【ISEKI】
キマグレンとはまた違うISEKIが出す
夏ソング
前作『AOR FLAVA -mellow green-』からわずか2カ月、ISEKIがソロとして掲げる“AOR”をテーマにしたカバー第二弾『AOR FLAVA -sweet blue-』が到着。凄腕メンバーによる名演をバックに、永遠の名曲たちを伸びやかに歌い上げる会心の一作だ。
1stアルバムに引き続き、今回もまた名曲満載ということで。
名曲しかないですね。前回よりも、より分かりやすくなったかなと思います。今回もすごく楽しかった。
前回の「DOWN TOWN」に続き、今回は「RIDE ON TIME」と1曲目はまたも山下達郎さんの歌ですね。
やってみて分かったのは、達郎さんは本当に上手い! レベルが高すぎて、すごいなと思いました。
そういう時ってあえて真っ向勝負を挑むのか、自分なりの解釈で変化させるのかどちらですか?
正直言うと、あんまり真っ向勝負で闘わないほうがいいなと感じましたね。ISEKIとしてこのメロディーをどう歌うかに焦点を合わせないと良いものはできないと思ったので、真似っぽくならないようにはしました。でも、やっぱり好きだから若干出ちゃうんですけどね。
達郎さんとか、あと岡村靖幸さんとか、特徴がありすぎるのでどうしても真似になりがちだと思うんですよ。でも、すごく真っ直ぐに歌っているのが印象的で。
ありがとうございます。「カルアミルク」は演奏がすごくタイトだったので、グッと気持ちを入れて、少し抑える感じで歌ってるんですよ。本当に自由に歌わせてもらいました。「カルアミルク」と「モンロー・ウォーク」(南佳孝)に関しては、2年前にインディーズでの活動を始めた頃からライヴでよくやってるんで、歌い慣れてるということもありますけど。「モンロー・ウォーク」のアレンジはライヴでやってたバンドアレンジに近い感じですね。
ライヴ感が強いですね、今回はどの曲も。
そう、今回は本当にライヴですね。メンバーは全曲同じで、小松秀行さん(Ba)、佐野康夫さん(Dr)、草間慎一さん(Key)、鈴木俊介さん(Gu)の5人でどれだけ表現できるか。デモ音源を作らずに、その場でああだこうだ言いながらアレンジをしたんですよ。本当にセッションレコーディングで、みんなで意見を出し合って、むちゃくちゃ楽しかったです。これは超贅沢なスタジオの使い方だなーと思いながらやってましたね。
今どき珍しいんじゃないですか?
でもね、そのほうが早いんですよ。メンバーがみんな上手いから。「ふたりの夏物語」(杉山清貴&オメガトライブ)はラテン風なんですけど、佐野さんが“これどうやったらいい?”って訊くと、俊介さんが“なんか、ラテン風で”って言って、“分かった”って。
それで分かっちゃう(笑)。達人ですね。
それでベースもピアノも、みんな好きにやる。すごいレベルですよ。言葉では言い表せない最上級のレコーディングでした。
ちなみに大滝詠一さんの「君は天然色」については?
自分的にははまったと思っていて、歌いやすかったです。オリジナルにコーラスは入ってないんですけど、僕には聴こえてくるので入れました。原曲に忠実にしつつ、ちょっと違う感じにしたかったので。そういうのでちょいちょい遊んでます。
歌で一番難しかったのは?
一番難しかったのは「ふたりの夏物語」ですね。僕のAORのイメージってメロディーが滑らかなんですけど、この曲は起伏が激しくて、よりロックに近い感じがして。難しかったですけど、自分の歌の特徴も分かったし、発見がありました。
そして、恒例のオリジナル曲はジャンク フジヤマさんとの共作曲「バブル・サマーfeat.ジャンク フジヤマ」で。
自分の趣味を詰め込んで、達郎さんと角松敏生さんと誰かを足して3で割った感じ(笑)。コーラスに関しては角松さんっぽい感じの追っかけコーラスをやりたかったので、ジャンクと一緒に作っていきました。前回のオリジナル曲は中田裕二くんとのデュエットでしたけど、今回はジャンクのコーラスが全体を包むような役割ですごく気持ち良い感じになったので、最終的にこれがリード曲になりました。最初はカバー曲をリードにしようと思ってたんですけどね。
いやー、こっちがいいと思います。
歌詞は松本 隆さんをちょっと意識して作りましたね。真似するとかじゃなくて、イメージとして。夏の海の水平線が輝いて見えるという美しい風景なのに、なぜ俺はそれを切なく感じてるんだろう?と。テーマとしてはずっと好きな人がいるんだけど、その人が別の人のことを好きになるのを応援する歌なんですよ。
あぁ~、それは切ない。
もう自分ではどうしようもない時ってあるじゃないですか。人の気持ちを止めることはできないから、それを受け入れていくしかない。その気持ちを表現したいと思って。それを夏の風景とどう掛け合わせていくかっていう。そんなふうに書いていきました。作詞も少しずつ自分らしいものが書けるようになってきたと思います。
これでシリーズ2作目ですけど、さらに3作目が出るという情報も入ってきましたが。
1stアルバムで自分はこういうことをやりたいんだという表現ができて、ファンの方々にも理解してもらったので、2作目では少し変化球も入れて、自分らしさをより出せたと思ってます。今回は夏満載で、キマグレンの時とはまた違ったISEKIが出す夏ソングというものを提示できたんじゃないかなって思いますね。3作目はまだ何も決まってないんですけど、またみなさんに楽しんでもらえるようなアルバムを作りたいと思います。9月にはライヴもいろいろあるので、ぜひ遊びに来てください。
取材:宮本英夫
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