<MACROSS CROSSOVER LIVE 2019>、
時空を超えた熱狂のステージ
◆ ◆ ◆
6年ぶりに開催された<MACROSS CROSSOVER LIVE>。映画のようなオープニング映像が流れ、そこにこの日出演するアーティストの名前が映し出されていく。そしてそのメインスクリーンが左右に開き登場したのは、飯島真理と福山芳樹だ。09年の<MACROSS CROSSOVER LIVE>時に飯島真理が作った超時空アンセム「息をしてる 感じている」を、飯島はキーボードを、福山はアコースティックギターを弾きながら、今宵限りのアコースティックバージョンで届けていく。
柔らかい光に包まれながら、スペシャルな時間の始まりを告げると、『超時空要塞マクロス』1話アバン映像が流れる。再び登場した飯島真理は、リン・ミンメイの映像やキャラクターデザイン美樹本晴彦が描いたミンメイのイラストが映し出されるスクリーンをバックに、「私の彼はパイロット」「0-G Love」「SUNSET BEACH」をメドレーで歌う。いずれも羽田健太郎氏の手がけた楽曲だが、そのポップさは、時を超えても輝き続けていた。これらの曲を生バンドの演奏で聴ける喜びももちろん大きかった。そして「本当に可愛いミンメイが見られる曲です」と言って歌ったのは、彼女自身が作った「天使の絵の具」だ。OVA『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』で描かれたミンメイのライブシーンがバックに流れたが、実際に飯島真理が歌っている姿と重なって見える。さらに「この曲はいつも、初めて歌う気持ちで歌っています」と言って始まったのが、シリーズを代表する名曲「愛・おぼえていますか」。作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦で、手がけた2人共、もうこの世にはいない。飯島もこの曲を歌うときは「いつもそばに居てくれている気がします」と話していたが、本当にひと言ひと言、大切に歌っているのが伝わってきた。映像も劇場版のクライマックスを5つのスクリーンいっぱいに映すという演出で迫力がすごかったし、「みんな歌って」という彼女の言葉で起こった大合唱も素晴らしかった。
MCでは、「“サヨナラノツバサ”を生バンドでやるのは初めて、リリースから8年経ってお届けさせていただくことができました」とMay'nが語ると、これをライブで歌うことはないからレコーディング、頑張って!と菅野よう子に言われたというエピソードを2人で楽しそうに話す。そして、10代から共に歩んできた2人が、お互いの気持ちを吐露しあったあと、中島愛が「『マクロスF』の単独ライブが、いつかできたらいいなと思います! それが今の夢です」と宣言。May'nが「言うねぇ。悪い子だ」と笑顔で応える。そんな絆を感じるやり取りのあと、最後の曲「Get it on~光速クライmax」のコール&レスポンスで、会場をひとつにしてステージを締めくくる。
間髪入れず『マクロスΔ』から戦術音楽ユニット”ワルキューレ”のOPムービーが流れる。“Welcome to Walküre World!”で5人のシルエットが現れての「恋! ハレイション THE WAR」。横浜アリーナの3rdライブの興奮がよみがえるようなオープニングだ。『マクロス』シリーズのファンが集まる会場で、5人のハーモニーの素晴らしさ、カッコよさを見せつける。作品的に一番新しい歌姫でもあるワルキューレは、シリーズ初のボーカルユニットであり、5人でハーモニーを奏で、フォーメーションダンスをするというライブユニットであることが強みだろう。今回のステージでも、5人の動きから目が離せなかった。
5人の和気あいあいとしたMCのあと、アニメのOP映像と共に「一度だけの恋なら」を歌うと、後期OPテーマ「絶対零度θノヴァティック」へと続く。5人のパートが目まぐるしく入れ替わり、それぞれのボーカルの個性を感じると共に、複雑なコーラスワークで音に厚みを加えていく、まさにワルキューレの真骨頂を見せつけた楽曲で圧倒すると、5人が長い花道に広がって歌った「破滅の純情」では、ワルキューレのエースでもあるJUNNAが圧倒的な歌唱力を武器に躍動する! そのままセンターステージに辿り着くと、サプライズで、制作中の完全新作劇場版のタイトルを発表! スクリーンに映された『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の文字。「!」マークが6つあることに引っかかったメンバーが、センターステージの目の前でライブを見ていた河森正治監督に「どういうことですか?」と公開質問をするという一幕も。河森監督は、大きな声で「見てのお楽しみです!」と答えて会場を湧かせていた。監督がこのワルキューレのステージを見て感じたことは、きっと劇場版に反映されることだろう。
