【ライブレポート】GOSPELS OF JUDA
S、1st AL『IF』レコ発に“どの系譜
にも属さない”独自の輝き
◆GOSPELS OF JUDAS ライブ画像
◆ ◆ ◆
GOSPELS OF JUDASは、氷室京介と親交の深いクリエイターが集まり、“自由に、遊びから生まれた音楽をデジタルツールを使ってリスナーに届ける場”として氷室自身が立ち上げたDiGiTRONiXプロジェクトのひとつ。氷室京介のレコーディングやステージにギタリスト(アレンジャー)として参加しているLA在住日本人ギタリストYTを中心とした集合体だ。
1stフルアルバム『IF』発売当日の夜、開演直前のフロアには<LAST GIGS>Tシャツ着用の女性、ブラックスリムジーンズの男性、ネクタイをしめたサラリーマンといった姿の様々なロックファンが集まったほか、いわゆる音楽業界人も少なくない。そして、ついに生身の姿をさらしたGOSPELS OF JUDASは、想像を遥かに超える存在感でフロアを飲み込み、ド圧倒的なグルーヴに会場全体を巻き込んでしまった。
セットリストは事前に予告されていたとおり、アルバム収録ナンバーを曲順通りに披露し、『IF』の近未来的でSF的な世界観を存分に味わえるものとなっていた。インストチューン「Nexus 〜Overture〜」をSEに、Jun Inoue (DJ / Percussion)、Tessey (Sequence Programmer / Syn)、Gin Kitagawa(Bs / Vo)、そしてゆっくりとYT (G / Vo)が姿を現し、「Mystic Beauty」へ。おもむろで何のてらいもないオープニングだが、何よりも4人が鳴らす音圧が凄まじい。大胆で劇的な曲展開、入念なボイシング、それらが幾重にも連なるアンサンブルなど、メンバー個々の高度な音楽性と演奏力を結集したオリジナリティ溢れるサウンドは既に完成の域に達した感があり、トラックとして流れる氷室京介の歌声がフロアの高揚感を煽った。
続く「Bloody Moon」の前には、「オレにとって思い入れのある曲というか。GOSPELS OF JUDASというプロジェクトに入って一番初めに氷室京介さんと一緒に書いた曲で。凄く光栄なことをさせていただきました」とエピソードトークも少々。同曲は<氷室京介 COUNTDOWN LIVE CROSSOVER 12-13>でライブ披露されており、その模様が映像作品として残されているだけにファンにも耳馴染みの深い曲だが、その再現性が素晴らしかった。それぞれのパートの音がはっきりと聴こえていながらも独特のうねりのある演奏で、たとえば演奏自体がタイトでソリッドというものとは次元が違う。そこに氷室京介が立っているかのような敬意の念さえも感じさせるバンドサウンドを響かせていたことが印象深い。
前述の「LIAR 〜世界中の哀しみ集めて〜」よろしく、もちろんフロアの注目はYTの多彩なギタープレイにもあった。「Artificial Selection」はファンお待ちかねのギターインストであり、ドラマティックでダイナミック、YTのテクニカルなプレイに釘付けとなるナンバーだ。一方で、Tessey作曲による「Star Fire」でYTはE-bow(磁力によって弦振動を起こし、永続的にサステインを生み出すアタッチメント)を駆使してシンセサイザー的にバンドサウンドに溶け込むアプローチを。さらにボーカルをとりながら高速タッピングを同時に刻むという離れ業を披露した「White Moon」など、振り幅の広いギターワークはいわゆるテクニック志向だけのそれとは一線を画すアレンジ力の高さを感じさせるものだった。
「氷室さんをよく知っているみなさんは既にご存知だと思います。この人のセンスは最高だと思ってます、Tesseyさん。そして、「Mystic Beauty」「Star Fire」の歌詞を書いているほか、アルバムのベースはほとんどオレが弾いているんだけど、それを遥かに超す感じでバッキバキに弾いてくれている、Gin Kitagawa。下手の奥が機材で物凄いことになってるけど(笑)、彼がなければ今回のアルバムは出来なかったと思います。今回のアルバムのプロデュースを一緒にやってほしいと一番最初に声をかけた人で、曲のイメージや歌詞を共に作り上げてくれた、Jun Inoue」──YT
約1時間半、アンコールを含む全17曲を終えてYTは「ありがとうございました。めっちゃ楽しかったです」と右手を挙げた。約2ヵ月後、この4人に生ドラム、しかも盟友とも呼べるチャーリーが加わるステージは、同夜とはまた異なる大きな衝撃と波紋を呼ぶに違いない。
◆ ◆ ◆
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
【ライブ情報】
<GOSPELS OF JUDAS LIVE “IF #2”>
日程:2018年9月2日(日)
会場:青山Future SEVEN
1部:開場16:00 / 開演 16:30
2部:開場19:00 / 開演 19:30
日程:2018年9月8日(土)
会場:心斎橋VARON
1部:開場16:00 / 開演 16:30
2部:開場19:00 / 開演 19:30
チケット 一般発売日:8月12日(日)
チケット料金:¥5,000(税込)
入場時に1drink ¥500
<GOSPELS OF JUDAS LIVE 2018 FINAL SUPER
「AREA51 -REINCARNATION-」>
日程:2018年9月15日(土)
会場:渋谷CHELSEA HOTEL
開場18:30 / 開演 19:00
日程:2018年9月17日(月・祝)
会場:代官山UNIT
開場16:00 / 開演 17:00
チケット 一般発売日:8月12日(日)
チケット料金:¥6,800(税込)
入場時に1drink ¥500
【リリース情報】
1st ALBUM『IF』
▲ALBUM『IF』
2018年7月18日発売
価格:¥3,240 (Tax in)
1. Nexus 〜Overture〜
2. Mystic Beauty
3. Area 51
4. Interlude 1
5. Pris' Dream
6. LIAR 〜世界中の哀しみ集めて〜
7. Bloody Moon
8. Artificial Selection
9. Star Fire
10. Interlude 2
11. White Moon
12. Silent Train
13. Tears in Rain
14. RAIN
15. Play Within A Play
16. Cryin' with my guitar
関連記事
◆【インタビュー】GOSPELS OF JUDAS、1st AL発表「氷室さんから受け取ったメッセージは、“音楽だけで、どこまで物語を作ることができるか”」
関連リンク
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00