【mojoco】
取材:田上知枝
自然と身を委ねてしまうほどに心地良い1stミニアルバム
その歌声は、尊く、たおやかだ。“たおやか”とは主に女性に対して使うものであり、園部信教の歌声を表現するのに、本来は適切ではないかもしれない。だが、彼の優しくピュアな歌声を聴けば、納得してもらえることだろう。
結成当初は3ピースだったが、ベーシストが脱退。もともとが園部の弾き語りの延長で組んだバンドということもあり、そのまま山崎"paul"貴博との2人編成となった。paulは、初めて園部の歌声を聴いた時のことをこう語る。
「園部の曲と声を聴いた瞬間に、ぜひ一緒にやらせてほしいと頭を下げたんです。もうすっかり惚れ込んでしまって。当時僕は音楽を半分辞めた状態だったんですけど、再び音楽の世界に引き戻してくれるほどのパワーを感じたんです」(paul)
今作は、珠玉のメロディーとリラックスしたムードが詰まった大傑作。園部の手がける楽曲は、“まるでポップスの教科書のようなメロディー”と称されている。
「レコーディングって、スタジオだとか、防音の整ったところでするのが普通だと思うんですけど、僕らは高知の田舎にある、地元アーティストのアトリエでレコーディングしたんです。鳥はずーっと鳴いてるし、すごく広いアトリエなので音作りがすごく難しい。そういう、いわゆる普通なら劣悪な環境で、楽しみながらレコーディングできました。そのへんに転がっている卓球の球をコロコロ転がしてみたり、寝転んで口笛吹いてみたり、窓に腰掛けて外向いて歌録りしてみたり…結果、いろんなミラクルが起こって、すごく良い作品に仕上がりました。偶然録れた“ホーホケキョ”もアルバムに入ってます(笑)」(園部)
“四国からとんでもない新人が現われた!”との周囲のざわめきをよそに、今なお高知ののんびりとした空気の中に身を置くmojoco。もちろん、その才能を周りが放っておくわけもなく、最近は地元以外でのライヴ活動も増えてきた。
「これからもmojocoはギター持って全国どこへでも行くよ。paulは菜箸でも何でも持って(笑)。もっともっとmojocoの音楽が広がっていくよう応援してください。さよなら。またどっかで会いましょう」(園部)
彼らのゆるい空気感とエバーグリーンなメロディーは、心穏やかに眠りにつきたい時のベストミュージック。心にそっと染み込むピュアなサウンドに、ぜひ触れてみてほしい。
アーティスト
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