【AK-69 ライヴレポート】
『DAWN in BUDOKAN』
2017年10月18日 at 日本武道館
巨大なLEDビジョンに映像が流れ、超満員の観客が沸き立つ中、心音からパワフルなビートが刻まれる「Dawn」でライヴはスタート。周囲をダンサーが踊り、まばゆいライティングに照らされたAK-69は渾身の力でラップしていく。一気に観客を自分の世界観に引き込んでいくパワーは、百戦錬磨のAK-69ならではだ。
ここからは、CITY-ACE、HIDE春との「Flying Lady」、NORIKIYOとの「ロッカールーム」と、AK-69とつながりのあるアーティストが続々登場。「Click da trigger」では、名古屋でAK-69がラッパーになるきっかけとなったG.CUEをフィーチャー。AK-69の盟友で、今は亡きTOKONA-Xと「WHO ARE U ?」で映像とラップで共演し、「ビートモクソモネェカラキキナ 2016 REMIX」では、Zeebraも加わってのパフォーマンスを繰り広げた。
まさに、今回の武道館ライヴは、AK-69の歴史が楽曲を通じて体感できるものとなっていた。名古屋と川崎のストリートで生き抜いてきたリアルさを、2WINのT-PablowとYZERRとともに「Streets」でラップする。一転して「A Hundred Bottles」では“倶楽部日本武道館”のネオンサインの下、足元にシャンパンボトルが並ぶ中で、DJ TY-KOH、KOWICHI、SOCKSとパーティを繰り広げる。
メロウナンバーを聴かせるタームでは、清木場俊介をフィーチャーして「Rainy days」を歌唱。さらにバラード「With You ~10年、20年経っても~」をドロップ。清木場のヴォーカルとAK-69のラップが絶妙に絡み合い、観客の心をグッと掴んでいった。
そして、“ロック代表、来たぜ!”の声とともにUVERworldが登場すると、グルーブ感あふれる「Forever Young」を披露。TAKUYA∞は“お前らの本気見せてくれ!”と観客を煽り、AK-69に負けない熱さで会場を盛り上げる。また、AK-69は人生で経験してきたことを楽曲に落とし込んできたわけだが、彼はここで昨年末に亡くなった父に捧げるナンバー「Stronger」を歌唱。父から学んだものをストレートにラップする姿に、観客の感情も大きく揺さぶられた。
ライヴ後半戦に入ると、AK-69はChe'Nelleをステージに招き入れ、新曲「I Still Shine」を披露。さまざまな出来事が起こる日常でも、折れない心を持って前に進んでいくという力強いメッセージを、AK-69のラップとChe'Nelleの伸びやかなボーカルで武道館に響かせた。続けて、DORBERMAN INFINITYをフィーチャーした「Shatter」をエナジーたっぷりにパフォーマンス。躍動感あふれるステージに、観客の熱量もますますヒートアップ! 会場のテンションをさらに高めるように、AK-69は般若とともに「もう1ミリ」をパワフルにラップ。熱い両者のバチバチの戦いを見せたあとは、エレクトロニックのビートが炸裂する「KINGPIN」をドロップ。ライヴ本編のラストナンバーの前にAK-69は、ラッパーとしてステージに立つ思いの丈を語るーー。
“俺は名古屋のただのゴロツキでした。でも、ヒップホップに救われ、いろんなものをもらって、俺を変えてもらいました。なんでこうなれたのか、答えはひとつです。俺は自分を信じたからです。俺は口だけの男になりたくないんです。自分がなりたい自分に死んでもなる。自分の夢に向かって走り続けて、もう21年が経ちました。俺には特別な才能なんてなかった。いや、ひとつだけ才能があったかもしれん。それは、誰よりも努力をすること。誰よりも夢について考え続け、そして夢を強く強く胸に抱いてきました。みんな、この音楽の力を忘れないでくれ。俺が身をもって発してるメッセージをみんな誇りに思ってくれ。そして、自分と重ねてくれ。お前らも頑張ってるんだろう? 負けそうになるんだろう? でも、いいじゃねえか。死ぬ気で頑張ってる、才能なんてない男がここにいるんだ。俺らはまだ絶対戦えるはず。絶対諦めるんじゃねぇ。俺はみんなに武道館の最後に伝えたいんだ。絶対負けないでくれ。絶対負けいないでいこう。そう、このメッセージこそがオレの音楽。そう、これがAK-69のヒップホップ!”
熱い言葉を発し、AK-69は戦い続ける姿勢を歌った「Flying B」を渾身の力で披露。武道館に強烈な一体感を作り上げライヴ本編を締め括った。そして、観客からの鳴り止まないアンコールに応えて、再びステージに姿を現すと「THE RED MAGIC」を投下。赤いライティングと炎が立ち込める中、ブチ上がりチューンで会場のボルテージをレッドゾーンに振り切ると、ビジョンに“DAWN”を意味する夜明けの映像が映されライヴはフィニッシュとなった。
たくさんのゲストをフィーチャーしながらも単にオムニバスショーにするのではなく、あくまでライヴの主軸にあるのは、AK-69の生き様やメッセージが詰まった音楽。それを最高のショーとして昇華し、観客の心を鼓舞していくさまはまさに圧巻。AK-69は彼にしかできない彼流のヒップホップで、2度目の武道館を凌駕の渦に巻き込むことに見事成功した。
取材:土屋恵介
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