「マクロスの一員になれて幸せです。マクロスが100年以上続くように、『マクロスΔ』、引っ張っていきたいと思ってますので、ワルキューレの応援をお願いします。みんなマクロスは好きですか? その大好きな気持ちをぶつけてください! 準備はいいんかね?」といつも振りからの「ルンがピカッと光ったら」へ。ここで、鈴木みのりが煽りの才能をいかんなく発揮。この日のライブのはじけっぷりは凄まじかったが、花道を全力で往復しながら歌ったりと、こちらもワルキューレのエースとして躍動していた。最後は「ゴリゴリアタック!」とみんなで叫んでフィナーレ。
アンコールでは、時空を超えたクロスオーバーライブが実現。チエカジウラと中島愛による「アイモ~鳥のひと」は、チエカジウラのすべてを包み込む大きく美しい歌声と中島愛の心を安らかにしてくれる癒やしの歌声の調和が素晴らしかった。そしてMay'nとワルキューレによる「いけないボーダーライン」。やはり『マクロスΔ』の曲は否応無しにライブで盛り上がる楽曲だ。観客も最後の力を振り絞り、声を上げてライブを楽しんでいた。
そしていよいよ、本当の最後の曲となる。土井美加(早瀬未沙役)のナレーションで、この日の出演キャラクターの名前を読み上げていく感動的な演出。そして飯島真理がセンターステージに現れる。「今日は、『マクロス』に素晴らしい楽曲たちを書いてくださった羽田健太郎さんの13回目のご命日です。なので今日は出演者全員、心を込めてこの曲を天国のハネケンさんに届けたいと思います」と言って歌われたのは『超時空要塞マクロス』のエンディングテーマ「ランナー」。この日の出演者全員で歌を繋いでいくなか、スクリーンには、テレビ版のエンディングを思い出させるフォトアルバムをめくっていく実写映像が流れる。そこには『マクロス』シリーズそれぞれのイラストが写真のように貼られていて、最後のページをめくると羽田健太郎氏の笑顔の写真がある……。時は流れていくけれど、『マクロス』シリーズが続く限り、歌たちは歌い継がれていくのだろう。その尊さを感じながら、多くの感動を生んだ<MACROSS CROSSOVER LIVE 2019>は幕を下ろした。
取材・文◎塚越淳一
撮影◎岩本 剛(チエカジウラ 撮影)木村泰之、荒金大介(その他アーティスト 撮影)
◆ ◆ ◆
■<SANKYO presents MACROSS CROSSOVER LIVE 2019 at 幕張メッセ>2019年6月2日(日)千葉・幕張メッセ 国際展示場 1-3ホール セットリスト
1. 息をしてる 感じている
2. メドレー:私の彼はパイロット〜0-G Love〜SUNSET BEACH
3. 天使の絵の具
4. 愛・おぼえていますか
5. 突撃ラブハート
6. バージンストーリー
7. Remember 16
8. LOVE SONG
9. 君に届け
10. PILLOW DREAM
11. ANGEL VOICE
12. MY FRIENDS
13. プラネットダンス
14. もういちどLove You
~20分休憩タイム~
15. Welcome To My Fanclub’s Night!
16. 射手座☆午後九時Don’t be late
17. 星間飛行
18. What ‘bout my star? @Formo
19. good job!
20. 放課後オーバーフロウ
21. 娘々Final Attack フロンティアグレイテスト☆ヒッツ
22. サヨナラノツバサ~the end of triangle
23. Get it on~光速クライmax
24. 恋! ハレイションTHE WAR
25. 一度だけの恋なら
26. 絶対零度θノヴァティック
27. 破滅の純情
28. ワルキューレは裏切らない
29. ワルキューレがとまらない
30. ルンがピカッと光ったら
31. トライアングラー
~アンコール~
32. アイモ
33. いけないボーダーライン
34. ランナー
出演:飯島真理(リン・ミンメイ)、福山芳樹(熱気バサラ)、チエカジウラ(ミレーヌ・F・ジーナス)、May'n(シェリル・ノーム)、中島愛(ランカ・リー)、戦術音楽ユニット“ワルキューレ” are 美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見
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