Taylor新シェイプGrand Pacific登場
、山野楽器が海外ブランド新製品を多
数披露
■テイラーの「The Next Chapter」、新シェイプ「Grand Pacific」登場
テイラーの新製品の目玉は、NAMM Showでも大きな注目を集めた新シェイプ「Grand Pacific」(GP)。テイラーのマスタビルダー、アンディ・パワーズ氏によって発案され、昨年発表されたV-Classブレーシングの第二章の幕開けだ。
V-Classブレーシングは、ギターのトップに150年にわたり採用されてきたXブレーシングに代わる、まったく新しい考え方で作られたブレーシング(ギター内部の板の裏に張ってある骨組み)。ボリュームをかせぐための「柔軟性」、弦のテンションに耐え、サスティンをもたらすための「強度」、この2つの相反する要素のバランスをとることができるデザインが特徴だ。サスティンがよくなったこと、音のイントネーションがよくなったこと、ボリュームが大きくなり音が遠くに届くようになったことなどが利点としてあげられる。
このV-Classブレーシングを採用したモデルの評価は非常に高く、昨年多くの賞を獲得。市場の反応もよく、昨年アメリカで発売された500ドル以上のギターのトップ20のうち17モデルがテイラー製品で、そのうち6モデルがV-Classのギターになっているという。昨年、テイラーの中でも最もポピュラーなボディシェイプであるGrand Auditorium(GA)のアメリカ製300 Series以上のモデルはすべてV-Classに切り替えられている。このV-ClassのGAシェイプの発表が第一章だとすると、今回のGrand Pacificは「第二章」(The Next Chapter)にあたると紹介された。
Grand Pacificを作るにあたりアンディ・パワーズ氏がやりたかったことは、まったく新しい解釈のドレッドノートを作ること。今まである音をもう一度作り直すことには興味がなく、新しい解釈で、みんなが求めている、みんなが知らない音を提供したいということだったという。そんなGrand Pacificのサウンドの特徴として挙げられたのが以下の4つ。
・まったく新しいデザインのラウンドショルダーのドレッドノート。
・ドレッドノートのカテゴリーでは非常に新しい音、ユニークな音
・暖かい音、すでに弾き込んだギターの音
・テイラーのギターの音としても新しい音
中でもテイラーが大事にしているのが最後のポイント。「今まで『テイラーのギターはああいうカテゴリの音だよね』と興味を持たなかったお客様に絶対持っていただくという自信を持ってお届けできるギターです」と説明がなされた。
また、Grand Pacificをチューニングする際に重視したポイントも説明。「ドレッドノートは非常に低音が出るし、弾いていて気持ちがいい。ただ、マイクを立てる場所によっては非常にブーミーになって、ローエンドがじゃまになる場面がいっぱい出てきます。とにかくローエンドをしっかりコントロールできる音のチューニングをしたい。Grand Pacificは非常にパワフルなローエンドを持っているが、同時に非常にクリアです。非常に“使える”ローエンドが出るのが、このGrand Pacificの音の特徴としては一番強い部分」「音のバランスもとてもいい。ローエンドだけではなく高音まで非常にバランスのとれた全体の音域を持っています。いろんなスタイルにオールラウンドに使えるギター。ドレッドノート特有の音色を持ちながらも、いろんなスタイルに向いていると考えています。」
Grand Pacificシェイプの最初のモデルとして出るのは、300シリーズ、500シリーズ、700シリーズから各1機種の計3機種で、型番の末尾が「7」となる。全モデルでピックアップありとなしの両方をラインナップ。カッタウェイなしのモデルしか出さないということも発表されている。
300シリーズの「317」は、シェイプだけが従来と異なるモデルで、その他の仕様はスタンダードモデルと同じ。500シリーズの「517」、700シリーズの「717」はBuilder's Editionとなり、既存のモデルとは仕様が異なる。「517」はバック&サイドがマホガニー、トップがトレファイド加工(いわゆるロースト処理)されたシトカ・スプルース。「717」はバック&サイドがローズウッド、トップが同じくトレファイド・シトカ・スプルース。
「Builder's Edition」は、昨年のコアモデルから登場したもので、アンディ・パワーズ氏が、スタンダードモデルに対してこのフィーチャーを加えることで持ち心地や弾き心地がよくなるだろうという特別な仕様を加えたもの。今回の「517」「717」では、すべてのエッジが面取りされ丸くなっているほか、服がこすれても音がしないサイレント・サテン・フィニッシュが採用されている。また、ネックのシェイプも新しくなった。1~5フレットの間はソフトVの形状、ボディに近くなるに従ってCシェイプに移っていくという、コンパウンド・ネックを採用している。トップに関しては、ナチュラルとサンバーストが選択可能だ。
Grand Pacific実機の演奏によるデモンストレーションの前に、アンディ・パワーズ氏がこのギターをデザインした動機が語られた。「アンディはギタービルダーとしてだけでなく、プレイヤーとしても非常に優秀で、小さい時からアメリカのブルーグラスをはじめ創成期の音楽を好んで聴いていました。その頃に聴いた音は倍音が複雑だが、非常にクリアでした。その音が出るギターをアンディは作りたかったのです。」
続いて、「テイラーのギターの音は、非常にクリアで鮮明ということで知られている」とし、その音を代表するギターとして「814」でコードを演奏。そのコードの音は、「ピアノのように一つ一つの音が分散して聴こえる」ことを示したうえで、オルガンやエレクトリック・ピアノで同じコードを弾いてもそのイメージがまったく違う。音の出方、塊としての感じが違うと思います」と説明後した後、Grand Pacificシェイプの「717」を演奏。「非常に丸い音、“Round”な音という表現を私達は使っていますけど、今までのテイラーの音がモダンな一つ一つがきっちり分散されたタイプの音だとすると、もっと丸い音と表現するのがいいかもしれません」と、その特徴を説明した。
