フェンダーがNAMM新製品を国内で披露
、新コンセプトギターやエフェクトペ
ダル、限定コレクションなど多数登場
2019年のキープロダクトの1つとして最初に紹介されたのは「American Performer」シリーズ。フェンダーの製品群はVintageスペック、Standardスペック、Modernスペックの3つのカテゴリに分けられるが、「American Performer」はStandardスペックの製品であり、価格帯別で見ればUS製フェンダーの中では最も購入しやすい製品となる。価格は148,000円から(税別、以下同じ)
すでに販売が開始されている「American Performer」シリーズは、ギターが24モデル、ベースが12モデルの計35モデルをラインナップ。Yosemiteピックアップの搭載(Alnico IVピックアップ搭載)、コイルスプリットにしても出力が落ちないDouble Tapハムバッカー、トーンを絞った際の音のにごりを抑えるGreasebucketサーキットを搭載。ヴィンテージのルックスながらスクリューレスのClassicGearチューナーは、ギア比18:1でチューニングが安定、弦交換をしやすいものとなっている。Jazzmasterのトレモロはストラトのような6点留めに変更、Mustangブリッジは2点留めでスムーズなアーミングが可能、弦交換もカンタンにできるようになっている。
■まったく新しい楽器「American Acoustasonic Telecaster」
もう1つのキープロダクトとなるのが、“Completeley new instrument(まったく新しい楽器)”のコンセプトで登場した「American Acoustasonic Telecaster」。今回のNAMMでは同製品のプレゼンテーションを行うシークレットイベントを開催、3組のアーティストがライブを行った。日本からはアジアを代表してMIYAVIがパフォーマンスを披露、参加アーティストの中で最も高い評価を得たという(この模様はYouTubeで見ることができる)。MIYAVIは「こういう製品を待っていた」と語ったとのこと。
カラーは5種をラインナップ。コンター加工のフルホローボディにサテンフィニッシュ、マホガニーネックを採用。ヘッドのフェンダーロゴはレーザーで処理。サウンドホールには特許出願中のResonance Soundportを採用している。ピアックアップはピエゾピックアップ、ボディの音を拾うマイク用ピックアップ、本機のために開発されたNoiselessピックアップの計3種類を搭載。5WayスイッチとMod Knobの操作でこれらのピックアップの組み合わせとブレンド具合を選択することで、多彩なサウンドを生み出す。今回のデモンストレーションでは“シミュレートではなく、ギターが鳴った音”であることが強調された。また、見た目はテレキャスターだが、「この中にアコースティックのいいところ、エレキギターのいいところがすべて入っている。エレアコではないということを理解してほしい」とも。すでに発売が開始されており、生産が追いつかないほどの数が出ているという。価格は270,000円。
■新色サテンカラーの「American Elite」
「American Elite」シリーズにはサテンカラーが加わった。アメリカでは数年前よりサテンカラーの車が流行しており、今回の新色はこの流行を受けて追加されたもの。従来のグロスフィニッシュよりシックな仕上がりで、指紋がつきにくいのも特徴となっている。カラーはJade Pearl MetallicとIce Blue Metallicの2色。ギター、ベース計19モデルをラインナップする。
このほか「American Professional」には、数量限定の「American Professional Light Ash」3モデルが登場。アンティークナチュラルに茶べっこうピックガードの「Limited Edition Lightweight Ash American Professional Stratocaster」、ハニーブロンドにパーチメントのピックガードの「Limited Edition Lightweight Ash American Professional Telecaster」、シエナサンバーストにエイジドホワイトパールのピックガードを組み合わせた「Limited Edition Lightweight Ash American Professional Jazz Bass」をラインナップ。Light Ashモデルのギターは3.4kg以下、ベースは3.85kgと軽量になっている。
