【Mrs. GREEN APPLE インタビュー】
バンドのあり方はさまざまだと
身をもって証明したいだけ
L→R 大森元貴(Vo&Gu)、若井滉斗(Gu)、髙野清宗(Ba)、山中綾華(Dr)、藤澤涼架(Key)
これが2018年の最新型ミセス。華やかなオールディーズスタイルの「Love me, Love you」をリード曲に、坂口有望とのデュエット曲、ライヴで人気のバラード曲を収録し、新しい未来を切り開くシングルの登場だ。
「Love me, Love you」は、まるでミュージカルナンバーのような華やかでキャッチーな曲になりましたね。
大森
去年、メンバーで東京ディズニーシーに行ったんですよ。涼ちゃん(藤澤)は欠席だったんだけど。そこでアメリカン・ウォーターフロントという、1950年代くらいかな? その頃の街並みを再現したエリアがあって、そこがすごく心地良かったんですよね。そこからミュージカルや映画にはまって、あの頃の音楽はすごいスキルとセンスがないとできないジャンルだから、そういう曲を作ってみたいと思ったのが最初ですね。
山中
お互いに掛け合いを楽しむような楽曲なので、演奏でぐんぐん昇っていって、自分たちのボルテージも上がっていって、最後に向かっていくような演奏ができたなって思います。
髙野
ミュージカルのようなストーリー性やクライマックスへ向かう抑揚を、自分たちの演奏で作り上げていこうという意識が最初からあったので。自分たちのアナログな面をうまく出せたと思いますね。
藤澤
ピアノにも流れがあって場面ごとに表情が全然違うので、模索した部分もいっぱいあったんですけど、みんなで合わせていくうちに気持ち良いポイントがだんだん分かってきて、その行程がすごく楽しかった。
若井
この曲はいかにヴォーカルを気持ち良く歌わせてあげられるかが大事なので。一発録りの緊張感や生楽器ならではの面白さを、上手く落とし込めたなって思います。
これ、ホーンセクションも全部生でしょ? 贅沢ですよね、今の時代に。
大森
プレイヤーの方に即興で吹いてもらう場所もあって、昔ながらのすごく音楽的なレコーディングでした。今回は“音楽的”というのが自分らの中の共通ワードで、それはニュアンスで逃げるんじゃなくて、ちゃんと音楽の表現としてコミュニケーションするということで。去年までのミセスのようにエネルギッシュに勢いだけでいく感じではなくなったと思います。
つまり、ミセスにとっての新章はここから始まっている?
大森
始まってますね。「WanteD! WanteD!」(2017年8月発表の5thシングル)や「WHOO WHOO WHOO」(2017年12月発表の配信限定シングル)とは全然違うんで。“2018年からのミセス”と言ったほうが分かりやすいかなと思います。
そして、歌詞のテーマは真っ直ぐに“LOVE”と。
大森
“LOVE”ですね。今の10代の子たちって恋愛にリアリティーを描けなくなってる世代だと思うんですよ。それをもう1回自分らの世代で歌うことは、改めて大事なのかなと。恋とか愛とか、最近リアリティーをなくしている言葉を、あえて華やかにショーっぽく描きたかったんですよね。
なるほど。
大森
こういう曲って“あなたが好きだ”で済む話なんですけど、“私はあなたが好きで、あなたは私が好きで”というつながりを書きたかったんですよね。自分が誰かに愛されることとか、あんまり歌われないと思うので。そういうことを書きたかったんです。
カップリング「Log」も、めちゃめちゃいい曲ですよ。
大森
これはKan Sanoさんというピアニストの方と、去年のドラマ『僕たちがやりました』でのつながりで一緒にやりたいということになって。新しいことをやりたくて、Kan Sanoさんがトラックを全て作って、僕が歌詞とメロディーを付けました。坂口有望ちゃんは僕が一方的に知っていて、まだ高校生なんですけど、ソウルフルに歌える子なので、デュエットをお願いしたら快くOKしてくれました。
山中
ものすごくヴォーカルが映える曲なので。良い意味でみんな余計なことをしない演奏の仕方ができたなと思います。
こういうカッコ良いデュエットソング、日本のバンドではあんまり聴いたことがない。
大森
男性と女性のデュエットって恋愛ものが多いんですけど、僕らが高校生の女性シンガーとコラボとなると、求められるのはそういうことじゃないなと。恋愛じゃなくて、その世代特有の劣等感と葛藤とかをお互いに描けたらと思って。僕は20代として、彼女は高校生として、それが交わっていくかたちにしました。
もう1曲の「春愁」はライヴで過去に数回だけ披露された曲ですね。泣き出す人がいるくらい感動的なバラードで。
大森
高校を卒業した翌日ぐらいにワンコーラスを作ったので、まさに高校卒業したてのリアルな気持ちで書きましたね。僕は全日制じゃなかったし、桜がどうこうとか、きれいな歌にはならなくて、“春を愁う”という曲になったんですけど。
藤澤
温かみがあって、愁いもあって、この絶妙なバランスが大事だと思うんですよね。
という、今までのミセスとはかなりイメージの違う3曲。
大森
でも、僕としては毎回いろんなものが更新されてるだけなんですよ。「WanteD! WanteD!」も、ああいうジャンルで勝負を仕掛けたつもりもないし、そのスタンスが評価されればいいだけで。アーティストは曲を生み出すという尊いお仕事をしてるわけだから、評価されるところは曲でいいと思うので。
うん。その通りだと思いますよ。
大森
「サママ・フェスティバル!」は好きだけど「WanteD! WanteD!」は好きじゃないとか、その逆とか、それで全然いいんです。ミセスの楽曲にはいろんな人が入ってくるし、打ち込みも入ってくるから、バンドじゃないんじゃないか?というのは、それこそバンドの本質を分かってないなと思うから。僕らはバンドのあり方はさまざまだと、身をもって証明したいだけなんですよね。
取材:宮本英夫
シングル「Love me, Love you」
ダイジェスト
「春愁」MV
「春愁」(合唱ver.)
by 早稲田実業学校音楽部合唱班
アーティスト
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