PrizmaX、初ホールツアー最終公演で
各メンバープロデュース楽曲の
連続配信を発表
6月16日@千葉県・市川市文化会館 Photo by 笹森 健一
女子高生がスマホでPrizmaXのライブ映像を眺める、前回のライブ、Level 6からつながるオープニング映像から、紗幕に大きくシルエットが5つ映ると、歌い出されたのは最新シングルのカップリング曲「Memory」。ライトが全開になって紗幕越しにメンバーの姿をクッキリと浮かび上がらせ、黒川ティム&ウィンの温もりあるボーカルと清水大樹のヒリついたラップが交錯するなか、ダンサーが加わって紗幕が上がるという幻想的な幕開けに、客席は固唾を呑んで魅入られてゆく。続いて「Are you ready?」では真っ赤なライトを浴びて、メンバーとダンサーが渾然一体となったスリリングなフォーメーションダンスを披露。プロのダンサーと混じっても何ら違和感の無い事実は彼らのスキルの高さを証明し、さらにロックな「REBORN」へと力強く昇華して、まさに何かが生まれ変わる予感を場内に満たしてゆく。
「バックダンサーはもちろん、よりホリックとFUSIONして最高のファイナルを迎えたい。ノンストップで駆け抜けていくんで、シートベルト外してついてきてください!」(大樹)、「今日は0.01秒も見放すことなく俺に絶対ついてこいよ!」(島田翼)と、MCでもオーディエンスのハートを鷲掴み。そしてメンバー5人だけでタイトル通りミステリアスなムードを醸す「Mysterious Eyes」に、再びダンサーが加わって甘く、ダイナミックに届ける「Never」のニューアレンジバージョンと、ダンサーが加わったことでパフォーマンスの幅が広がったこともまた、高いエンターテイメント力を誇る彼らの魅力を増幅させていた。
さらに、中盤ではPrizmaXの多彩な持ち味が次々に展開。ウィン&ティムが澄み切ったアカペラで聴かせ、讃美歌のような厳かさで胸を打った「Truth」に、ウィンが弾き語るアコギにティムが寄り添う「春空」と、まずはバラードパートで鉄壁のヴォーカルワークが炸裂する。美しく、ふくよかに心癒すそのハーモニーは、まさしく珠玉の調べ。PrizmaXのパフォーマンスの根幹を為すものだ。そんな二人の歌を背に、福本有希&大樹が女性ダンサーとカップルを組んで踊る横で、なぜか翼が見事なジャグリングを披露する「HUG & KISS」を挟み、恋の駆け引きを妖しいステップで描く「It`s Love」からは、アンニュイなラブソングが続々と。壇上に一人立つ女性ダンサーとのシンクロダンスでストーリー性豊かに魅せる「抱きしめて行く」に、ウィンのアカペラから真っ直ぐに愛を贈る最新シングル「yours」で切なく冴え渡る大樹のラップも、彼らの大きな武器の一つ。入れ代わり立ち代わり耳を満たすツインヴォーカル&ラップに、キレのあるダンスパフォーマンスを駆使して堪能させる豊潤な大人の時間は、PrizmaXならではのものだ。
ダンスボーカルユニットとして独自のポジションを築きながら、一方でファンとの一体感という“王道"もキッチリ踏まえているのも彼らの強み。煌めくミラーボールの下、翼がEDMリミックスした持ち曲を流すDJタイムからは、軽やかなダンスビートがクラップの渦を呼んでいく。煽りに応えて踊るホリックに「シートベルト外したね!」と微笑みかける「Pleasure」に、“傘がない気分"と歌う「my girl」では傘を差してのチャーミングなアクションに拍手喝采。「Let's prove it!!」では舞台上のボードをめくって“READY"“HERE WE ARE"“前に!前に!"等、合いの手のワードをハッピーなメッセージとして発信し、ボーカルを奪った有希が「ハニーたち! 今日一日最高にラブラブしていこうぜ!」と、王子様キャラらしく黄色い歓声を呼んでいく。さまざまに趣向を凝らした演出で、客席に笑顔の花を咲かせてゆくが、その核にあるのはあくまでも5人のパフォーマンスそれ自体だ。
終盤では、さらにポジティブなヴァイブスを爆発。開幕したばかりのワールカップにちなみ、国際派グループのPrizmaXについて「各国からFANTASISTAが集まってるんですかね?」と繋いだ「FANTASISTA」では、客席通路に飛び出してサインボールを投げ込み、タオルを振ってワールドカップ級に盛り上がる。新アレンジで生まれ変わった「OUR ZONE」で、ウィンが「ラスト2曲、この曲だけ撮影OKにします!」と告げるや、客席からは一斉にスマホが。息も動きもピタリと合った躍動的パフォーマンスにより場内を圧倒すると、最後に「Just Revolution」をドロップ。場内一体となって拳を挙げ、叫ぶ“Just Revolution!"の声は実に力強く感動的で、PrizmaXというグループを一段上のレベルに押し上げるべく“革命"していこうという彼らの決意を、ひしひしと感じさせた。
その一方、アンコールではポップなナンバーではしゃぎ合い、ちょっぴりファニーな素顔を垣間見せてくれたのもファンには嬉しいところ。MCでは昨今テレビ番組に引っ張りだこのウィンが「ココから僕が窓口になってPrizmaXを世に広めたい」と、頼もしい決意表明もしてくれた。そして『レディ・プレイヤー1』での自身の名台詞にちなみ、「俺はガンダムで行く! でも、今は君の夢の中に行っていいかな」と、子守歌のように穏やかな「夢唄」を5人でしっとりと贈ってのラストソングは「Angel」。海外出身だけあって英詞を巧みに歌いこなすウィン&ティムの軽やかな歌声に、「ここにいるみんなAngelだからね」という囁きが、ホリックたちのクラップと相まってPrizmaX独特の小粋なムードを演出してゆく。こんな多幸感の中でライブを締めくくることができるのも、彼らだからこそなのだろう。
5人で手を繋ぎ、マイクレスで「ありがとうございました!」と一礼して幕が閉じると、「Baby Be Mine」をBGMにオフショット映像が流れるエンドロールでホリックが合唱。続いて現れた“2018 Autumn 各メンバープロデュース楽曲配信決定"の文字に大歓声が湧き上がる。それぞれに豊かな音楽的バックボーンを持つ彼らのこと、きっと個性豊かな作品が出揃うに違いない。2015年からワンマンライブのタイトルに“Level"の文字を冠し、7階まで上がってきた今回、自らの肉体だけで魅せるという原点回帰にチャレンジして、大きな進化を果たした5人。その上って行く先は、きっと天井知らずに違いない。
Photo by 笹森 健一
Text by 清水 素子
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