【POLYSICS インタビュー】
“えっ、これポリ!?”みたいな、
裏切りをすごくやりたかった
L→R ナカムラ リョウ(Gu&Vo&Synthesizer)、ハヤシ ヒロユキ(Gu&Vo&Synthesizer&Programming)、フミ(Ba&Synthesizer&Vo)、ヤノ マサシ(Dr&Vo)
結成20周年を迎えて、なんと新メンバー加入! 新体制での最新アルバム『That's Fantastic!』も完成した。他に類を見ない独創的なスタイルや音楽性はそのままに、明らかな進化を遂げた彼らのサウンドにビビれ! 今の想いをハヤシ ヒロユキ(Gu&Vo&Synthesizer&Programming)が語る!
まずはナカムラ リョウさんの加入について。20周年のタイミングで新メンバー加入というのは、どんな経緯があったんですか?
ずっと3人体制でやってきたんですが、僕の中にライヴのパフォーマンスでもっと自由になりたいって欲が出てきたり、シンセの部分を手弾きで弾きたいと思うようになってきて。“もうひとりいたら、もっと面白いパフォーマンスができるんじゃないか?”と思った時、“20年目に新メンバーが入るってのもいいよな”と考えるようになったんです。で、探し始めてみたんだけど、全然見つからなくて。どうしよう?と思ってた時、13年くらい前に対バンをしたことがある、ナカムラくんとたまたま再会したんです。それで彼がやってるバンドのCDを聴かせてもらったら、いろいろできるタイプの人なんだと思ったし、つなぎも似合いそうだなと思って(笑)。データのやり取りをしながら一緒に曲作りをしたり、2回くらいスタジオでセッションして、やっと具体化してきた感じでした。最初、ナカムラくんに“新メンバーとしてどうかな?”と言った時には、“まさか、そういう話だとは思わなかった”って大笑いしてたんだけど、“アリかもしれない”って言い出して。そこからスムーズにとはいかなかったけど、だんだん話が進んでいった感じでしたね。
先日、4人での初ライヴを観させてもらったんですけど、4人のポリにまったく違和感を感じなくて、すごく驚きました。
お~、良かった。あのライヴの前に4人でTHE TOISU!!!!って変名バンドで何度かライヴをやってたんですよ。で、“あれ? ポリって4人になるの?”とか、周囲がザワつくかなと思ってたら全然そんなことなくて。ウチのファンは空気が読める子ばかりで、誰もSNSとかに書いてくれないから、まったく話題にならなかったという(笑)。だから、それを“もっとバラせよ!”と思いながら、やきもきしていました。
芸人で言うところの“押すなよ、押すなよ!”なのにね(笑)。
そうそう。こっちはそのつもりだったんだけど、“本当に押さないんだ!”みたいな。だったら、“押せ!”って言えば良かったなと思って(笑)。でも、いざ4人でやってみて、まだ試行錯誤している部分はありますけど、これを突き詰めていければ良いかたちになるはずっていう手応えは感じましたね。
完成した最新アルバムは1曲目、表題曲である「That's Fantastic!」からナカムラさんとの共作ですが、あまりに斬新な曲だからライヴで聴いてびっくりしました。
ポリって速い8ビートでピコピコしてて、展開が激しいみたいなイメージがあるし、実際にそういうのを得意としてるんですけど、今回は“えっ、これポリ!?”みたいな裏切りをすごくやりたくて。今までトライしたことのないビート感だったり、そういうところはすごく意識しました。
ブラックミュージック調の原始的なビートが新鮮で、“現在のポリはこんなこともやれちゃうんだ!?”と思いました。
ベスト盤用に「Tune Up!」を作った時、アフロビートを取り入れたんだけど、あれもプリミティブなリズムで。ビートだけで血が騒ぐみたいな要素を取り入れるのは全然抵抗ないから、「That's Fantastic!」も面白がって作れましたね。「ルンバルンバ」も今までにないビートになってるし、そういうところで新鮮さが出せたのは良かったかな。
ギターが2本になったことで、もっとギターが前に出るロック感の強い曲も増えるかなと思ったんですが、ちゃんとポリのサウンドを推し進めた上でプラスαができてますよね。
“3人+電子音”だったのが、4人になったことで“もっとバンド感を出したい”と思ったところはあって、シーケンスと生バンドのバランスはだいぶ変わりましたね。核となるシーケンスがあって、そこに4人が絡む、みたいなところでバンド感を強く出す音に変わりました。あと、ツインギターが初めてだから大変だけど楽しいし、ナカムラくんから出てくるアイデアもすごく新鮮で。ギターとシンセが弾ける人がふたりいるから、いろんな組み合わせもできて、来年のツアーで披露できるように古い曲をどんどんアレンジしてるんです。
今作で言うと「Crazy My Bone」や「Sea Foo」とかはこれまでのサウンドを推し進めながら、新鮮さを感じる曲でした。
「Crazy My Bone」とか「Cook-A-Doodle-Doo」はレコーディング直前にできた曲で。今回はず~っと曲作りをしてたから、その中からかたちにして、良いものを13曲入れた感じなんですよ。最初は「Tune Up!」の路線で1枚作ろうと思ってたから、こういうアルバムになるとは自分でも思っていなかったんですけど(笑)。最初にできた曲が「Sea Foo」とか「Pretty UMA」とか、「ロックンロー」だったりして、それはそれでこういうかたちで収められたから良かったなと思ってます。
ラストに収録された「ロックンロー」はタイトルや歌詞を含めて、ちょっと意味深な終わり方ですが。
これはね、そこまで意味ないです。ファンクな曲で“ロックンロー”って歌いたいなと思っただけで、深い意味は何もないです(笑)。ただ、歌詞は楽しく書けたし…前作『What's This???』くらいからかな? 他の人が歌わないことを歌いたいなと思うようになっていて。僕は歌によく用いられる、愛だの恋だのっていう普遍的なものを聴いて“バンドやりたい!”と思ったわけじゃないから、それを自分に応用することはできないと思ってて、“だったら、人がテーマにしないことを全力で歌おう!”と思うようになったんです。
アルバムリリース後は全国ツアーが始まりますね。
アルバムの曲はもちろん、過去楽曲を新しいアレンジで聴かせることもできると思うんで、新しいファンも昔から観てくれてるファンも楽しめるツアーにしたいと思ってます。“Hello! We are New POLYSICS!!!!”というツアータイトルに相応しい内容にしたいと思ってるんで、楽しみにしててください。
取材:フジジュン
「That’s Fantastic!」MV
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