【GOING UNDER GROUND】この曲を作り
終わった時に“あっ、これだな”って
思えた
L→R 石原 聡(Ba)、河野丈洋(Dr)、松本素生(Vo&Gu)、中澤寛規(Gu&Vo)
昨年、キーボードの伊藤洋一が脱退し、4人編成となったGOING UNDER GROUND。プロデューサーにBEAT CRUSADERSのヒダカトオルを迎えたニューシングルで、新たなる章の幕開けを飾る! 現在の心境を松本素生(Vo&Gu)が語った。
取材:石田博嗣
ニューシングルは新しいGOING UNDER GROUNDの音になってますね。
それは良かった。5人の時の後期の3年ぐらいって新しいGOINGというものを作ろうとしてたんですけど、なかなか壊わせなかったんですよ。前作『LUCKY STAR』はいいアルバムだし、今でも聴くし、ライヴでもやってるんですけど、実はバンドの在りかたに…幼なじみの5人でやっていた関係性に限界を感じていたんです、今思うと。で、洋一さんが脱退するってことなったんですけど、その理由もシンプルで“もう音楽はやらない”と。だから、音楽をやりたい4人が残ったんですよ。そこで関係性が変わりましたね。俺はメンバーを尊敬しているし、“この音、好きだな”って思う音を出すヤツなんですけど、今のつながりってそこだけなんです。もちろん、友達として好きなんだけど、音楽をするのにそれは必要ないっていうか。
洋一さん脱退後は素生くんや丈さん(ドラムの河野丈洋の愛称)がソロの活動をしていましたが、バンドでの地下活動ではなく、まずは個々が何かをやろうと?
洋一さんが辞める前に、俺らの中で2009年は音源を出さないって決めてたんですよ。このままやってもルーティンになるだけだからって。ライヴはやってましたけどね。
では、新しいGOINGを始動させるにあたって考えたことは?
“基本に帰ろう”ですね。“なぜ、このバンドをやってるの?”っていうところで、単純に“だって、楽しんだもん”って言える…そこに辿り着いたんですよ。一発だけなんですけど、年末に4人になって初のワンマンライヴがあって、その時に“今の俺たちがやりたいステージは、これだ!”って思ったんですよ。自分たちがやりたい曲を、やりたい演奏でやる。“今日はこの曲を弾き語りでやりたい”とかね。戸惑う人もいるだろうけど、まずは俺たちがこれをやりたいんだって。そのライヴで手応えを感じて、『LISTEN TO THE STEREO!!』の制作に入ったんです。
そんな今作はプロデューサーがいて、しかもBEAT CRUSADERSのヒダカさんなのですが、なぜヒダカさんと?
このバンドが一回壊れて、それを立て直すにはプロデューサーが必要だったっていうよりも、ヒダカさんが必要だったんです。いろんな音楽にも精通しているし、何よりもメロディーメーカーだし…最初にヒダカさんをナンパした時にヒダカさんなりの分析を聞いたんですけど、間違いないなって。ヒダカさんは男感をクローズアップしたいって言ってたし、俺たちとしてもシンプルにやりたいっていうところで話が噛み合って…でも、その話の後にすぐ制作に取りかかったわけじゃなくて、逆に作らないようにしてたんですよ。すぐに作り出すと発注されたみたいで嫌だったから、“今、やってます!”とか言いながら漫画を読んだり、レコードを聴いたりしてました(笑)
そうしながら曲が降りてくるのを待ってた?
そうですね。ギターを抱えて作るっていうんじゃなくて。で、レコーディングの1週間前ぐらいかな。図書館の帰り道にふっと“♪Listen to the stereo!! tonight! ~”って降りてきたから、それを曲にしてメンバーのところに持って行ったら、“このAメロとBメロの真面目さは何?”ってとやかく言われて…でも、確かにそうだったんですよ。ちゃんと作ってあるというか。“もっとダラダラでいいんじゃない”って丈さんがさっと弾いたものが良かったんで、それに肉付けしてAメロとBメロにしたから共作ってかたちになったんです。
今までのGOINGだったら、素生くんが持ってきたものがそのまま採用になっていたかもしれない?
絶対にそうだと思う。もっと分かりやすく言うと、メロディーに甘えていたと思うんですよ。メロディーの力を過信しすぎていたし、“いいメロディーだったらそれでいいじゃん”みたいなところがあったんですよね。でも、バンドってそういうことじゃないだろうって。音符的には大したことないけど、バンドで鳴らした時の説得力がすごい…そういうものが、今は楽しいんですよ。だから、ただのバンドマンに戻ったというか。“10年以上やってんだぞ”とかっていうのは、もうどうでもよくなった。
歌詞の内容もメッセージがどう乗っていうよりも、洋楽っぽいっていうか、曲を作った時のテンションのまま書いたようなものになってますよね。
そこもどんどん補正されていった感じかな。“この歌詞、なんか真面目じゃない? なんで、ちゃんと落とすところに落とそうとしてるの?”みたいなことを言われて、“なるほどな。だったら、最初の仮歌で歌ってたヤツでいいや”って。だから、この曲を作り終わった時に“あっ、これだな”って思えましたね。それはサウンドメイクとかじゃなくて、2010年、GOING UNDER GROUNDというバンドをやっていく基本的な感覚として。でもね、インディーの頃ってこういう感覚で曲を作っていたはずなんですよ。自分たちの枠を決めるのも大事なんですけど、そこにとらわれすぎると可能性を狭めてしまうんですよね。
でも、それを壊せたから、ここに辿り着けたんですよね。そういう意味では、カップリングも含め、今回のシングルには今のバンドのテンションが出せという感じですか?
150パーセントぐらい出てるんじゃないですかね。でも、“こっちの方向に行くんだ”って解釈されてしまうのは嫌なんですよ。『LISTEN TO THE STEREO!!』は側面でしかないから、次回作は裏切らないと(笑)
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