【FUNKIST】色彩豊かな感情を描く、
7つの熱き魂たち

L→R 住職(Dr)、オガチ(Per)、春日井陽子(Flute)、ヨシロウ(Gu)、JOTARO(Ba)、宮田泰治(Gu)、染谷西郷(Vo)

境界線という壁に挑み続ける音楽集団、FUNKISTのメジャー2ndアルバム『FUNKIST CUP』。優しく、熱く、心を震わせ踊らせてくれる色彩豊かな楽曲たちは、まさに7人の足跡だ。染谷西郷(Vo)とヨシロウ(Gu)のふたりが語ってくれた。
取材:金澤隆志

1曲目「Traveling」はアカペラで幕を開け、“今からライヴが始まる”というワクワク感をかき立てますね。

染谷

実はアルバムの収録曲中で一番最後にできた曲なんです。アルバムの1曲目は新鮮な驚きを与えたいからシングル曲にしたくなかった。同時に、シングル曲に匹敵するパンチの効いた曲じゃないとダメ。だから、この曲にはすごく時間をかけましたね。

ヨシロウ

メッセージ性が強い曲は歌の邪魔をしないようにと楽器のアンサンブルをシンプルに抑え気味になることが多いんだけど、最初の時点でまだ歌が入ってなかったので、みんなやりたい放題で。アルバムの頭一発目でFUNKISTが飛び出してきた感じを感じてもらいたいですね。

センチメンタルな「mama」は、個人的な体験がベースになっているそうですね。

染谷

知り合いの方のお母さんが亡くなった時、その人を勇気付けるために書いた曲なんですよ。インディー時代から応援してくれた方だったので、どうしても贈りたくて。自分に置き換えてみても、母親への感謝の気持ちというのは言おうと思ってもなかなか言えないので、そういった想いを掘り起こしながら書きました。少し照れ臭いけど、これを照れずに出せるかどうかが重要なことでもあるので。

ヨシロウ

こういう根っこの部分をしっかりとやれないと、バカなこともできないですからね。

「Wonderful World」は“おはよう、おやすみ、ありがとう、さようなら”という歌詞が印象的でした。

染谷

普遍的な、誰もが共有するものを書いた曲です。初回限定盤に付属しているDVDにも収録されている、去年の8~9月の南アフリカツアーに合わせて書いたテーマ曲ですね。その前の4月にも南アフリカに行っていたので、その時のことを思いながら書きました。

「Don't cry baby」は染谷さんが病気になった時の体験が基になっているそうですね。

染谷

19歳の時に病気になって、もう長く生きられないことを宣告されたんですね。その後、いろいろと手を施した結果治ったんですけど、その時は“また今度やればいいや”と、いろいろなことをおざなりにしたことをすごく後悔して…。好きだった人になぜ思いを伝えなかったのか、って。その時以来、命はいつ終わるか分からないという思いが、すごく自分を生かしているんですよ。で、その想いで歌詞も変わるんです。もし今書いた歌詞が最後になったら“これがアイツの最後の想いだったのか”と思われるわけだから。この曲には“愛する気持ちや大切な気持ちを伝えたい、伝えてほしい”というメッセージが込められています。いい思い出ではないのでずっとフタをしていたけど、今の歳になってようやく向き合えるようになり、歌詞にしました。

春日井陽子さん作曲のインスト「Smile Children」は、フルートの音色の優しさが染み渡る曲ですね。

染谷

女性ならではの愛を感じますね。陽子ちゃんが世界中の子供たちへ贈った曲です。言葉がないからこそ伝えられるものがある、というのが分かる曲ですね。

「South Africa 2010」はシングル「Snow fairy」のカップリング曲「South Africa 2009」の完全版ですね。

染谷

「Snow fairy」の時は1番だけだったので、ライヴでやるにあたって2番を作ったんですね。これまで僕が書く南アフリカの歌って悲観的なものばかりだったんですよ。楽しい曲を書くのは不謹慎という思いが強かったので。でも、去年2回ツアーで行って、音楽でひとつになれたことで壁が壊れた気がしたんです。それで、やっと書けたポジティブな歌がこれ。

「Ole! オーレ!俺!」は、FUNKISTならではの能天気な応援歌!

