あなたが、楽しく生きられますように
―大森靖子 新作へ込めた願い
あなたが、楽しく生きられますように―大森靖子 新作へ込めた願い
ぜひお楽しみください!それでは本編へ。
メジャーデビュー5周年をむかえて
──私が大森さんをはじめて知ったのは、二宮ユーキさんが撮影したインディーズ時代のライブ映像を見たときです。当時は色々あって、自己肯定感がウエハース並みに脆かったのですが……。
──外側の方です。
──それくらい脆かったものが、大森さんのライブ映像をただ眺めているだけで、どうしてかはわからないながらもすごく伝わってくるものがあり、ウエハースが焼き豚みたいになりました。
──あらためまして、メジャーデビュー5周年、おめでとうございます!
──まずは、この5年間で「これは最高だったな」というエピソードを教えていただけますか?
──「ビバラポップ!」では、大森さんとアイドルの方たちがコラボレーションライブを展開していましたね。
そして今、アイドルが色んなフェスに出演する流れになってきて、「何がやりつくされていて、逆にどういったことがやられていないか?」という考えを巡らせることがあって。
──ありがとうございます。逆に「こんな思いはもうしたくないなぁ…」というところはありますか?
──炎上しやすいところだけ切り取られちゃったりするじゃないですか。
最愛の人=道重さゆみとのコラボレーションは、“さいこー”のお祝い!
──今回、道重さゆみさんとのコラボレーションは、「超歌手5周年ハンドメイドミラクル5!」企画の第1弾とのことですが、どのようなスタート地点からはじまったのでしょうか?
それで、「さいこー!なんていい会社!」と思いました。
──大森さんといえば、「ただのおりこうさんではない」という印象をお持ちの方も多いと思います。日ごろ、エイベックスさんとケンカをすることもあるのでしょうか?
──そうですよね。変なことを聞いて申し訳ありません……。
──「転職に誘ってくれた先輩がいなくなっちゃった」みたいなこと、周りでもよく聞きます(笑)
──大森さんの身にもそういうことが起きていたなんて、親近感が持てるような気がします!また、他の企画も進行中かと思いますが、今言える範囲で、こんな感じだよー!というところを教えていただけますか?
──盛りだくさんですね。楽しみにお待ちしています!
「絶対彼女 feat. 道重さゆみ」。インディーズ時代から、変わったフレーズは?
──ここからは、3月13日にリリースする「絶対彼女 feat. 道重さゆみ」についてお聞きしていきますね。まずは歌詞についてですが、インディーズ時代から変わっている部分がありますよね。たとえば、サビ前の歌詞が「ナチュラルに生きて好かれたい そんなのあたりまえ前提 ファビュラスマットなガチ赤リップも これが私 きらめくの」と。
その後、「ファビュラスマットな~」の部分は、道重さんのリップに合うような、小さい「っ」が多い感じにするなどの工夫をして、リズムのいい言葉を組み合わせました。
編集注※ ファビュラス(英:fabulous)とは…一般的には、伝説的な/物語に出てくるような/途方もない/ものすごいという意味で用いられる。
──たしかに、日常で使う単語ではないかもしれません。どうしてその単語が浮かび上がってきたのでしょうか?
──そのストーリー、共感するところがあります!
──そんなエピソードがあったんですね…!それから、道重さんが歌う「絶対女の子がいいな」の語尾をしゃくり上げるところなんかに、道重さんらしさが出ていますよね。
──道重さんを愛する大森さんならではのリクエストですね!また、全体を通して、道重さんの声も加工されていて、電子音も使われている中で、大森さんの歌声自体は、素の優しさが出ています。
ただ、それに私が合わせてしまうと、道重さんほどの加工強さがないんですね。なので、そういう感じになったのかなと思います。
あなたのこうしたい/こうなりたいを失う機会がなくなりますように
──今回のリリースを発表した1月20日のLINE LIVE配信では、「道重さんの“圧倒的かわいい”と、大森さんの“アンダーグラウンドな手数かわいい”が混ざり合う曲になっている」と仰っていましたね。
──それに対して、大森さんのかわいいはどういったものでしょうか?
