物語を増幅させる“装置”としての企
画盤の魅力−−−【エヴァンゲリオン
サウンド・クロニクル <参>】後編
『EVANGELION -THE BIRTHDAY OF Rei AYANAMI-』ジャケット画像
劇中における“セカンドインパクト”の発生日・2000年9月13日にちなんで発売となった『EVANGELION -THE DAY OF SECOND IMPACT-』(2000年9月13日発売)は、劇伴・ヴォーカル曲ともに基本を押さえたバランスの良い選曲が光る1枚。エヴァの音楽世界を知るにはまさにうってつけの内容となっている。
ヒロイン・綾波レイの設定上の生年月日・2001年3月30日(ちなみに3月30日は林原めぐみの誕生日でもある)を記念した『EVANGELION -THE BIRTHDAY OF Rei AYANAMI-』(2001年3月30日発売)では、当然ながら選曲の方もレイというキャラクターを意識したものとなっており、「残酷な天使のテーゼ」の新録音ヴァージョン「残酷な天使のテーゼ【A.D.2001】」をはじめ、林原めぐみのアルバム『Iravati』に収録されていた「魂のルフラン」、クリヤ・マコトのアルバム『ANTITHESES』から「THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS」「Fly Me To The Moon」それぞれのジャズヴァージョン、さらにはレイのセリフなども聴くことができる。
TVシリーズ放送開始から10年という節目を記念した『NEON GENESIS EVANGELION DECADE』(2005年10月26日)は、ヴォーカル曲のみで構成された、言わばエヴァの“ヴォーカルベスト”。「残酷な天使のテーゼ」と「魂のルフラン」それぞれの“10TH ANNIVERSARY VERSION”のほか、林原めぐみが歌う新曲「天国の記憶」も収められている。
ある意味、社会現象を巻き起こすほどの影響力を持ったエヴァだからこそ実現可能なリリース戦略とも言えるのだが、こういった作品設定上の日付や記念日を他のファンたちと一緒に祝い、あらためてその音楽の魅力を噛みしめることができるのは実に楽しい。また、それぞれのアルバムタイトル・選曲にしっかりと意味合いを持たせ、4枚のアルバムへと昇華させた企画スタッフの仕事ぶりにも感心せずにはいられない次第である。
…というわけで、今回はエヴァの名のもとにリリースされてきた企画アルバムやベストアルバムをざっと振り返ってみた。当時のブームを知る世代は、あらためてその素晴らしき音楽世界に触れる為に、ブームを知らない若い世代は、その音楽の魅力とともに当時の空気感を味わう為に、これらのアルバムに耳を傾けてみるのもまた一興だろう。(text by center)
アーティスト
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