ストレイテナーが幕張ワンマン『21s
t ANNIVERSARY ROCK BAND』でみせた
姿と"その先"へ繋いだもの
ライブは、普段はアンコールで披露されることの多い「BERSERKER TUNE」を冒頭に据え、大会場でもすさまじい圧を叩き出すナカヤマを筆頭に、強烈なビート感でもって会場を震撼させる流れから始まった。アレンジされた導入部で歌詞を変えるのが恒例の「Alternative Dancer」では、ホリエが<踊ろう “いつもの”僕らのように/幕張の夜に 愛のダンスを>と投げかけ、ワッと歓喜の声が上がる。のちのMCによれば緊張していたらしいライブ序盤だが、メンバー間で何度も視線を交わして笑みを浮かべながらキメを重ねていく演奏からはむしろ、“普段通り”という印象を受けた。いや、広大な会場すら圧倒する音の迫力と精緻なアンサンブルを両立しているという意味では、普段以上か。
「いやあ、終わりが近づいてきたな……ありがとね」と名残惜しそうなホリエが、この日はストレイテナーのこの先を見せる日にしたかった、でも未来のことなんてわからないから、自分たちは自分たちを裏切らない音楽を作ってまたみんなと一緒に楽しいライブをするだけ、と続ける。さらに未来へ向けて確かに言えることとして、「ストレイテナーは今までも、そしてこれからもずっとこの4人でやりたいと思います!」と宣言。沸き起こる大歓声。そして演奏されたのは「The Future Is Now」だった。
ライブで聴くとグッとバンド感が増すこの曲が、彼らの行く先を照らすかのように輝かしく響いたのは言うまでもなく、「シャイな人は強制しません」とこれまた彼ららしい前置きをした上で「みんなの声を聴かせてください」と7000人のシンガロングを呼び込んだ「Melodic Storm」、「シーグラス」で本編は締めくくられた。
20分くらいあったので要約すると、ライブ後によく「泣きそうになった」と感想をもらうが、「泣いた」じゃないのかと若干不服(?)に思う。映画で泣けるシーンは『インディペンデンス・デイ』の大統領が戦闘機に乗り込むシーン(日向)と『千と千尋の神隠し』で千がおにぎりを食べるシーン(ホリエ)。日向はジブリでは『紅の豚』が好きで、大山は『天空の城ラピュタ』が好き、などなど。明らかにフリートークな展開を、待ってましたとばかりに歓迎する場内には笑いが絶えない。そんな弛緩しまくった空気を、ひとたび演奏が始まれば一変させられるのはさすが。「From Noon Till Dawn」「羊の群れは丘を登る」の2曲がオーディエンスのテンションに再点火すると、その熱は冷めやらずダブルアンコールへと突入する。
やっぱりストレイテナーは稀有なバンドだ。
取材・文=風間大洋 撮影=Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
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