【Half-Life】新しさが込められた第
2ステージへの入口
L→R 福島 有(Dr&Vo)、岡村健人(Ba&Vo)、上里洋志(Gu&Vo)
昨年12月にアルバム『second narrow』でメジャーデビューを果たした3ピースバンド、Half-Lifeが新曲をリリース。暴発寸前のエネルギーが充満した「city talk」他、挑戦が込められた一枚になった。
取材:榑林史章
1曲目「city talk」の歌詞は、声に発せられない言葉、想いをかたちにできないもどかしさや苛立ち、でも欲求だけはあって…という。そういう悶々としたエネルギーに満ちていますね。
上里
そうですね。これは、2ちゃんねるを見ていた時、ネットの世界のような、普段思っていても日常会話で言葉にできないことを仮想空間だけで言葉にし合っている、つまり声にならない言葉たちが浮遊している世界があると感じたことがきっかけで。それは日常的にもたくさんあることなんじゃないかと思って、そこから歌詞を広げていきました。
同時に自身の中での葛藤も描かれていると感じました。
上里
そういう部分は、自分の歌詞における絶対的なテーマなので、重ねて表現しています。それに2ちゃんねるのような世界は、僕も共感できる部分が多いんです。僕も普段は言葉として発せられない言葉を自分の中に溜め込んで、それを歌詞にして声に出しているわけで。結局同じだなと思って。
歌詞には“何ちゃんねる?”とか“Mr.名無しさん”とか、2ちゃんねるを彷彿させる言葉も出てきますね。
上里
でも、否定しているとか、茶々を入れているとかではなくて。そういう世界に少しでもより添えられるようにと使いました。
“city talk”というタイトルはどんなところから?
上里
街に浮遊する言葉や会話というイメージからです。本当ならできるはずの会話ができずに、街にはそれが声にならないまま無数に浮遊している。それをもっと積極的に言葉にして発していこうよっていう、リスナーへの問いかけでもありますね。
サウンドもすごく濃密ですね。都会っぽさも感じるし、混沌としながらも、でもどこか緻密さもあるように感じました。
福島
これは最初、ものすごく複雑に作り込んでいて。今できることを全て詰め込みたくて、あれもやりたい、これもやりたいとなってしまって。でも、ちょっとやり過ぎて、削ぎ落としていったので、混沌とか緻密とか感じてもらえたのだと思います。
上里
実は一度はレコーディングして、それから1週間削ぎ落とす作業があって、それで再レコーディングしたんですが、その時に歌詞もメロディーも変えていて。最初は“首都高”という仮タイトルでイメージもそういう感じだった。でも、ちょっと違うなということで、最初の2ちゃんねるの話になるんですけど…。
個人的にはイントロのディレイ感が好きです。
上里
シティっぽいですよね(笑)。
福島
もともとはそのイントロのディレイのかかったギターがきっかけになっていて。それを聴いた瞬間、”これを曲にしよう!”って。
上里
合宿の時、ノリでちょっと弾いてみたのが“これ良くねえ!?”って。それで合宿の間に土台ができて。
岡村
今までは、曲がかっちり出来上がっていてライヴで何度もやって、こなれているものだけをレコーディングしていたんです。他の2曲もそうで「BASEMENT」は1年半くらい前、「butterfly」は5年くらい前にできて、どちらもライヴでずっとやっている曲なんですよ。でも、「city talk」はライヴでやっていない状態でレコーディングした…その点でも初挑戦の曲になりました。それに「BASEMENT」は(上里)洋志がアコギで作って持ってきた曲で、メロディーと歌詞がかっちり最初からあった。だから1曲目と2曲目は本当に、すごく対照的な作り方をしているんです。
新曲の「city talk」と、その以前からある「BASEMENT」と「butterfly」を一緒に入れようと思ったのはどうしてですか?
上里
「city talk」の歌詞テーマにすごく合うと思って。「BASEMENT」にも言葉にならない言葉が詰まっているし。「butterfly」のほうは、この5年間で成長することができた今の俺らでやったらどうなるんだろう?っていう興味もあって。
レコーディングはツアーの終盤に行なわれたそうですが、そのあたりで何か影響はありましたか?
上里
ツアーは毎回勉強になってすごく楽しいんです。でも、ただ楽しかっただけでは終わらせたくないというのもあって、それが今回のシングルにはつながっていると思いますね。今回のツアーでは、初めて挫折を感じたということもあって…。それは他のバンドさんから強い想いをぶつけられた時、今までは“すごいな!”と感心していただけだったのが、今回は初めて“負けた”という感覚の時があった。すごく悔しくて、それがモチベーションのひとつにもなっていったし。そういう意味でもいろいろな部分での成長や変化を感じてもらえるんじゃないかと思います。「city talk」には新しい自分たちが込められたし、Half-Lifeの第2ステージへの入口になる作品になったと思います。
タイトルの”Many comes,many past.ep”は?
上里
アルバム『second narrow』のジャケ写は3人が写っているだけで、あれも良かったけれど、リスナーの日常とリンクしづらいかなと思って。今回は街がテーマになっていて、街と言えば人間が行き交う交差点が思い付く。それで今回はアーティスト写真とジャケット写真は交差点をイメージしていて。
岡村
でも、交差点だからと言って“インターセクション”とかダイレクトなものは何か違うし。そこで思ったのは、交差点は人が来ては過ぎて行く、出会いと別れがある場所だということ。これは人生にも似ていて、人生を歩む中で、人に限らずチャンスとかいろいろな出会いが行き交っていて、たまに立ち止まって振り返った時にまた何かが見えてきたりするという。そんな意味合いも感じてもらえたら良いかなと思います。
ちなみに「city talk」はアウトロが長くないですか?
上里
よく言われるけど自分らではそういう意識がなくて(苦笑)。
福島
そこから曲の起承転結とか流れを感じてください。
アーティスト
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