【Mrs. GREEN APPLE】『Mrs. ONEMAN
TOUR ~東と名と阪~』2015年12月2
4日 at 恵比寿LIQUIDROOM

取材:宮本英夫

 緊張しすぎて、納得のいくできではなかったという9月の初ワンマンから3カ月後の東名阪ツアーは、いわばリベンジ。1曲目「ナニヲナニヲ」から半端ない気合の入り方で、フロント3人はステージを暴れ回り、大森元貴(Vo&Gu)は“かかってこい!”とフロアーを挑発。ポップバンド? いや、めちゃくちゃロックでしょ。「リスキーゲーム」の間奏で“きよしこの夜”のメロディーを奏でたり、クリスマスイブ仕様のアレンジにオーディエンスも大喜びだ。とにかく踊る気満々のヤングな客層は、EDMアプローチを取り入れた「Speaking」や、テクノポップ風の「アンゼンパイ」で大はしゃぎ。リキッドルームはすっかりダンスフロアー化。そんな明るいムードが一変したのは「恋と吟(うた)」。元貴の情念込めたカオスな叫びに鳥肌が立つ。弾き語りの「えほん」からはアコースティック編成で、未発表曲「ノニサクウタ」は軽快なカントリータッチの新境地だ。続く「うブ」も未発表曲で、なんとびっくり、完全なEDM仕様のダンスチューン! 山中綾華のクールなドラミングがカッコ良い。この1年間での5人の演奏力の向上には、本当に目を見張らされる。

 「道徳と皿」を歌う前に、“有名になりたくてやってる”“みんなが聴いてくれて、初めて曲を作った意味がある”と、音楽へのアンビバレンスな感情を元貴が告白した。さまざまな感情と膨大な情報量を抱えて突っ走る、底知れぬ可能性に満ちたミセスの音楽。アンコールのラスト、待望のフルアルバム『TWELVE』収録の「パブリック」を聴きながら、期待と戦慄が交錯する。このバンドはどこまで行ってしまうのか?



セットリスト

  1. ナニヲナニヲ
  2. 我逢人
  3. リスキーゲーム
  4. Speaking
  5. 藍(あお)
  6. アンゼンパイ
  7. L.P
  8. 恋と吟(うた)
  9. えほん
  10. ゼンマイ
  11. ノニサクウタ
  12. うブ
  13. 愛情と矛先
  14. VIP
  15. 道徳と皿
  16. <ENCORE1>
  17. StaRt
  18. <ENCORE2>
  19. パブリック

Mrs. GREEN APPLE

ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、15年7月にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。18年4月に発表した3rdアルバム『ENSEMBLE』はオリコン初登場3位を記録。アルバムを提げてのワンマンツアーはファイナルの幕張メッセ国際展示場2デイズまで全公演即日完売。シングルと同時発売で最終公演の模様を収めたDVD&Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』をリリースする。

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