【Ame】


取材:ジャガー

自分を歌えるようになりたい

穏やかな見た目とは裏腹に、猪突猛進で自身の音楽論を語り始めたAme。その内容は非常に興味深く、引き込まれるように聞き入ってしまった。楽曲同様、人間性も癖のある味わいを持つ彼は、曲を作ることで自身の答えを探しているという。

俺は曲作りでいつも自問自答するんですよ。で、ある答えとして己を主張した『道標』って曲を出したかと思えば、次の曲で完全否定してみたり…。“アーティストであるAmeは何を言いたいのか?”っていう最終的な答えがみつからなくて。例えば、世界平和を唱える曲はたくさんあるけど、それを歌うアーティストは“もっと売れたい”とか、アーティストの中でも争いはあるじゃないですか。そういうのを考えていくうちに、結局何が正しくて、俺が追い求める答えは何なのかが分からなくなるんです。だから、“どういうアーティストになりたいか?”と訊かれたら、“自分を歌えるようになりたい”と答えます。今は、模索する歌がAmeなんですけど、最終的に100パーセントの答えをみつけた自分を歌ってみたいです。

そんな模索の中で生み出される楽曲は、アコースティック、ロック、ファンク…とさまざまな要素が組み込まれたサウンドに仕上がっている。

形としてはアコースティックで作っているだけで、ジャンルはあまり考えてないですね。その時の自分を正直に出すといいますか。もともと、曲に惚れ込んで音楽を聴くことが多いので、いいと思ったものはジャンル問わず聴いてます。自分の楽曲にも、たぶんそういうものが影響されてるんじゃないですかね。

女性目線で描かれたカップリングの「glad」。聴き手の想像を掻き立てる歌詞が魅力的で、本作の中でも特別な雰囲気を感じた。

“子供ができたから結婚したけど、夫の愛が分からない”っていう想像を膨らませて書きました。恋人同士のような盛り上がりはないけれど、これが夫婦の愛じゃないかなと。一見、寂しくもあるけど、自然な存在になることは、すごく幸せなことでもあるんじゃないかと思うんですよ。これを男性目線で書いてしまうと、感情がデカ過ぎてしまう。異性だからこそ落ち着いて見える部分もあるから、個人的には女性目線で書くほうが楽だったりしますね。俺が男の歌を作るのは当たり前な感じもするし…『あいたくて~acoustic ver.~』とか、ストレートにフラれたけど会いたいんだって気持ちだし。この未練ったらしい感じは男心じゃないですか(笑)。まぁ、答えを模索中だし、いろんな視点を持った曲を作りますよ。

Ame

アメ:沖縄県出身のシンガーソングライター。2006年に上京、音楽活動を本格化させ、09年シングル「道標」を発売。自身の答えをみつけるべく、楽曲制作とともにストリートを中心としたライヴ活動を行なう。

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