【LOW IQ 01×ホリエアツシ(ストレ
イテナー)】


撮影:キセキ/取材:高橋美穂

まず、01さんはカバーアルバムを作るにあたって、どういう視点でアーティストに声をかけたのですか?

01

僕らの同期、HUSKING BEEやSCAFULL KINGもトリビュート盤を出してて、みんな個々にいいアルバムだったんで、俺には俺の出し方があるのかなと思って。同期のバンドがいつつ、下の世代もありつつっていう。

その中でホリエくんに声をかけた経緯というのは?

01

結構前からフェスとかで話したりはしていて、顔見て決めたんです(笑)。直接本人に頼んだんですけどね。

ホリエ

すごいやりたいと思って、「Rules」を。でも、ストレイテナー自身のレコーディングもあって、バンドではスケジュールがなかったんですね。でも、『MIYAKO ISLAND ROCK FES』の後夜祭で、01さんとISSONさん(磯部正文/MARS EURYTHMICS)の弾き語りで、僕ら4人はアコースティックで参加していて。その前の晩に飲んでた時に、“トリビュートやりたかったんですけど、時間が合わずできなくて”って話をしたら、“ひとりでもいいからやってよ”って言われたんです。

01

そしたら即答で返事してくれました。

ホリエ

とにかく「Rules」がやりたかったんです。

01

それに愛情を感じました。“僕ひとりでいいんですか!?”って言われましたけどね(笑)。

ホリエくんがソロ名義で楽曲を発表するのは初めてですよね。それほどまでに「Rules」が好きだったんですね。

ホリエ

歴史に残る名曲だと思います。当時まだ僕は大学生だったんですけど、車で聴きながら歌ったりしていたから。

どういうアレンジを考えたのですか?

ホリエ

最初は弾き語りでやりたいって言ってたんですけど、KEN YOKOYAMAさんも弾き語りだったんですよね。KENさんと僕のふたりが弾き語りって、ダメだろうと思って(苦笑)。で、エンジニアの家に行って打ち込んだりとか、ギターだけじゃなくシンセも弾いて形にしました。やってるうちにどんどん楽しくなって、こういう音をやりたいなって方向に「Rules」を使って近づけて行った感じです。もともとメロディーがめちゃめちゃいいんで、そこはそのまんまで。ただ、アレンジが凝ってたりとか、ミクスチャー的じゃないですか。それを1本のミディアムナンバーにしたらメロディーが生きるかなと思ったんですよね。

01

あぁ、僕はソロを始めた頃は、メロディーも拘ってたけど、ギミック的なものを出したかったのね。そういうものを歌に変えるとこうなるんだと。俺がミクスチャーなら、ホリエがやったことはロックのスタンダードっていうか。

ホリエ

今の話を聞いて、僕は1枚目『MASTER LOW』での展開にびっくりしたのを思い出しました。

アレンジする上で、自分の色を出そうなど思いました?

ホリエ

歌い方はかなり。車で歌ってたから、普通に歌うとモノマネになっちゃうんですよ(苦笑)。ミディアムテンポだし、優しく歌おうと。サビになったら、原曲のようにアガりたくなるけど、そこも優しく歌ったらどうなるかなと。

01

そのおかげで曲が壮大になったっていうか。今まではミクスチャーでいろいろ入ってたから、引いちゃう人もいたと思うけど、ホリエが曲の窓口を広げてくれましたね。

ホリエくんは、01さんとフェスで出会う以前に、SUPER STUPIDのライヴに行ったりしてました?

ホリエ

ライヴに行ったりはしてなかったんですけど、周りには行ってる友達はいました。あと、恵比寿の『みるく』ってクラブによく行ってたんですよ。そこで01さんをたまに見かけて、うわぁって(笑)。当時は怖かったです。

01

(笑)。俺はストレイテナーのインディーズ時代のCDも持ってるんだよ。

ホリエ

でも、フェスとかでも最初は遠巻きに見てたんですよ。大木くん(ACIDMAN)は“全然怖くないよ”って言ってくれるんだけど、ウソだろうと。なので、01さんから気さくに声をかけてくれて、“あ、俺のこと知ってる!?”って分かったのが3~4年前の『ROCK IN JAPAN FES』かな。

01

俺の知人の娘さんがストレイテナーのファンなんですよ。だから、“一緒に写真撮ってよ、見せるから(笑)”って。ただの親戚のおっちゃんですよね、肩透し食らったんじゃない?

ホリエ

僕もすかさずそこで写真撮ってもらって、大学時代の友達に送ったりしましたね(笑)。インディーズパンクの一大ムーヴメントを起こした方じゃないですか。

01

いやいや。でも、フェスとかのお陰で壁がとれてきたから、こういうこともできたと思う。ホリエの世代にもシーンってあると思うし、この世代は当たり年でしょ? ホリエたちがこういうふうにやってくれてると、こっちも頑張れる部分はあるよね。ここでいい点がつながった感じはします。

ホリエ

僕らの世代って、周りにパンクのバンドがたくさんいて、20代前半は“ギターロック”と言われるバンドは苦汁を飲んだけど、そこを耐え抜いてきて、今に至る感じですね。

01

結局、それもオリジナリティーだと思うんだよね。“売れてるから、これやります”って方向性をコロコロ変えてしまうんじゃなくて、一本筋を通してるバンドだと思うし。

ちなみに、プライベートで何か逸話ってありますか?

01

そんなに飲んだりはしてないけど、こないだ無理やり朝まではあったね。このカバーアルバムの取材の座談会があって、座談会後は帰ろうとしたホリエに、B○○○○○NってバンドのT○○○○-LOW って人が、“もう帰っちゃうのか?”と言って、ホリエは“じゃあ、一杯だけ”から結局朝まで、ね(笑)。

ホリエ

でも、TAKAさん(BACK DROP BOMB)とかタガミさん(FRONTIER BACKYARD)とかTOSHI-LOWさん(BRAHMAN)との空気感が、面白かったです。

01

独特なんだよね。個性強いのよ、ヴォーカリスト。みんなひと癖もふた癖もあるから、面白い。あと、静かじゃないし。

では、最後にホリエくんから01さんのソロ10周年に向けてメッセージをお願いします。

ホリエ

10年前からすごい人ですけど、僕らより下の世代にも音楽を教えてほしいし、ずっと先を行ってほしいですね。

01

踏み台、踏み台!(笑)

いやいや、01さんあってですよ!

ホリエ

そうですよね。

01

まずはストレイテナーと対バンしたことないから、一緒にやりたいね。

LOW IQ 01×ホリエアツシ(ストレイテナー)

ロウアイキュー・イチ:10代から数々のバンドでベースやヴォーカルなどを担当。20歳でサックス奏者としてアポロスに参加。その後、FOEの曾田茂一とアクロバットバンチを結成。1994年、SUPER STUPIDを結成。99年、ソロ活動開始。新ユニットLOW IQ & THE BEAT BREAKERとしてのライブ活動に伴い、MASTER LOWからLOW IQ 01 & MASTER LOWにライヴ名義を変更。09年はソロ活動10周年のアニバーサリーイヤーにあたる。ストレイテナー:1998年より、渋谷、下北沢を中心にライヴ活動を開始。UKギターロックやパンク、オルタナなどの音楽的背景を携えながら、それにとらわれない自由で疾走感にあふれたライヴが評判となり、2003年メジャーデビューを果たした。そして、去年10月1日に新たなギタリストとして大山 純(元ART-SCHOOL)が加入し、4人組ロックバンドとして新たな動きをみせる。