【ライヴレポート】
『TRIAD ROCKS Showcase 2018』
2018年9月6日 at TSUTAYA O-WEST
Halo at 四畳半/2018年9月6日 at TSUTAYA O-WEST
1981年5月に日本コロムビア内で発足され、過去にTHE YELLOW MONKEY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、ピチカート・ファイヴらが所属したロックレーベル『TRIAD』。2015年に7年振りの復活を遂げ、現在は9mm Parabellum Bullet、グッドモーニングアメリカ、Czecho No Republicらが所属する。そんな『TRIAD』による期待の新鋭アーティスト4組が9月6日に東京・TSUTAYA O-WESTに集結した!
Halo at 四畳半、The Wisely Brothers、ももすももす、彼女 IN THE DISPLAYと十人十色なラインナップがそろったこの日は、彼女 IN THE DISPLAYの略称“KID”がタイトルに刻まれた「STAY KID」で幕開け。そして、どんな一夜になるのかと気もそぞろなフロアーに激しいドラミングと攻撃的なロックサウンドを轟かせ、RYOSUKE(Vo)が“俺が好きなようにやらせてもらうぜ!”と不敵な笑みを浮かべて「CHAOS」へ。松永健太(Ba)のシャウトが突き抜け、疾走感と重厚感をぶつけながら煽るように「KVE」「The straight edge dance party」を披露。メンバー同士で目を合せ、にやりとしながらこの場を楽しむ姿が眩しい。ラストは妖しさも漂う「Kick」で締め括り、“自分の信じた道は曲げたくない”と心底にある想いを示す。エネルギッシュなステージから一転、燃える闘争心をクールに落とし込んだこの曲が彼らの神髄を語っているようだった。
2019年にデビューが決定したばかりのももすももすは、バックバンドを携え真っ白なワンピースにピンクのピンヒールで登場。今年8月に初ライヴをし、MVを1本公開、現在はデビューに向けて楽曲制作中と、まだまだ謎のベールに包まれた存在なだけに注目が集まる。まずは「海と傷口」で柔らかな歌声を聴かせ、その淡々とした佇まいも相まって切なさや儚さなど心が締め付けられるような想いが会場に浸透した。「隕石」でアップテンポなサウンドに乗せて歪んだギターを鳴らし、「シャボン」「Confession」ではバックスクリーンに歌詞を映し出す。恋焦がれる強い気持ちを歌った楽曲たちは、共通して叶わぬ想いと漠然とした憂鬱感、孤独感でいっぱいだが、それを惹き付けるパワーへと昇華していくこの空間は、今後みるみるうちに全国へと広がっていくだろう。
終始和やかなムードに包まれていたThe Wisely Brothersのステージは、サビに向かってテンポアップしていく「The Letter」や「メイプルカナダ」、グルービーなディスコビートが特徴的な「彼女のこと」など、息ぴったりな3人が作り出すオルタナティブロックに胸が熱くなる瞬間がたくさんあった。たっぷりと聴かせるイントロやリズムの変動が多いこのサウンドの土台を渡辺朱音(Dr&Cho)がしっかりと支え、その安定感も抜群だ。また、真舘晴子(Gu&Vo)がMCで“自分たちで作ったりするのが好き”と言っていたように、デビューアルバム『YAK』のジャケットを手作りしたり、自主イベントでは会場の飾り付けも楽しむ彼女たちからは、ギターの音色や曲中の息づかいひとつにもこだわりと好奇心を感じる。映画『青のハスより』の主題歌「柔らかな」では真舘の鳴らすタンバリンと和久利 泉(Ba&Cho)、渡辺によるコーラスのハーモニーも心地良い。シャッターを切るように情景を描く歌詞には想像も膨らみ、会場が物語に溶け込むような不思議な感覚が広がった。
10月17日にリリースする1stフルアルバム『swanflight』で『TRIAD』よりデビューを果たすHalo at 四畳半。“ファンだとか、関係者だとか、共演者だとか、肩書きはどうでもいいので、あなた自身に歌います”と渡井翔汰(Vo&Gu)が宣言し、「リバース・デイ」でライヴをスタートさせた。爽快なサウンドの中で主役となる渡井の熱いヴォーカルは、デビューに向けての決意や言葉にならない想いを時にオフマイクで叫びながら届けていく。「カイライ旅団と海辺の街」のメロディックなギターフレーズが会場に明かりをつけ、その行進曲のようなポップなサウンドに緊張感がほぐれた。“せっかくの輝かしいデビュー作なのに、僕らはそのリードトラックに“悲しみもいつかは”という名前を付けました”と話す場面もあったが、ポジティブなナンバーにも隣り合わせで“憂い”が存在するのがHalo at 四畳半の魅力のひとつだろう。最後に披露したラブソング「モールス」では“俺たちに付いてきてくださいよ、連れて行くから”と声を荒げ情熱的にプレイ。彼らが去ったあともステージには拍手が鳴り響いた。
撮影: AZUSA TAKADA/取材:千々和香苗
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