEP TILL TOKYO』がリリースされる。
歌うことを初めて抵抗なく楽しめた
3年振りのオリジナルアルバム『NO SLEEP TILL TOKYO』。このタイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか?
“東京に辿り着くまで眠らない”ですかね。もともとはBeastie Boysの「No Sleep Till Brooklyn」から来てるんですけど、意味合いはあの曲とは違いますが、日本人として日本で育った自分が海外で過ごすことによって、また違う角度で日本を見れるようになってきたというか、単純に外国人が日本へ来て“日本、最高!”って言ってるのが、逆に分かるようになってきたというか、日本のいい部分、日本という国が持っている素晴らしい面を改めて再確認している最中です。それは日本語詞というものも含めて。
ほとんどの収録曲に日本語の歌詞が含まれていますね。
そうですね。それは…ギタリストとしてずっと“ギターで歌いたい”と思って、スラップでバッサバッサ斬ってきて、『WHAT'S MY NAME?』(2010年発表)というアルバムを作り、またアメリカに渡って『Fire Bird』(2016年発表)というアルバムを作って、そこから“ギターで歌う=ギターでメロディーを奏でる”というところに焦点を当ててやってきたんですけれども、ここに来て“自分の声を武器にする”ことを意識しました。もともと僕は自分の声であったり、ヴォーカリストとしての自分のファンではないんですけど、MIYAVIの作品を聴いてくれている人たちにとっては声も作品の一部ではあるから、今回、自分の想いを言葉に乗せて届けたいということで歌ってみました。で、歌詞を作っていく中で、英語でのフレキシビリティーというか、英語でのやりやすさがある域に達したところもあって、日本語も歌詞の選択肢のひとつとして持てるようになってきたというのも大きいですね。
なるほど。今作はいろんな意味での再発見が含まれている感じですか?
ええ。自分自身の再発見でもありますし、“日本、いいじゃん!”っていう部分も大きいです。今、グローバルな音楽シーンの中で、ローカルのランゲージが鳴ってきている。スパニッシュにしても、コリアンにしてもそう。そこも時代の大きな流れとして意識したところではあります。要するに、サウンドクオリティーさえグローバルで、世界のマーケットを見ていれば、言葉は関係なくなってきている。“音楽は国境を超える”と言いますけど、やっぱり言葉の壁って大きいじゃないですか。でも、今、そのダイバーシティというか、多様性に対する寛容さが音楽だけじゃなく、映画の『ブラックパンサー』や『クレイジー・リッチ!』もそうですけど、どんどんその垣根が壊されていっているのを感じていて、今のタイミングで自分が日本語で歌うことが、自分がスラップをしたことと同じように、自分自身のアイデンティティーにつながっていく時代に来てるんじゃないかなと。そうしたことを含めて、“NO SLEEP TILL TOKYO”というタイトルにしました。
アーティスト
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