広島市現代美術館で特別展『山口啓介
後ろむきに前に歩く』 新作の大型
絵画3点を含む約120点を展示

特別展『山口啓介 後ろむきに前に歩く』が、2019年6月8日(土)~9月4日(水)まで、広島市現代美術館にて開催される。
美術家・山口啓介(1962-)は1980年代後半、方舟を描いた大型の銅版画作品でデビューし、一躍注目を浴びた。以後は版画にとどまらず、花や種子、心臓、人体とモチーフを変化させながら、絵画や立体などさまざまなかたちで作品を生みだしている。
一方、東日本大震災が起きた3日後、2011年3月14日から山口は、後に《震災後ノート》と名付けることになる「日記」をつけはじめ、今日まで1日も欠かさず書きつづけてきた。原子力発電にまつわる情報を中心にした日々のニュースがひたすら書き写されるそのノートは、現実の流れに抗して自分の足で歩こうとする山口の意志の現れといえるだろう。
「人は未来を見ることはできず、見えるのは過去か、今という瞬間だけだから、後ろむきに前に進んでいるようなものだ」。そう語る山口は現在、重なる顔をモチーフにした大型絵画の制作に力を注ぎ、いよいよ力強いイメージを実現している。
今回の展覧会は、山口の3年ぶりの回顧展となり、新作の大型絵画3点を含む約120点の作品を展示。また、アーティストトークや対談、ワークショップなども開催される。

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