【FUNKIST】
取材:金澤隆志
「Snow fairy」は、アニメ『FAIRY TAIL』のテーマ曲となっていますが、アニメの内容を反映した歌詞になっているのですか?
染谷
僕は原作を読んでいたので、話をいただいた時はすごく興奮しましたね。世界観と歌詞のイメージは断片的にできたんだけど、珍しくメロディーが全然出てこなかったんですね。悩みながら何曲も作ったんだけど、何か違ってて。そんな中、ヨシロウが去年「BORDER」を作ったのと同じ時期に書いた曲が合うんじゃないかって言い出して。実際、曲調やアレンジがすごくハマったので、その曲をモチーフに、歌詞をアニメの内容に寄せていったんです。そのまま使える部分もいくつもありましたしね。アニメの“仲間とともに、さまざまな困難を越えていく”という世界観と、FUNKISTがテーマとする“仲間”や“旅立ち”といった部分が、シンクロすることも多く、極端に変える必要もなかったんです。
ヨシロウ
アニメの中に僕たちが登場させてもらいたいぐらい、ストーリーと歌詞がシンクロしていましたね(笑)。
「Snow fairy」と2曲目「hira hira」は、冬らしさを全面的に押し出したウィンターソングとなっていますが、冬という部分をしっかりと意識して書いたのですか?
染谷
もともと季節感を大事にするのは好きなんですけど、メジャーに来て最初の1年は、FUNKISTがどういうバンドなのかが分かることを重視していて、季節感よりも自分たちらしさを見せることに焦点を合わせてきたんですね。でも、メジャーで1年間やってきてFUNKISTらしさも浸透してきた今だったら、季節に合わせた作品を作ってもいいかなと。
ヨシロウ
FUNKISTって夏っぽいと言われるんだけど、冬っぽいほうがやりやすかったりするんですよね。情緒あるメロディーとか。
2曲とも冬の一場面というよりは、冬を軸とした季節の移り変わりのような情景が浮かぶ歌詞だと感じました。
染谷
意識はしてないけど、季節の変わり目や変わっていくところによってもたらされるものは大きいかもしれませんね。季節の移り変わりは情景の変化だけじゃなくて、超えてきた時間も表現できますよね。“春夏秋冬”という言葉にも、“1年間、一緒にいたよね”ではなく、“それぞれの季節に起きた、いろいろなことを一緒に越えてきたよね”という思いが込められるし。時間の流れが見えるのが好きなんですよ。
「hira hira」は、ラブソングの趣が強く出た曲ですね。
染谷
完全なラブソングですね。久々に“ラブソングを書くぞ!”と意気込んで書きました(笑)。普段は照れ臭いんで、いろいろな解釈ができるようなぼかし方をするんだけど、今回はあえてぼかさないで書いてみようかと。
結婚への決意表明のようにも読めたのですが。
染谷
付き合っている恋人同士って、みんなずっと一緒にいたいという気持ちがあると思うんです。でも、それを言葉にするのは勇気や覚悟がいるわけで。ましてや、僕らみたいな夢を追いかけているミュージシャンだとどうなんだと。ある程度の地位を築いてからじゃないとダメかな…とか。同年代の仲間を見ていても、そういうのを切り出すタイミングって難しいんですよね。最終的には“素直に思いを伝えたらいい”ということなんですけど。
曲調的にもこれまでのFUNKISTの新たな顔が見えたものになっていますよね。
ヨシロウ
でも、完成した時に、メジャーデビューするよりずっと前の、初期のFUNKISTの感じになってるってみんなで盛り上がったんですよ。みんながやりたい放題やってる感じが。
染谷
久しぶりに肩の力が抜けていてね。「Snow fairy」がアニメに向けて作った部分があったのに対して、「hira hira」は自分たちなりのFUNKIST像を作っていこうというところから始めたんですよ。そうしたら、自然とこうなりましたね。
サビの“泣いて泣いて~”というリフレインも、これまでのFUNKISTとはちょっと違う感じがして、新鮮ですね。
染谷
去年の秋冬頃、俺がまったく曲を書けなくなった時期があったんですね。それを見兼ねてか、宮田泰治(Gu)が“泣いて泣いて~”という繰り返しの部分を持ってきたんですよ。それを1年かけて発展させて出来上がったのが、この曲で。サビの1フレーズだけ、しかも俺じゃないメンバーが作ってきたアイデアを基に曲に仕上げていくというのは、すごく新しかったですね。宮田ならではのシンプルなフレージングが功を奏した曲です。
3曲目の「South Africa 2009」は、今年2回訪れた南アフリカへの感謝を歌っているそうですね。
染谷
これまでは南アフリカに対しては悲しい曲や痛い曲しか書いたことがなくて…“どうやったら彼らをもっとハッピーにできるんだろう?”という思いが強かったんですね。でも、今年、南アフリカにツアーで2回行って、“むしろ彼らの方がハッピーに生きているんじゃ?”と感じたんです。僕たちはモノはあふれているかもしれないけど、彼らが持つ生きることへの力という点においては遠く及ばない。彼らからもらったこうした気持ちへの感謝を胸に、力強いアフリカ、楽しいアフリカを描きました。“2009”というのは、“に、センキュー”という思いもあるんですよ(笑)。この語呂が使えるのは、今年しかないんですよ。
ヨシロウ
すげーな、世紀のダジャレじゃん(笑)。
アーティスト
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