【ASIAN KUNG-FU GENERATION】だから
こそ、もうちょっと今の空気を変えた
い
L→R 山田貴洋(Ba&Vo)、伊地知 潔(Dr)、後藤正文(Vo&Gu)、喜多建介(Gu&Vo)
1年2カ月振りに届けられたニューシングル「新世紀のラブソング」。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが開いた新たな扉、その向こうに広がる世界をあなたにもどうか感じてほしい。新世紀はここから始まるのだ、きっと。
取材:本間夕子
「新世紀のラブソング」を一聴して驚きました。バンドが新しいモードに入られたんだなって強く感じましたし。
後藤
ありがとうございます。でも、いつもはもっとバチッと切り替えてるけど、今回はそんな感じでもなくて。今までは前のアルバムの反省を踏まえてとか、わりと意識的に話し合ってたけど、今回はもう“いい曲書くしかないよね!”ぐらいの話しかなくて。
山田
前アルバム『ワールド ワールド ワールド』のホールツアー以降、曲作りをパソコン上でかなりいろいろやるようになってるんですよ。この曲も後藤がデモを出してきた段階でほとんどかたちはできていて。それをバンドでやった時に、どう良くするかが悩みどころではあるんですけど。ただ、メンバー同士、今までみたいに言葉で音のイメージを伝えるより、具体的なフレーズでやりとりするようになってきた分、話は早くなりますよね。ここ最近のそういう積み重ねが曲にも表われてるんじゃないかなと。
後藤
ほとんどセッションしてないもんね、「新世紀のラブソング」は。録ってみないと分からないタイプの曲だったので(笑)、かなりスタジオワークに寄ってます。でも、いろんなやり方があるんだなって。ここにきてまた発見があるのが楽しいというか…バンドって自家中毒になってしまうのが一番良くないと思うんですよ。やり方が決まってしまって、それによって自分たちが窮屈になるのが一番やりづらいと思うから。なにかしら新しい血が欲しいなっていうのは自分たちの中にもありましたしね。
歌詞と曲は作る段階から連動してるのですか?
後藤
メロディーに関して言えば、ほぼ作詞と作曲は一緒ですね。作りながら言葉とか場面とか思い浮かべていく。
アジカンの音楽って、歌詞もかなり重要なファクターだと思うのですが、これだけ“言葉を伝える”ということに特化した曲もそうはなかったなと思って。
後藤
どうなんだろ? でも、確かに文字は多いな(笑)。とにかく今、自分が感じていることを洗いざらい書いたんですけどね。21世紀が始まって10年経って、“これはヤバいぜ”って。もう少し新しい世紀に期待してたんだけど、現実にはそうでもなかったっていう感覚がすごくあるので。
喜多
すごいハッとさせられるフレーズが出てきますよね。後藤正文の音楽と彼の考えてることはより切り離せないものになってきてる。それは日頃話してても感じるし。そういうのが、この曲以外でも最近作ってるものには顕著に表われていますね。
伊地知
始めは、これ、俺らにも言ってんじゃないかなって思いましたから(笑)。後藤の書く歌詞自体、最近は分かりやすくなってる気がするし。言葉が伝わりやすいっていうか。
山田
普段考えてることをズバッと歌詞にしてメロディーに乗せてくるから“なるほど!”って。しかも、これを“ラブソング”って言うんだ、みたいなところでハッとする感じもあって。
うん、“ラブソング”ってすごく深いと思いました。自分たちが生きている時代とか世界へ向けてのラブソングっていう。
後藤
そういう気持ちはあると思う。だからこそ、もうちょっと今の社会の空気を変えたいというか…難しいことだけどね。
このタイトルは始めから付いてたのですか?
後藤
いや、付いてないです。曲だけあって途中で付けた。
喜多
最初は“新世紀”って呼んでたね。
12月1日から『Tour 2009~酔杯リターンズ~』が始まりますが、ツアーでこの曲は…。
後藤
やります、もちろん。新曲からも何曲かやれればなって。
山田
ま、この曲に関して言えばライヴでの再現性はちょっと無視されてる部分はあるかもしれないけど(笑)。
後藤
ああ、わりと再現性を無視する傾向にはあるね、今ね。もういいじゃん、ライヴはライヴでやろうよって。
これがどんなふうにライヴで演奏されるのか楽しみです。
後藤
4人全員、前に出てきて歌ってたりして(笑)。
山田
カラオケ鳴らして?
喜多
楽だね、カラオケなら(笑)。
かなり新しいな。それやったらホントにアジカンの新しい扉が開いたなと思いますけど。
後藤
すごい面白いけどね。ターンテーブル1台と4MC、ビースティボーイズみたいになっちゃって(一同爆笑)。
伊地知
“なに!? どうしたの!?”って。
後藤
次のツアーから誰も来てくれなくなっちゃうかな。
伊地知
絶対来ないよ!
ははははは。ホント勘弁してください。
山田
ま、それは極論ですけど(笑)。実際、バンドの生っぽさだけでやっちゃえる曲っていうのは減ってきてるから、それはそれでまた考えるところではあるんですけどね。
後藤
音源にしても、ライヴにしても、人力感はやっぱり欲しいし。
山田
もちろん。この4人でできるものっていうところはちゃんと出したい。ライヴをやったとして、明らかにCDより良くねえぞってなっちゃったら、それは絶対、意に反するものだから。
期待してます。そう言えばこのシングルは後藤さんの誕生日にリリースされるんですね。
後藤
そうなんですよ、たまたまですけどね。みんな買ってくれるといいな、“おめでとう!”って、ひとり2枚ずつ(笑)。
山田
で、それが贈られてくるっていうね、ゴッチのとこに。
後藤
うそうそ、違うよ。そういう売れ方がしたいんじゃないから。ちゃんと届いてくれたらそれでいい。僕たちはいいものを作りたい、いいもので届くものを作りたいと思ってやってるから、どんな形であれ、まず聴いてくれたらそれだけでうれしいです。
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