【古市コータロー ライヴレポート】
『古市コータロー
SOLO BAND TOUR “東京”』
2019年6月9日 at 東京キネマ倶楽部
2019年6月9日 at 東京キネマ倶楽部
愛にあふれ、ロマンに満ちた、大人の色気香るひと時。らせん階段にドレープカーテン、弧を描く2階のフロアー…レトロモダンな造りの東京キネマ倶楽部に(そう。この会場の名称には“東京”と付いている)、ギブソンES-335を抱いて煙草を燻らす姿が似合うのなんの! そして、時折見せる少年のような微笑みと、その歌声とギタープレイに表れている55年間の人生の背景と経験値の素敵なギャップ。ステージ上の古市コータローの所作に、“カッコ付けない大人はなんとカッコ良いことか!”としみじみ。
1曲目に披露された「かわいた世界に」からもう、コータローのソロの深い味わいがじんわりと染みてくる。そして、続く「愛に疲れて」は盟友であり今作のプロデューサーでもある浅田信一とのタッグの魅力が、そこはかとない不良の匂いとともにふたりの鳴らすギターからストレートに伝わってきて、思わず感涙。また、「ホンキートンクタウン」では浅田のギターソロにコータローが拍手を贈るという微笑ましいシーンも。
ライヴで聴いて改めて、曽我部恵一がコータローにこの歌詞を歌わせたかった理由がよく分かった「ROCKが優しく流れていた」の蒼い夢。切ないやさしさを醸し出していた「Baby Moon」。今作のテーマだった“シティポップ”全開の「シティライツセレナーデ」で聴かせたルーツの新たな開花。バラードナンバー「夏が過ぎてゆく」の風通しの良さ。…歌い奏でられる楽曲の一曲一曲で余韻を感じさせてくれるというのもまた、音楽に対する、ファンに対する彼の想いの表れだろう。
そして、シークレットゲストとのコラボで観せた、いち音楽ファンとしての喜びがとめどもなくあふれ出た笑顔の輝きといったら! 彼のギターヒーローのひとりである内海利勝とキャロルのカバー「コーヒーショップの女の娘」と、ともにテレキャスターを鳴らしての「そんなに悲しくなんてないのさ」の2曲を共演。アンコールの「Song Like You」では、ウエノコウジをベースに愛息の古市健太をドラムスに迎え、フレッシュで若々しいパワーポップを炸裂させた。コータロー自身だけではなく、この日ここに集まった全ての人にとってのかけがえのない瞬間になったであろうことは想像に難しくない。
“あなた、ロマンチストですね。ロマンチックが止まんない…って感じ(笑)”ーーこれは内海利勝がステージ上でコータローに向けて贈った言葉。本当にその通りだと思う。予定外のダブルアンコールで“失礼しまーす”と言いながらステージに現れた時の照れ臭そうな表情には、シャイでロマンチストな“人間・古市コータロー”が滲み出ていたから。
撮影:岩﨑真子/取材:竹内美保
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