【MEPHISTOPHELES インタビュー】
現体制で作品を作らなきゃ!
という目的があった
L→R 佐藤潤一(Dr)、HIRO(Gu/Support)、梅原“ROB”一浩(Vo)、hibiki(Ba/Support)、梶谷 禎(Gu)
1980年代、インディーズメタルシーンに旋風を巻き起こした“無冠の帝王” MEPHISTOPHELES。3年振りのアルバム『Hide and seek』ではファスト&ヘヴィな“ジャパメタ”の進化形を提示。その真髄を梅原“ROB”一浩(Vo)に語ってもらった。
バンドの結成は1980年代前半にまで遡ります。
たぶん1982年ぐらいで、ライヴハウスに定期的に出て活動するようになったのが1984年ぐらいかな。僕が加わったのがその頃ですね。もともとは玉川学園という高校のバンドで、そこに違う高校の僕が途中で加入したんです。
初音源は初期のX(現在のX JAPAN)も収録されているコンピレーションアルバム『HEAVY METAL FORCE III』だったと記憶しています。対バンすることもあったんじゃないですか?
ありましたね。でも、HIDEちゃんが入ってからは1〜2回しかないんじゃないかな。むしろ、彼がその前にいた横須賀SAVER TIGERのほうが回数は多かったですね。
“次にブレイクするのはMEPHISTOPHELES”と言われる中、1987年に突然解散してしまったんですよね。
当時目指していたのが、ACCEPTのような5人が集まって出す音で勝負するバンドだったんです。ひとりのギターヒーローを中心に回るのではなくて。そんな中、若さゆえにそれぞれの自我が抑え切れず、空中分解してしまったんです。
今回のアルバム『Hide and seek』はアルバムとしては通算3作目ですが、2001年に復活して出した初のアルバム『METAL ON METAL』の次は2015年でした。今回は比較的短いですが、それでも3年です。これだけスパンが長いとそのまま自然消滅していてもおかしくない中、なぜバンドが続いたんでしょう?
僕がバンドバカ、MEPHISTOPHELESバカということに尽きますね。ある時、バンドって生き物だから、中途半端な気持ちのまま動かしていては駄目だと思うようになって。売れていようがいまいが、生かす目的がなければ動かす意味がないと。今回は現体制で作品を作らなきゃ!という目的があったんです。ただライヴを続けるのではなく、今のうちに何かアイテムを出しておかないと先の活動を見据えた時に厳しいって。ただ、その形態については何も決めてなくて、当初は“とりあえずシングルを出そう”ぐらいの気持ちでレコーディングを始めたんです。
それが最終的にアルバムになったのは?
やはり5〜6曲はないと誰が売るにしても売りにくいだろうなと。最初は間に合うか不安だったけど、作業の過程で徐々に先が見えてきたんです。
収録曲についておうかがいします。攻撃的な表題曲「Hide and seek」はジャパメタの進化形と呼べる音ですね。
最初に聴いた時点で“これはリード曲だな”と直感しました。今のうちっぽいと素直に思えて。若い頃はACCEPTのような、いわゆるヘヴィメタルを標榜してたけど、今時間が経って聴いてみると、僕らの音ってすごく“ジャパメタ”だなって。この曲を録っている時に僕自身がすごくジャパメタな人だったんだって実感しました(笑)。
「Play with the evil」はメインのリズムパターンがちょっと複雑なところが耳を引きました。
一番最近っぽい曲かも。80年代の感じではないですね。ここ1年ほどライヴでもやっているんですけど、演奏は結構難しくて、未だにこの曲が終わるとホッとします(笑)。だから、一番最初にやってます。余裕があるうちにやってしまおうと。
続く「Lurking in the darkness」はヘヴィな曲をシンセがさりげなくドラマチックに演出していますね。
最初はボツ曲だったんですよ。レコーディングする時にサウンドプロデュースをやってくれた岡垣くん(Jill岡垣/TERRA ROSA、APHRODITE、Jill’s Project)に“完全に変えてほしい”とリクエストしたら、“これは面白いかも!?”と思えるものが返ってきて。そこから新しいアイデアがいろいろ出てきたんです。それまではどこか古い感じがあったんですよ。僕が頑固に“これはボツだ!”って言い張らなくて良かったです(笑)。あと、僕が大好きな韓国のバンド、MESSGRAMのふたり(Ji-youngとJahnny Shin)が入れてくれたコーラスもいいアクセントになってますね。
岡垣さんの名前が出ましたが、今回はどのような経緯でプロジェクトに参加することに?
彼とは2001年にMEPHISTOPHELESが復活する前に魚雷というバンドを一緒にやっていたんです。今回はまだ何も決まっていない時から音を録るのを手伝ってほしいという話をしていたら、どうせなら全体の指揮を取ってもらったほうがいいということになって。全体的に壮大なサウンドに演出してくれましたね。
MEPHISTOPHELES解散後の1988年にROBさんが結成した、ERASER HEADの曲が3曲入っているのも興味深いです。
復活以降もこの3曲はライヴで定番曲にもなっているし、今のメンバーで再現したいと思って入れました。個人的に一番好きなのはラストの「Dictator ship」ですね。
その「Dictator ship」ではlynch.の葉月さん(Vo)がゲスト参加していますが。
友達なんです。最近のバンドの中ではlynch.が一番好きなんですよね。で、この曲ができた時、彼があるパートを歌うイメージが浮かんできて。ちょうどlynch.のライヴがあったので、終演後に話したら快諾してくれました。そうやっていろいろと決まっていく中、ふと気付いたらみんなキングレコード所属だったという(笑)。
では、話が早い(笑)。
うちらがまだキングさんと契約の話をする前なのにね。これだけ周りがみんなキングレコードなのに他のどこで出せっていうんだよ!っていう(笑)。縁がありますね。
本作を発表したあと、東名阪のツアーがありますね。
楽しく騒げるジャパメタのライヴですね。80年代のジャパメタって拳を振り上げるノリじゃないですか。でも、うちはテンポが速いのでみんな首を振るんですけど、それだと同年代の人は辛い(笑)。もちろん後ろでゆっくり観てもらうのもありだけど、棒立ちじゃなくて体を動かしながら観るほうが腰が楽ですよ(笑)。
取材:金澤隆志
「Hide and seek」MV(Short Ver.)
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