【POLYSICS】武道館では現在の4人で
の完成形を見せたい
L→R フミ(Ba&Vo&Synthesizer)、ハヤシ(Vo&Gu&Pro)、ヤノ(Dr)、カヨ(Synthesizer&Vo&Vocoder)
1月にベスト盤『BESTOISU!!!!』をリリース。そして、3月には初の日本武道館公演を控えるPOLYSICS。前号に続きPOLYSICSの歴史を振り返りながら、現メンバーでは最後のライヴとなる武道館公演に懸ける想いをハヤシ(Gu&Vo&Pro)とフミ(Ba&Vo&Syntesizer)に訊く。
取材:フジジュン
前回は“現在の4人になり、海外を経験してオーディエンスを意識して曲を作るようになった”という話まで聞きました。
ハヤシ
はい。それでできたのが5thアルバム『Now is the time!』で。その頃、UKとかでニューウェイヴ・リバイバルみたいなものがあったので、それに対する自分たちの回答がこのアルバムですね。あと“POLYSICSとはこういうバンドだ”というのを提示したくて、“邦楽ニューウェイヴ”みたいなテーマが自然と生まれる中で6thアルバム『KARATE HOUSE』を作って。その後、さらにニューウェイヴな存在でいたい、ニューウェイヴの歴史でできなかった音楽をやろうと思うようになって7thアルバム『We ate the machine』を作りました。
フミ
この3部作では、現在の4人によるベーシックがしっかりできた手応えがありましたね。“これで完結!”みたいな感じがあった。
ハヤシ
あとは悪ノリしていく一方みたいな感じだったよね(笑)。
ハヤシさんってバンバン曲ができるタイプなのですか?
ハヤシ
佳曲も含めてだったらバンバンできるんですけど(笑)。人と作ると勢いでやるにはもったいないから、意見を聞きながら。
フミ
厳選した意見を聞いて、じっくり作る感じだよね。
ハヤシ
でも、比較的早いですよ。やりたいことが決まると、そこから早いですね。自分にないことやろうとすると難しいけど。
POLYSICSの楽曲ってアイデアが重要なわけで。まずは多くのアイデアが必要になってくるのが、他のバンドとの違いですよね。
ハヤシ
そうですね。だから最初、メロディーや歌詞は全然考えてなくて。ギターとシンセでおもちゃのように遊んでいるうちにアイデアが下りてくることもあるし、いろんな音楽を聴いて“これをPOLYSICSでやったら、どうなるんだろう?”って試してみたり。それの繰り返しですね。初期の「BUGGIE TECHINICA」って曲も“ガレージサーフをPOLYSICSでやったら、どうなるんだろう?”ってところからだったり、今もそういう作り方で曲ができるし。
海外でウケる理由として、そういう部分もあると思うんですよ。例えば、ベスト盤に入っている「Moog is Love」の英語バージョンを聴くと、“こんな感じ知ってるけど、こんな曲聴いたことない!”みたいな感覚になる。それって日本のリスナーも海外のリスナーも同様に感じる印象だと思うんですよね。
ハヤシ
まさに「Moog is Love」は“王道ハードロックをPOLYSICSがやったら?”みたいなところから生まれた曲ですからね。これは現場で感じ取った空気が重要で、海外でツアーやってるとラジオでAC/DCとか流れて、ドライバーが“イエ~イ!”みたいなシーンが本当にあって(笑)。“みんな好きなんじゃん!”と思って、“それをPOLYSICSがやったら痛快じゃん?”って。
調理法は変わったけど、そこまでの過程は初期と変わらず?
ハヤシ
そうですね。ただ、8thアルバム『Absolute POLYSICS』は全然違いますね。この作品でインスパイアされたのは、POLYSICS自身だったんです。インディー盤のリマスターをやってる時、それまで恥ずかしくて聴けなかった音源を10年ぶりに聴いて“こんなバンド、昔も今もいないじゃん!”と思ったんですよ。“過去のPOLYSICSをイメージして、今の4人で作れたら面白いものができるんじゃないか?”って、「Beat Flash」を作ったらバッチリで。“1stのような衝動感”をテーマに、そこだけを考えて曲を作ったらサクサク曲ができていった。手応えもありましたね。それまでは説明が必要な曲もあったんですけど、これに関してはまったく説明がいらないというか。
常に進化や変化を繰り返している印象のPOLYSICSですが、根っこの部分はまったくブレていないという証明でもありますよね。
ハヤシ
それはありますね。結局、好きな音の感じやピコピコしてる感じ、バンド感にユーモアが足されているものが昔から今までずっと好きだし。これからも基本は変わらないでしょうね。で、『Absolute POLYSICS』はインディー盤から数えて10枚目で。偶然だけど、10枚目にしてこの作品が出せたのは何かあるなって。
『Absolute POLYSICS』の時のインタビューで、フミさんが“漠然と思っていたものがかたちにできた”と話していたのも印象的でした。
フミ
10枚目にして、それができるようになったってのは大きいですね。心の持ち方もそうだし、技術的な部分でもそうなんだけど。ちゃんとかたちになるんですよね。またすぐに“ああしたい、こうしたい”も出てくるんでしょうけど、それは繰り返しですからね。
では、そんな歴史が詰まった『BESTOISU!!!!』については?
ハヤシ
とにかく楽しい一枚になったなって。Disc -1の方は一気に聴ける感じもありますし、Disc-2も前から入れたかった現メンバーによる過去曲のライヴテイクも入れられて。新旧両方のファンが楽しめる作品になったんじゃないかと思ってます。
そして、3月には初の日本武道館公演が控えています!
ハヤシ
やっぱり、いつかは武道館でって気持ちはありましたね。小さなハコでもみくちゃになってライヴするのは得意ですけど、椅子がある席でも盛り上げたいと思って日比谷野音をやったりして、ライヴも常に新しいことに挑戦していきたいという気持ちがあるので。その中のひとつとして、武道館というのがありますね。
フミ
POLYSICSが武道館でライヴをやるって決めた時は、自分の中でも違和感がありましたけど、その違和感を良いほうに働かせたら面白いんじゃないかって。武道館でPOLYSICSならではの空気が作れたら面白いだろうなと思ってます。
武道館公演でカヨさんが卒業するという発表もあって、現在の4人でのライヴはこれで最後となってしまいますね。
フミ
はい。だから、そういう意味でも現在の4人での完成形、ベストのかたちのライヴを観せたいなって。それだけです。
ハヤシ
このタイミングで『Absolute POLYSICS』ができたのもすごく大きかったですし、アルバムツアーも全国で最高のライヴをっていう意識でやれていたので、最高のかたちで送り出したいですね。
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