──「かわいい」の出発点が両極端なおふたりでいらっしゃる。
でも、道重さんと私の両極端なところから言うことで、二つの極限からのかわいいを見せられるので。
「かわいい」のベクトルは真逆なのに、同じことを言うことで、新しい説得力が生まれると思います。
──リスナーさんの中には「とはいえ、靖子ちゃんも道重さんも人前に出る職業だし…普通の私が、自分をかわいいって言ったら変なのでは?」と、苦しんでいる方もいると思うんです。そんな方たちが今この瞬間からかわいく生きたい場合、どのような言葉を掛けますか?
──つい自分を否定してしまうことってあります。
──なるほど。「かわいい」というテーマのみならず、そういった視点からも作られているんですね。
でも、絶対にできることを、できないのほうに合わせさせておいたほうが波風立たないから、できないのほうに合わせさせるパターンってすごい社会の中で多いなーって感じることがあって。
──大森さんの著作「超歌手(毎日新聞出版)」でも仰っていたような、「超エグい基本的人権の否定」ですよね。
──そっちの方が無難にまとまるのでしょうね。
だってひとりひとり違うんだから。
──むしろ、はみ出す部分にこそ、人のかわいらしさが出たりしますよね。
情報が短い文章になって、単純化して、消費され、簡単な共感をしていく…っていうリズムになっていくと。
──ロックアーティストが「みんな踊ってー!」と同じダンスをすることを煽るのもそういう感じじゃないかなって思ってて。
──世の中の“正解”にあてはめていくことで、世間には認められても、本当の自分が消えてしまうんですね。
そうじゃなかった自分の気持ちを自分から減らしちゃうのはもったいないなーって。
──たしかに、その時の感情にピッタリくる言葉を歌われると、「この歌、私のことを歌っている!」って盲目的になることもよくありました。
簡単に「自分はこういう人間だ」「こう思っている」っていうのを決めなくていいなぁと思います。
「これも、これも、これも」って選び取るものが多ければ多い方がいいし。
──大森さんが時々「子供を産んだからって女は母親という生き物に変わるわけではない」とおっしゃっていて、すごく勇気づけられるなって思います。
「女は自動的に母親っていう生き物になるわけじゃない」と言っているだけなのに、「いつまでも自分だけが可愛い母親が虐待をするんじゃん!!」みたいな叩きを受けたりとかもするんです。
「いやいや、それって極論じゃん?そんなことは言ってなくねえ!?もっとほかにも、バランスとかいっぱいあるじゃん!」って。
──両方あってこそですもんね。
アーティストに限らず、政治家の方とかでも、ここだけ抜き出したら意味変わるよね、みたいな部分だけを抜き出して書かれてしまうこともありますよね。いや、全文(笑)って思います。全文読まないと無理じゃないですか。そのために時間費やして生きているわけだから。
──そこまでみんな余裕がないのかもしれませんね。
というのも、弾き語りというのは、「その瞬間に飽きられると終わり」なので、一曲を全部聴いてもらったらやっと意味がわかるようじゃ遅いっていうか。音数も少ないし、必ずしも、曲自体を楽しめるものがあるわけじゃないし。
──「飽きられた終わり」の緊張感をもっているからこそ、目が離せないライブになるのかもしれませんね。
「自分じゃダメかな」「今日の自分はだめだな」と思った時に聴いてもらえたら
──次は、2曲目「LOW hAPPYENDROLL--少女のままで死ぬfeat.平賀さち枝--」についても教えてください。先日、吉田豪さんのSHOWROOM配信へゲスト出演されていた際は、女性シンガーソングライターとして、平賀さち枝さんのことを一方的に意識していたとも仰っていましたが、実際に楽曲でご一緒してみて、いかがでしたか?
──なるほど、監督からのオファーでコラボレーションが決まったんですね。
──そんな平賀さんと、今回は一緒に作詞されたんですね。
──大森さんが特にこだわりを詰め込んだ歌詞はありますか?
──また、3曲目の「VOID(シン・ガイアズver.)」は2018年リリースの「クソカワPARTY -銀茜宴"シルバニアフェス"-」収録バージョンとは違ったものになっていますね。体が勝手に踊り出しそうになります!
──それぞれ個性の際立った3曲ですが、大森さんが「ここから聴いてほしい!」というところはありますか?
──ありがとうございました!最後に、インディーズ時代から応援している方や、メジャーデビューで知った方、これから大森さんを知る方たちへ一言お願いいたします!
Photo 片山 拓
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