ヨシロウ

7人を応援してる応援ソングですね。もともとはインディー時代に無料配布用に作った曲なんです。

染谷

2年前のSHIBUYA-AX公演の客入れSEでかけたんだけど、音量が小さ過ぎて誰も気付かなかったという(笑)。メジャーでのリリースにもかかわらず、録音したのがパーカッションのオガチの家です(笑)。

ヨシロウ

近所迷惑なんで、頭から布団かぶって歌ったりして。

染谷

せっかくFUNKISTのアルバムなんだから、僕たちのバカな顔も見てもらいたい(笑)。“一緒に音鳴らしたらこんなに楽しいんだぜ”というのが伝わればいいですね。

「Sun Baby」はフルートの春日井陽子さんに贈った曲? “陽=Sun、子=Baby”ということですね。

染谷

ええ。病気療養中だった陽子ちゃんにみんなで手紙を書いて、そこに綴られた言葉をベースに歌詞を作りました。陽子ちゃんにはこの曲の存在はずっと黙っていたんだけど、普段スタジオには来ているから内緒にするのが大変で(笑)。全曲完成した時点で種明かしをしたら、陽子ちゃん号泣でした。で、最後にこの曲のフルートを入れてもらったんです。陽子ちゃんがライヴに戻ってきて7人でこの曲を奏でていくうちに、きっと聴いてくれている人たちへの応援歌になっていくと思います。

ラストの「愛のうた」は曲前の空白が長いですね。

染谷

他は曲間が1~2秒とかなんですけど、ここだけは8秒間。前の「ムーンライズ カーニバル」でエンドロールが流れて、アンコールが「愛のうた」というイメージなんです。最初は“ラララ…I Love You”というサビ、しかも大合唱というのはどうかと思っていたんですけど、日本中、そして世界でライヴしてきて、その中で多くの人たちと理解し合えた、つながれたと思えた瞬間は絶対に本物だった。それを表現できるのがこのサビだし、別に臭かろうが関係ないなと思えて。

では最後に、それぞれこのアルバムを漢字1文字で!

染谷

“優”。絶望、悲しみと、いろいろな場面があったけど、これが自分たちの歩いてきたものの答えなのかな、と。

ヨシロウ

“俺”(笑)。俺らがFUNKIST!ってことで。

FUNKIST

01年に結成。染谷西郷(vo)、宮田泰治(g)、ヨシロウ(g)、春日井陽子(flu)、JOTARO(b)、オガチ(per)、住職(dr)からなる7人編成。日本のみならず、南アフリカ、アジア、インドなど、世界中所狭しと駆け回り、年間100本を超えるライヴを繰り広げてきた生粋のライヴ・バンドである。

染谷の故郷でもある南アフリカ仕組みのビートフルなリズムに染み入るメロディー&リリックが混ざり合い、ジャンルの壁を超えたFUNKIST独自のスタイルを生み出した。些細な日常の様子から世界中の様々な問題までを等身大の自分達で表現するその音楽は“笑顔あり”“涙あり”聴く人の心を掴んで離さない。そんな彼らのオーディエンスを巻き込んでのライヴは、老若男女問わず人と人を繋げ、国境も超えられる程の熱い想いで地球規模の大切なメッセージを伝えている。

08年4月、SHIBUYA-AXにて開催されたワンマン・ライヴで大成功を収めたことが皮切りとなり、5月に催された『9条世界会議ヒロシマ』では6,000人を超える観衆を前に圧巻のパフォーマンスを披露。そして7月には、<ポニーキャニオン>より1stシングル「my girl」でメジャー・デビュー。09年7月に10-FEET主催の『京都大作戦 2009』へ参戦、サブ・ステージながら1,000人以上を集客するなどしてFUNKIST旋風を巻き起こした。

アーティスト