ももち、アイドル卒業でも「許してに
ゃんは便利だから使っていきたい」
嗣永桃子
嗣永さんは、小学5年だった2002年6月30日に「ハロー!プロジェクト・キッズ オーディション」に合格し、以来アイドルとして活躍してきた。「15年間でいろんな記念日がたくさんあるんですけど、やっぱりアイドルとして終わりにふさわしい日を考えたときに、つんく♂さんから合格をいただいて“あなたはアイドルです”と言ってもらったあの日が私の始まりだったので、この日を最後にしたいとこだわりました」と開演直前に行われた囲み取材で、嗣永さんは打ち明けた。このライブではつんく♂さんから、卒業記念アルバムにも収録されたという曲が最高のプレゼントになったと言い、「つんくさんへの感謝の気持ちも込めて歌いたい」と気持ちを引き締めていた。
この日はハロプロキッズの同期にとっても15周年の記念日ということで、日付の変わった瞬間に仲間たちではメールが交わされていたらしいが、嗣永さんは「次の日の緊張で眠れないということもなく、もうぐっすりと寝ていました」と大物ぶりを伺わせた。朝は家族で食卓を囲み、「母が朝食のデザートに桃を出してくれたんです。受験のときにカツを食べてゲン担ぎしますけど、私にとっての勝負の日なので“今年は桃が高いわね”と言いつつ奮発してくれたみたいです。とってもテンションを上げて家をでることが出来ました」と家族の愛情を示した。
朝食の桃のおかげか、直前まで心配された雨も降ることなく、無事にステージは幕を開け、15周年記念のメドレーを歌う頃には、夕陽が雲間から差し込んで空を照らした。嗣永さんはほとんど1曲毎にメインステージとサブステージを往復し、時には祭りのやぐらのようなゴンドラに乗って、縱橫に会場を駆け巡りファンの近くに寄って歌声を届けた。
一貫して「アイドルは笑顔」を信条とし、この日も一緒にステージに立ったカントリー・ガールズの後輩たちの涙にもらい泣きしそうになりながらも懸命にこらえ続けてきた嗣永さんだが、最後のダブルアンコールを歌い終えると、達成感に思わず心が緩んだのか、一粒頬を流れた涙をぬぐった。それでもなお笑顔をたたえつつ、ステージ中央の階段を上ると、ファンからの愛を受信するアンテナを意味する小指を高く突き上げて掲げて、最後のポーズを決めた。ゆっくりと、舞台下へ姿が消えていく嗣永さんは、最後にロウソクの灯火を消すようにそっと小指をたたんで、卒業ライブを締めくくった。
「もうすることはない。これが最後」と言いつつ、ライブで3年ぶりにももち結びを復活した嗣永さんだが、囲み取材では「許してにゃんも封印?」と記者に聞かれ、「それは便利なので使っていこうと思います」と答えて場を沸かせていた。
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