【おのまきこ】


取材:土屋恵介

“Origin”から“Originalty”へ

花*花の活動休止から5年後、バンド“音光明媚”で再始動し、その2年後に今度はソロ名義でカバーアルバム『origin』を発表されたわけですが、なぜカバーアルバムを出そうと?

この2年ほどはバンド活動を中心に動いていく中で、バンドの楽曲イメージで歌詞を書くことが多くなってたんで、“自分の曲を作る”っていうところを見直す意味も含めて、自分はどんなものが好きだったかなと思って。あとは、これからの自分の音楽との付き合い方を考えるためですね。好きな曲を歌っておこう!みたいな。オリジナルの楽曲も少なかったし(笑)

では、カバーする曲の選曲基準は?

それはもう“好きな曲”です(笑)。80年代の歌番組は片っ端から観ていたので、好きな曲が多すぎて困りましたね。とりあえず思い付く限りを書き出してみて、今歌いたいものを選びました。あと、アーティストさんが被らないように気を付けたり。どうしても 同じアーティストさんの曲ばっかり並んでしまったり、基本的にバラードが好きなのでバラードばかりになってしまったり…選曲の時点でつまずきそうになりました(笑)

個人的には「君が思い出になる前」が、その場の空気までも音空間の中に織り込んでいるようで興味深いものがありました。特に波紋のように歌声が重なり合うサビは。

『君が思い出になる前に』はお家で歌っているような感覚で、とにかく“穏やかに!”と自分の中で決めていました。あのサビは歌っていて面白かったですね。どうなるか想像はしてましたが、最終的に自分の声で聴くのは不思議な感じでした。

アルバムの最後に収録されている「空の青」は、まきこさんが20歳の頃に初めて書いたオリジナル曲なんですよね。

初めて作詞作曲した曲で思い入れもあって…“こんな曲を聴いて育って、こんなん作るようになりました”という結果として、今回のカバーアルバムの最後に入れようと思ったんです。

20歳の頃の曲を今歌ってみてどうでした?

20歳の時の作品を今歌ったらどんなふうになるのかは、自分でも興味がありましたね。結果…アレンジは随分変わりましたが、歌は声がちょっと低くなったぐらいでしたけど(笑)

レコーディング全体では?

元曲のイメージとかけ離れてもいけないし、どうしても染み付いた感覚があるから真似になってもいけないし…というところでいろいろ考えながら歌いましたね。久しぶりのレコーディングでかなり緊張しました。気合いが入り過ぎて声が出なくて、おかしくなったりとか(笑)。いい意味で気負わずにやろうと思って臨んだはずだったんですが、“おのまきこ”としては1stアルバムなので、今の自分と向き合うという点で、ほんとに自分との戦いでした。

今回のレコーディングで得られたことや発見もありました?

“今の自分と向き合う”というところで歌うことに対する気持ちや、単純に実力の部分で、得られたことも発見もありましたね。まだまだこれからだなと。一生勉強ですね。“歌いたい曲”と“歌える曲”は違っていたり…勉強になりました。

そんな本作のタイトル“origin”に込めた想いというのは?

アルバムそのものが子供の頃から聴いていた好きな曲ばかりで構成されていて、今の自分の基になっているんじゃないかなと思ってたので、“根源”や“起源”とかそんな意味合いでいい言葉を見つけたなって。だから、すぐに決まりました。“Origin”から“Originalty”へ続けるようにという想いを込めて。

おのまきこ

おのまきこ:2000年7月に花*花でメジャーデビュー。同年にはNHK紅白歌合戦に出場。現在はバンド“音光明媚”での活動を中心に、楽曲提供や他のアーティストのライヴやレコーディングにも参加。

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