【ビッケブランカ】
ビッケブランカの存在を
後世に語り継ぐ名曲が誕生!
ビッケブランカ
待望の1stフルアルバム『FEARLESS』は、ただポップなだけじゃないチャレンジングな作品となった。そこにビッケブランカが感じている大きな手応えは、アルバムタイトルと遊び心あふれるジャケ写からもうかがえる。
前回のミニアルバム『Slave of Love』をリリースする時、ビッケブランカの存在が知られていないせいで、ライヴに足を運んでいない人がいる。それはもったいないと言っていましたが、そんな状況も随分と変わってきたのではないですか?
聴いてもらう機会が増えたとは思いますけど、ちょっといい感じになると、すぐに次の目標ができるので、“すげえグイグイきててぇ〜”みたいにはならないですね。“もっともっと!”って思っちゃうんですよ。でも、前回俺そんな感じでした? “みんな、損してるぜぇ”みたいな(笑)。
“してるぜぇ”みたいな感じでなかったですけど(笑)。
もちろん、旋風を巻き起こしたいけど、巻き起こすために作るというよりは、やるべきことをやったらきっと何かが起こるだろうって。『Slave of Love』も狙ったわけじゃないけど、良い作品だと認めてくれる人が増えて面白いことになったので、今回も同じように作りました。
今作はアップテンポの曲がより力強いものになっていたり、「Want You Back」のようなリズムを強調した曲もあったりするせいか、ガツンとくるアッパーな印象になりましたね。リスナーの輪を広げる一方で、洋楽リスナーも含む熱心な音楽ファンにも聴いてもらえる作品にもなったのでは?
そう思います。非常に音楽的になっていると思います。作り始めた時はそんな意識全然なかったんですよ。今まで通りみんなに愛される音楽を作りたいと思っていたんですけど、バランスを考えながら作った曲が自然とそういうものになったんです。「Want You Back」とか、シティポップっぽい「Stray Cat」とか。出来上がった時は、もうちょっと誰もが聴きやすいと思えるものにしたほうが良かったのかなとも思ったんですけど、今ビッケブランカがレベルアップするならそこじゃないかと。とはいえ、限られた人にしか愛されないアルバムにはなっていないと信じたい。それはどうですか?
前作同様、大勢の人から愛されると思いますよ。だって、「さよならに来ました」とか「幸せのアーチ」とか、ど真ん中のJ-POPナンバーもあるから大丈夫じゃないですか?
そうなんですよ! 最終的にいい塩梅に落ち着いている。出来上がった時は、音楽的になりすぎたと思ったんですけど、「さよならに来ました」「幸せのアーチ」「Postman」「THUNDERBOLT」という曲があるからJ-POPの要素もちゃんとあって、音楽ファンにも突き刺さるけど、決して自分の世界に入っちゃってるなってものにはなっていない…というふうに、今は着地しているんです。
そういう作品をひと言で言い表す言葉として、“FEARLESS”が出てきたわけですね?
まずジャケ案があったんですよ。1stフルアルバムで賞を獲っちゃおうぜっていう。“アホじゃね? しかも、何の賞なの!?”っていうのが面白いよねって(笑)。それで、最初“WIN”とか“WINNER”とかが出てたんですけど、何かピンとこなくて。そんな時、“FEARLESS”がポンと出てきたんです。恐れ知らずと言うよりは、“恐れに打ち勝つ。怖いものに立ち向かう。自分の中で矛盾を感じたものを恐れずに出す。怖いけど出す”っていう微妙なニュアンスを表現したタイトルになったと思います。
「Postman」は絶妙にポール・マッカートニーっぽいなと(笑)。
自分ではカーペンターズっぽいと思っているんですけど、ポールっていう人が多いんです。その「Postman」はバラードなんですけど、「THUNDERBOLT」と並んで、今回一番聴き手に寄っていこうとする力がある。前作の「Natural Woman」「Slave of Love」という2大リード曲に対して、『FEARLESS』には「Moon Ride」「Take me Take out」があるんですけど、自分としては互角の出来で。でも、アルバム単位で『FEARLESS』が『Slave of Love』を追い越していると思える理由が「Postman」と「THUNDERBOLT」なんです。特に「THUNDERBOLT」は大袈裟に言えば、ビッケブランカの作品が後世に語り継がれていくようなものになる上で、きっかけになる曲なんじゃないかって。作った時の手応えも圧倒的だったんですよ。この1曲だけで、今でもライヴで盛り上がる「アシカダンス」「ファビュラス」「Natural Woman」「Slave of Love」を超えられる。しかも、その4曲はどれもアップテンポなんですけど、それを超える曲がまさかのゆったりしたテンポの「THUNDERBOLT」だったという驚きが自分でもあるんです。
今おっしゃったことを踏まえて、《そうさ どんな困難も消し飛ぶよ》と歌っているわけですか?
もともと英語だったんですよ。だけど、アルバムの最後を飾ることを考えて、ちゃんと伝わるものにしたかった。だから、日本語に書き直しました。そう! そうなんです。ビッケブランカが考えていることや伝えたいことを伝えられる曲が「THUNDERBOLT」なんです。そこが全てなんですよ。人が歌うことの一番大事なところだから。だから、サビの歌詞も1番と2番で変えずにひとつのメッセージを何回も伝えたいから同じことを繰り返しているんですけど、そこで終わらずに最後、みんなに伝えたいというアイデアのひとつとして、『独裁者』のチャップリンやキング牧師のような演説を加えました。そこでも一番言いたいことが言えたし、レジェンドたちへの敬意も表せた。
っていうか、フレディ・マーキュリー、マイケル・ジャクソンと並んじゃっている(笑)。
だって、賞を獲ってるんだもの。そこは並ばないと(笑)。それぐらいのビッグマウスというか、それこそ“FEARLESS”な感じが、今のビッケブランカなんです。
取材:山口智男
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