続けてさまざまな奏法で演奏。コードのストロークでは「非常に違いはわかると思います。そういう意味でテイラーの音としても非常に新しい音だということを先程お伝えしましたが、テイラーの他のボディシェイプでは出ない音だと思います」とコメント。さらにアルペジオで演奏。「V-Classの特徴としてイントネーションのよさというのを最初にお伝えしたと思いますが、ハイフレットを弾いた時にGrand Pacificでもそれが伝わってくると思います」と、Grand Pacificのサウンド魅力を伝えた。
■G&Lからはコストパフォーマンスに優れたモデルなど多数の新機種が登場
G&LからはFULLERTON STANDARD SERIES、FULLERTON DELUXE SERIES、CLF RESEARCH SERIESの新機種が登場。G&Lはフェンダーの創業者であり、エレキギターの生みの親と呼ばれるレオ・フェンダーが、1965年にフェンダーを売却後、1972年のCLF.Research社設立を経て、1980年にフェンダーの創設メンバーであるジョージ・フラートンとともに設立したメーカーだ。
FULLERTON STANDARD SERIES(180,000円~)はオーセンティックで基本的なスペックを備えたモデル。若干の製造工程を簡略化したことで購入しやすい価格を実現した。カリフォルニア州フラートンにあるレオフェンダーの歴史的な工場で製造され、従来のフラートン製モデルと同様のサウンドを約束。コストパフォーマンスに優れ、オススメと紹介された。ギターはASAT CLASSIC(2色)、LEGACY(3色)の2モデル、ベースはJB、LB-100各2色で展開。
FULLERTON DELUXE SERIES(240,000円~)は、STANDARDをベースに従来のオプションサービスをそれぞれのモデルに合わせてパッケージ化したシリーズ。ギターはASAT CLASSIC、ASAT CLASSIC BLUESBOY、ASAT SPECIAL、COMANCHE、LEGACY、S500の6機種、ベースはJB、LB-100の2機種をラインナップする。
CLF RESEARCH SERIES(310,000円~)は、レオ・フェンダーがCLF Research社時代から1980年までに設計し、研究した当時のモデルを現代のプロファイリング技術で蘇らせた復刻シリーズ。現代のミュージックシーンに合わせたこだわり、スペックが随所に散りばめられている。ギターは84年のF100を彷彿とさせるオリエンタルな雰囲気を現代に蘇らせたSKYHAWK(カラーは3色)、70年代後半~80年代初頭にかけて開発されたV12ピックアップを昨年発売の新製品に搭載したDOHENY V12の2機種。ベースはG&Lのアイコンとも言える80年代初頭に発表されたモデルを当時のスタイルで蘇らせたL-1000とL-2000が登場。ひと目でわかるコントロールプレート、ノブ、当時のスペックを踏襲しており、ヴィンテージライクなサウンドが得られる。
各シリーズは自由度の高いオプションによるセミオーダーシステムを採用。基本となるモデルを選び、各スペックを数ある選択肢から選んで作り込むことができる。USA製モデルのオーダーモデルとしては魅力的な価格で購入が可能だ。
■リッケンバッカーの5弦ベース、ヘフナーの限定モデルなどが登場
リッケンバッカーからは昨年発表されたものの出荷が遅れていた「330」「4003」「4003S」の新色Matte Black(マットブラック)、2001年の生産終了以来の復活となる5弦ベース「4003S/5」などを紹介。「4003S/5」は近代的な使い方ができるよう仕様変更がされており、ワイドネック、より広い磁場を形成する自社開発のピックアップ、シャーラー3D-5ブリッジが採用されている。長年親しまれたカラー、Midnight Blueは製造中止が発表された。
ヘフナーのバイオリンベース「500/1 BASS」は今年より仕様が変更。主要モデルとなる「Vintage 61 “CAVERN”」と「Vintage 62 WHP 3rd」は、「Vintage 62 International Model」に日本からリクエストして当時の仕様をつめこんだモデルだが、今年出荷のモデルには、1969年のビートルズのラストライブパフォーマンス時のポール・マッカートニー使用モデルに合わせて赤いワッシャーを採用、「BASSMAN」のデカール(貼ってはがせるタイプ)も同梱する。ピックガードのブラケット形状も60年代初期のものに合わせた。
「Limited Edition 500/1 “Relic”」は、世界で最も有名なHofner BASSの限定生産モデル。昨年発表されたモデルだがようやく国内に入荷。発表時は「Relic 63 version」のみだったが、「Relic 61 version」と両モデルの左利きモデルもあわせ、4つのバリエーションで展開する。ベースとなるのはVintage 62だが、塗装工程はまったく異なり、ヘフナーでバイオリンを手がけるラッカーマイスターが1本1本仕上げているという。ポール・マッカートニーが現在も愛用しているバイオリンベースのピックアップ周りにある特徴的なスクラッチ(傷)も再現している。
ハワイアンウクレレのKoAloha(コアロハ)からは新シリーズとして、希少材となりつつあるマンゴーを使用した「Mango Series」、アカシアを使用した「Rosette Acacia Series」が登場。タイで生産されるコストパフォーマンスに優れたOpio(オピオ)シリーズからは6弦モデルやスプルーストップ採用モデルが発売となっている。今後発売予定のインドネシアで生産されるKoAlana(コアラナ)は、初心者でも使いやすいオープンタイプのギアペグを採用、グロスフィニッシュとサテンフィニッシュの2種類を用意する。
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