【千聖 / Crack6 インタビュー】
20年の時を経て、
今、表れる千聖の“正”と“邪”
千聖 / Crack6
PENICILLINのギタリストとして知られる千聖が、ソロワーク“千聖”とソロプロジェクト“Crack6”というふたつの名義でスプリットシングル「ジキルの空/ MAD RIDER」をリリースする。ジキルとハイドのように真逆の表現手法を1枚に凝縮した本作から、ロックスター・千聖の真髄を知れるだろう。
千聖名義でのシングルリリースは実に19年振りということですが、昨年はソロデビュー20周年記念のベストアルバム(『千聖~CHISATO~ 20th ANNIVERSARY BEST ALBUM「Can you Rock?!」』)を出されたんですよね。
はい。PENICILLINがメジャーデビューしたのが1996年で、同じ年にソロデビューしているから、正確に言うと20周年は一昨年だったんですけど(笑)。2003年以降はバンド形態のCrack6ばかりやっていたとはいえ、そこで千聖ソロの曲も何曲かやっていたし、せっかく20周年なんだからということで、ファン投票の上位15曲を録り直しして、プラス「Can you Rock?!」という新曲を1曲入れたベスト盤を去年の6月に出したんです。
その流れで新たにシングルも出してみようと?
そうなんです…けど、去年はベスト盤からのツアーで千聖の活動しかやってなかったから“Crack6はやらないの?”というファンの声もありまして。両方出すにはどうしたらいいかということを考えた上で、ドッキングさせて出すという今回のかたちになったんです。だから、表題の2曲も「ジキルの空」は千聖、「MAD RIDER」はCrack6と名義も違えば、曲調も全然違うんですよ。
そもそも千聖とCrack6で音楽性もスタンスもまったく違いますもんね。
もともと千聖は当時のスタッフと綿密にミーティングを重ねて作り上げた、視野の大きなソロプロジェクトだったんですね。楽曲的にもグローバルで、“LOVE&PEACE”な要素を盛り込んだ、より多くの人に向けた音楽。当時まだ珍しかったデジタルな打ち込みと僕のギターを混ぜて、また新たなグルーブを楽しんだり、バンドとはまったく違うことをやっていたんです。そこで3枚アルバムとミニアルバムを出して、その時点でやれることはやったなと思った時に、今度はもっとクローズドでよりヘヴィな音楽をやりたいと始めたのがCrack6なんです。なので、今回のシングルも“ジキルとハイド”のイメージで、ポジティブなメッセージは同じでも「ジキルの空」は正統派なラインで美しい世界を望み、「MAD RIDER」は新しい時代の鐘を“鳴らそう”じゃなく、“叩き割れ”と歌うハードな表現になっているんです。
楽曲的にも「ジキルの空」はサンバ的なリズムをベースにしたポップスで、「MAD RIDER」はアグレッシブなロックと実に対照的なところが楽しめました。
「ジキルの空」はシニカルな要素もありつつ開けるところは開けるし、「MAD RIDER」は8ビートでギラギラしてますよね。いきなりキメから始まるのも斬新だし、挑戦的な要素も多くて、2曲でアプローチがまったく違う。最終的なアレンジやMIXを担当した人間も違いますし、作業工程から上手く分かれたのは面白いなと。
ちなみに通常盤に収録されている「MONSTERS OF ROCK NIGHT SHOW!」は千聖側?
これが結構複雑なんですけど、『Crazy Monsters』というCrack6主催のイベントがありまして、そこから派生した『MONSTERS OF ROCK NIGHT SHOW』というイベントを去年から千聖の主催として始めたんです。で、『Crazy Monsters』には同名のテーマ曲があるから『MONSTERS OF ROCK NIGHT SHOW』にもテーマ曲が欲しいとイベントのプロデューサーに言われて作ったのがこれですね。千聖はゲストミュージシャンも多い大所帯のプロジェクトだったから、この曲でも大勢ゲストを呼んで、ヴォーカルにはZIGGYの森重樹一さんにDASEINのRickyさん、BULL ZEICHEN 88の栄二郎。ギターもイントロから潤ちゃん(ALvino/PIERROT)がメロディーのメインを、ハモリをCrack6の一員でもあるシゲさん(重盛美晴の愛称)が弾いてるんです。他にもKOJIくん(ALvino/La’cryma Christi)、sebastian(BULL ZEICHEN 88)も参加していて、ギターソロはバトンタッチでみんなにお願いしたから華やかになりましたね。まぁ、メンバーが多い分、トラック数が多くて、録ったO-JIROくん(PENICILLIN)やミックスを担当したシゲさんは大変そうでしたけど(笑)。
しかも森重さんに関しては作詞も担当されていて。
ロックな感じにしてくださってすごく嬉しかった。森重さんといい、初回盤Aで「ジキルの空」をリミックスしてくださったKYONOさん(WAGDUG FUTURISTIC UNITY/T.C.L)といい、個人的に飯食ったりする仲ではあるんですけど、僕も奥ゆかしい人間なので(笑)、お願いしたいとは思いつつも図々しいかな?と遠慮してたところ、せっかくだからというスタッフのみなさんの押しがあっておうかがいを立ててみたら、ふたりとも快諾してくださったんです。
なるほど。結果、さまざまなエッセンスが盛り込まれた濃い一枚になりましたよね。
体感的にはアルバム1枚分作ったような感じです(笑)。6月からのツアーも“序”“破”“究”という三本立てで、“序”はFC限定ライヴで千聖とCrack6が均等、“破”がCrack6寄り、“究”が千聖寄りという構成なんですよ。会場のライヴハウスも“破”が小さめ、“究”が大きめというあたりからも、それぞれのノリをイメージしてもらえるかと。
そのツアー後の活動も千聖とCrack6が同時進行になるんでしょうか?
はっきりと明言はできないんですけど、Crack6はパーマネントな活動なんで止まることは基本ないでしょうね。フットワーク軽くやれるものでもありますから。逆に千聖が動く時はある程度の計画を立てて動きたいんです。なので、しばらくやらない可能性もあります。Crack6が“本能のままに面白いことやってみようぜ!”っていうノリなのに対して、良い意味でのプレッシャーも感じつつやれる、言わば“劇薬”的なところが千聖の良さであり、その分、充実感も大きい。だから、万全の準備を整えた時に楽しみたいというのが現段階での構想ですね。
取材:清水素子
「ジキルの空 / MAD RIDER」
ティザー映像
「Can you Rock?!」MV(Short Ver)
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