【SOIL&”PIMP”SESSIONS】『WORLD
TOUR 2009』2009年12月1日 at SHIBU
YA-AX

取材:高木智史

“明日のことなんか忘れちまえー!”と怒号を放った社長(アジテーター)。まさにそんなライヴだった。実際、集った約1500人の観客全ての心と体まで陶酔させ、踊らせ、声を上げ続けさせるようなライヴを繰り広げたアーティストはそうないと思う。SOILは毎回それをやってきた。今夜もそうだった。スモークが延々と焚かれ、真っ白な世界の中「SEVEN」から始まったセット。タブゾンビ(Trampet)と元晴(Sax)がヒステリックに音を轟かせたと思うと、丈青(Piano)が華麗にピアノを奏で、丈青、秋田ゴールドマン(Ba)、みどりん(Dr)の“J.A.M”による「New Things」では音塊が鬼気迫るテンションで押し寄せてくる。曲が進むうちにインプロビゼーション的な要素をはらんだスリリングでドラマチックな音は増大し、快感が体の芯から呼び起こされていく。“今日しか感じられない音を”と社長は声を何度も上げていたが、熱量、空気感、テンポ感、オーディエンスとの掛け合い…全てのものがまさに、その場でしか生み出せない代物だった。真新しい気持ちで“今日も最高だった”と思えることが最強のライヴバンドということを、SOILは毎回のライヴで証明していると言える。しかし、彼らは孤高の存在ではない。アンコールでタブゾンビは打ち上げが始まったように缶ビールを持ってきて、観客と乾杯。それは7月に行なったヨーロッパツアーを含めた、今ツアーでの凱旋をともに祝うように温かい光景だった。だが、ラスト「SUMMER GODDESS」が始まると熱気は一瞬にして再沸騰。“ディス イズ デス ジャズ!”とオーディエンスも一体となった咆哮で締め括ったのだった。



セットリスト

  1. SEVEN
  2. Paraiso
  3. 閃く刃
  4. KEIZOKU
  5. Crush!
  6. MIRROR BOY
  7. PAPA’S GOT A BRAND NEW PIG BAG
  8. My Foolish Heart ~crazy in mind~
  9. New Things(J.A.M)
  10. DOUBLE TROUBLE
  11. Fuller Love
  12. QUARTZ AND CHRONOMETER
  13. SAHARA
  14. Fantastic Planet
  15. 殺戮と平和
  16. POP KORN
  17. SUMMER GODDESS

SOIL&”PIMP”SESSIONS

2001年に東京のクラブ・イベントで知り合ったミュージシャンが集まって結成された爆音ジャズ・バンド。ライヴ・パフォーマンスを中心とした活動を身上とし、確かな演奏力とクールな雰囲気を漂わせながらも、ラフでエンタテインメント性に富んだ、バースト寸前のサウンドを展開する。2003年7月、音源発表前に『FUJI ROCK FESTIVAL '03』に出演、圧倒的なパフォーマンスを披露した。2004年6月に初音源となるアルバム『PIMPIN'』をリリース。自ら“DEATH JAZZ”と称したオリジナリティーあふれるスタイルが話題となり、ジャズ、クラブ、ロック・シーンをクロスオーヴァーしたリスナーを獲得する。2005年2月に2ndアルバム『PIMP MASTER』を発表、全国8ヵ所の初ワンマン・ツアーを実施。同年4月には、アシッド・ジャズの生みの親であるジャイルス・ピーターソンが偶然彼らの音源を手にし、自身のBBC番組『Worldwide』で頻繁にオンエア。番組出演とUKでのショーを直接オファーされる。時を同じくして、ドイツ、カナダ、北欧などのジャズ・シーンで話題となっていく。2010年12月、初のコンセプト・カヴァー・アルバム『SOIL&“PIMP”SESSIONS presents STONED PIRATES RADIO』をリリース。2015年12月には、フジテレビ ボクシング中継のテーマ・ソングとして書き下ろした「SEKAI」を配信した。

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