■コレクター心をくすぐる限定コレクション「Rarities 」
昨年の「Parallel Universe」に続く限定コレクションがハイエンドブティックスタイルの「Rarities (レアリティーズ)」。メイプルやアッシュ、コアといった美しい木目材にハイエンドフィニッシュを施し、各モデルには木材に合わせたピックアップやエレクトロニクスを搭載。コレクター心をくすぐるラインナップが揃う。製造はアメリカのコロナ工場で行われ、「Parallel Universe」同様、個性的なモデルが4月から12月にかけて1機種ずつ順次リリースされる。
■もう一つの限定コレクション「Alternate Reality」
「Alternate Reality」(オルタネイト・リアリティ)はメキシコ製の限定コレクション。ヴィンテージ志向とは少々異なるスペックで、より購入しやすい価格となっている。こちらは3月から1機種ずつ発売される。
■本人使用モデルをベースにしたアーティストモデル
アーティストモデルからはジミー・ペイジの「Mirror Tele」、「Dragon Tele」、ガンズ・アンド・ローゼスのダフ・マッケイガンのPrecision Bassが登場。「Duff McKagan Deleuxe Precision Bass」は本人の要望から150,000円とよりユーザーに親近感のある製品に仕上げている。
■Squier Classic Vibeがリニューアル
Squierからは「Classic Vibe」がリニューアル。従来からあるVintage Modifiedも今年1年をかけてClassic Vibeに統一される。ピックアップはフェンダー製に変更、外観ではハードウェアのメッキがクロームからニッケルとなりより上質に。ロゴは時代に合わせた新しいものとなり、ネックバックのフィニッシュも飴色の濃いヴィンテージ感のある色になった。演奏性では、ミディアムサイズのフレットがナロートールに、ノブの仕様も時代に即したきれいものに変更されている。ラインナップはStratocasterがレフティを含む6機種、TelecasterはThinlineとDeluxeを含む6機種、Mustangが2機種、Jazzmasterがレフティを含む4機種、Jaguarが3機種、Jazz Basが60s、70s、レフティを含む9機種、Precision Bassがレフティを含む3機種、Bass VIが2機種。
■アコースティックCaliforniaシリーズにもサテンカラー
アコースティックギターの「California」シリーズにもサテンフィニッシュのモデルが新登場。従来のグロスではなくサテンを使用することで研磨量が減り、トップの膜圧も減ることで音響が向上している。ラインナップは「Redondo」がSlate SatinとBronze Satin、「Newporter」がOlive SatinとIce Blue Satin、「Malibu」がBurganby SatinとMidnight Satinのそれぞれ2色で発売は4月。また、12弦モデルと「Kingman Bass」も新登場。カラーはブラックで、どちらもすでに発売中。
■コンパクトな大出力ベースアンプやシンプル操作の低価格アンプが登場
アンプ製品では、昨年グラミーを受賞したカントリーアーティストのクリス・ステイプルトンのシグネチャーモデル「’62 Princeton Amp Chris Stapleton Edition」から、シンプル&リーズナブルなモデルまで、多彩なラインナップが揃った。
「Bassbreaker 30R」はホットなハイゲインの歪みとリバーブを併せ持った真空管アンプ。「Rumble 800HD」は、気軽に持ち運べる大出力アンプ。シンプル操作の「Mustang LT25」、「Rumble LT25」は、家庭での練習にぴったりなモデルだ。
「’62 Princeton Amp Chris Stapleton Edition」は、鳴りのよいソリッドパインキャビネットにエミネンス社スペシャルデザインの12インチスピーカーを搭載。ハンドワイヤーとフェンダーヴィンテージブルートーンキャップを使っているのが特徴。1ボタン式のトレモロフットスイッチも搭載。本人のサインのプレートがつけられている。フットスイッチとカバー付きで260,000円、3月発売予定。
■ケーブル刷新、アクセサリーも多数ラインナップ
