【TIMESLIP-RENDEZVOUS】TIMESLIP-R
ENDEZVOUS 下北沢CLUB Que 2007年6月
2日

text:石田博嗣

客電が落とされると開場時から流れていたビートルズのBGMがSEに変わり、ステージに黒のシャツにネクタイを締めた4人が現れる。そして、おもむろにヴォーカル&ギターの近藤金吾がギターをかき鳴らすと、オープニング曲「BRAVO HUMAN」のさわやかなサウンドがフロアに広がり、瞬く間に心地良い空気が場内を包み込んだ。2曲目を終えたところで、挨拶代わりに“今日はすごい懐かしい曲から新しい曲までたっぷりやらせてください”とMCする近藤。彼の伸びのある歌声はやさしくも温かく、芯の強さも感じさせ、近藤の人生感が綴られた言葉たちに説得力を与えていた。何度も歌詞の主人公と自分がリンクし、楽曲に惹き込まれてしまったのは、きっと僕だけではないはずだ。また、冨澤裕之がタイトなビートを繰り出し、そこにサウスポーベーシストの近藤泰次が重いフレーズを落とし、井澤雄逸がギタ?で鮮やかな色を付けているからこそ、よりメロディーが生きているということも特筆すべきところ。そして、楽曲によっては泰次がブルースハープを聴かせ、井澤がキーボードを奏で、三声の見事なコーラスワークも魅せると、さらに井澤が「ラジオスターの悲劇」を泰次が「サタデーナイト」、冨澤が「BOYS」とそれぞれがヴォーカルをとって洋楽スタンダードナンバーのカバーでも場内を沸かすのだった。 冒頭のMC通りに、デビューシングル「針にかかった魚が自由を求めるように」や今年5月にネット配信した「夏宙?ナツゾラ?」などが披露された、今夜のライヴ。純粋にロックを楽しんでいるメンバーの気持ちがステージから伝わり、それに呼応するように観客たちも満面の笑顔でバンドグルーヴに体を預けていた。約2時間というヴォリュームだったが、それ以上の内容の濃さを感じたうえ、時間的な長さをまったく感じられなかったことも付け加えておきたい。

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