【→Pia-no-jaC←】
音楽の自由さを示す
人気シリーズ第六弾
L→R HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)
クラシックの名曲を斬新なアレンジでカバーする人気シリーズの最新作『EAT A CLASSIC 6』がリリースされる。誰もが知っているメロディーに独特な味付けをほどこしている今作について語ってもらった。
このシリーズも第六弾ですが、選曲は悩みました?
HIRO
まだまだメジャーどころはいろいろあるので、選曲では悩まなかったです。大変だったのはアレンジですね。新しいことをやりたいというのが常にありますから。
HAYATO
毎回“もうやり尽しただろう”と思うんです。でも、まだまだ知っている曲というのはたくさんあるんですよね。
クラシックは日常の中でさり気なく流れていますからね。
HAYATO
そうなんです。『EAT A CLASSIC 6』の曲目を見て“全然知らんな”と思っても、聴いてもらえば絶対に知っている曲ばかりのはずですよ。
海外でのクラシックカバーの反応はいかがですか?
HAYATO
良い反応をもらっています。ヨーロッパツアーは特に受けが良かった。“こんなアレンジ聴いたことない”という反応でしたね。ストリートでやった時は、怒られることを覚悟していたんですけど(笑)。
HIRO
ヨーロッパはクラシックの本場ですからね。
HAYATO
クラシックのカバーは初心に戻るような感覚もありますね。譜面は苦手なのに原曲の譜面を見たりもしますし。基礎からピアノをやっている感じにもなります。
→Pia-no-jaC←って音大出身とかに思われがちですけど、実は全然違いますものね。
HAYATO
そうなんです。ライヴでも自由に弾いていますから、分数とかも毎回変わるんですよ。
HIRO
HAYATOはとにかく筋トレをしまくっていた時期がありましたし、クラシックのピアニストとは全然違う感じなんだと思います。
HAYATO
ライヴは体力勝負です!
HIROさんのカホンも強靭な肉体だからこそですよね。
HIRO
最初の頃は慣れと我慢でやっていました(笑)。やっているうちに手の皮が厚くなりましたよ。
HAYATO
→Pia-no-jaC←の曲は体力がないと演奏できないものも多いんです。体力を付けつつ、いろんな音楽を聴きながら吸収して、アレンジをいろいろ考えています。
今回の作品も斬新なアレンジが満載ですね「アヴェ・マリア」はスカですし。
HIRO
フェスとかでみんなが踊れるようなのが欲しかったので、スカをやることにしました。
HAYATO
こういうスカアレンジはやったことがなかったので、弾きながら新鮮でした。
「四季 冬」は《春~》とか《冬~》とか、言っちゃっているのも意表を突かれました。
HIRO
最初はドイツ語で言おうという案もあったんですけど、日本語で言うことになりました(笑)。激しい曲なので、演奏はかなりしんどいです。
HAYATO
ヴィヴァルディはメタルのアレンジが合うんです。前に「春」をやった時もメタルだったので、その流れでこういうものになっていきました。
アレンジは毎回時間をかけているのでは?
HAYATO
しっくりくるまでエンドレスでセッションを重ねるので、時間はかかります。カバーだとアレンジが固まるまで約2週間。そこから自分の身体に入れるまで2週間くらい弾き続けて、思い通りに弾けるようになったらレコーディングをするというのがいつもの感じです。
パーカッションのチョイスも時間がかかるでしょうね。
HIRO
パーカッションの専門店に行っていろいろ試したり、ホームセンターで“これ、いい音しそうだな”と思ったりしています。開ける時にいい音がする缶詰とかもありますし。
HAYATO
いい音がする、たくあんを試したりは?
HIRO
…“それもありかな”とちょっと思ってしまった自分が悔しい(笑)。「アヴェ・マリア」はパーティーチューンにしたかったので、パーティーグッズの鳴りものを使っています。音には関係ないですけど、“本日の主役”っていうタスキをしてダビングをしました(笑)。
HAYATO
爆笑しながらレコーディングをしているのは、録った音にも表れていると思います。
どの曲も遊び心がありますよね。「シューベルトの子守歌」はジャジーな風味が気持ち良かったです。
HAYATO
弾いていて自分が眠くなるような感じが正解なんだろうなと思っていました。和音もジャジーなものにしたくて、理論書を読んだりもしたんですよ。
「フィガロの結婚 序曲」や「主よ、人の望みの喜びよ」、ベートーヴェンの「悲愴」もカバーしていますけど、何百年も残っていく曲のすごさを改めて実感したのでは?
HAYATO
ほんとにそうです。そういう曲をいつか自分でも作れたらいいなと思っています。
数百年後のミュージシャンが→Pia-no-jaC←の曲で『EAT A CLASSIC』をやっていたら面白いですね。
HAYATO
ぜひ、新しいアレンジでやってほしいです(笑)。
HIRO
→Pia-no-jaC←の曲がクラシックと呼ばれる日が来るんでしょうか?(笑)
オリジナル曲を作りつつカバーもやる活動は、まだまだ続くのでしょうか?
HAYATO
続けたいです。“音楽ってこんなに自由なんだよ”というのを伝えていきたいですから。
今年の9月でデビュー10周年を迎えますけど、今後も音楽の自由さをさまざまなかたちで探求し続けるのでしょうね。
HIRO
そうなんだと思います。それにしても…気が付いたら10周年なんですね。ツアーと制作を繰り返していたら、もう10年。秋にはツアーがあるんですけど、“今の→Pia-no-jaC←ってこうなんだよ”って観せられるものにしたいです。
取材:田中 大
アーティスト
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