アクセサリーではケーブルビジネスへの本格的に参入を発表、一部のシグネチャーモデルを除いてすべてを刷新する。本体やパッケージの外観、線材などのスペックを見直し、価格も魅力的なものに変更。最上位機種のDeluxe Seriesでは金メッキコンダクターのオリジナルプラグ、99.95%OFC(無酸素銅)の芯線を採用、ケーブルタイも付属する。また、入門グレードOriginal Seriesの価格も大幅に下げらた(例:3mで2,000円から1,400円へ値下げ)。中間グレードに位置するProfessional Seriesには、ツイードカラーのProfessional Tweed Seriesも登場している。
ハードケースやストラップ、ピックアップ、ランチボックスといったアクセサリーも多数ラインナップ。クリップオンチューナー「Bullet Tuner」は市場にある同種製品の半分くらいのコンパクトなサイズだが、LED採用で視認性は抜群。この製品をきっかけに、今後はクリップオンチューナーの分野も本格的にやっていくとのこと。
■フェンダーのエフェクトペダル第3弾は中級者向け&マニアック
昨年、“フェンダーペダル元年”と銘打って市場に本格的な参入を果たしたエフェクトペダルは、今年新たに6機種が登場。これまでは入門層から中級者に向けた機種が多かったが、2年めは中級者から上級者向けの機種をラインナップ。高価格帯の機種やマニアックな機種も登場した。また、初心者から使えるベース用モデル1機種も加わっている。
「MTG Tube Distortion」はフェンダーの3つめとなるディストーションで、昨年のモデルとの大きな違いは実際に真空管が中に入っていること。ミリタリーグレードのサブミニ管NOS(New Old Stock:新品状態のヴィンテージ)6205を採用し、アンプライクな歪みがを実現。フェンダーのペダルチームのトップであるスタン・コーティに加え、Egnaterアンプの開発者ブルース・イグネーターが開発に携わっている。1ペダルで2色使えるブースト機能を備え、ソロやサビでもう一色使えるのがウリ。3バンドEQとTIGHTコントールを搭載。18,000円で3月発売。
「Tre-Verb」は満を持して登場した本家のトレモロリバーブ。フェンダーの“あのリバーブの音”が得られる。昨年のモデルにはなかったスプリングリバーブも搭載した。リバーブは’63(ブラウンフェイス初期)/’65(ブラックフェイス期)/PLATEの3モードを選択可能。タップテンポにも対応したヴィンテージアンプ系トレモロは、OPTICAL(光学式)/BIAS(バイアス変動式)/HM(ハーモニックビブラート)の3モード。60年代半ばのDeluxe ReverbやPrincetonなどをイメージしたサウンドが得られる。トレモロとリバーブに各3つのつまみを用意、トレモロとリバーブの順番を切り替えるスイッチも備える。30,000円で3月発売。
「Lost Highway Phaser」と「Bubbler Chorus」は兄弟的なフェイザー&コーラス。どちらもRATE/DEPTHを2種類設定でき、揺れ方の遅いもの/速いものの2チャンネルを設定可能、スイッチで切り替えられる。SENS機能を調整することで、RATEの遅いものから速いもの(またはその逆)へシームレスに切り替えられるのがおもしろいところ。入力信号(弾いた音)の減衰に合わせて揺れの速さが変わる効果はかなりユニーク。価格はいずれも16,500円で3月発売。
「The Pinwheel」はロータリースピーカーエミュレーター。“Pinwheel”は風車を意味する。フェンダーがレスリーを買収した時期のレスリースピーカーを2モード、同時期のフェンダーVibratoneをエミュレートした1モードの計3モードを装備。トップスピードに行くまでにかかる時間も機種ごとに再現している。上の2つと同様のSENS機能を備え(開発はこちらが先)、スピーカーの回転数を入力信号のレベルの減衰に合わせて自動的に調整可能。SLOW/FASTスイッチを踏み続けるとロータリースピーカーの回転が止まるブレイクモードも備える。30,000円で3月発売。
「The Pinwheel」、「Bubbler Chorus」、「Lost Highway Phaser」の3機種はステレオ出力にも対応する。
最後の「Downtown Express」は、これ1台でベースの音作りが完結できるという初心者から使えるモデル。かけっぱなしで使う軽めのドライブから、ソロに最適なバキバキのサウンドまでカバーするオーバードライブは、アレックス・アギュラーによりデザインされたもの。アクティブEQコントロール、原音ブレンド機能付きのコンプレッサーも備える。27,000円で3月発売。
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