【lego big morl】曲のためにみんな
が
世界観を擦り合せていく
L→R アサカワヒロ(Dr)、タナカヒロキ(Gu)、カナタタケヒロ(Vo&Gu)、ヤマモトシンタロウ(Ba)
4人だけの音に確信し、さらなる高みへと挑戦した最新アルバム『Mother ship』。柔軟に解き放たれたサウンドは、個性的でしっかりと己を持っている楽曲たちを表現。制作方法から心境まで、著しく変化を遂げた本作について語ってもらった。
取材:ジャガー
1stフルアルバム『Quartette Parade』は、そのままライヴへ持っていっても違和感なく演奏できる、この4人でしかできない音を突き詰めた作品でした。それを踏まえた上で、今作は4人以外の音を積極的に取り込み、より世界観を広げていますよね。
ヤマモト
今までと曲の向き合い方が変わってきたというか。以前のアルバムはまさに今おっしゃっていただいた感じだったんですよ。歌、歌詞、サウンド、メロディー…と、曲の世界観を全員が同じように把握して、“じゃ、そこへ向かうにはどういう表現ができるのか?”っていうアプローチでしたね。
ヒロキ
シングル「溢れる」を去年の夏に出した時には、今回収録されているものの曲作りをしてたんですけど、まだその時は2ndフルアルバムをこうしようって明確に話し合ったわけでもなく。ただ、今までとはちょっと違うフレーズだったりをカナタが持ってきたんで、それを重ねていった感じです。
となると、本作は上京後の楽曲が中心になっているのでは?
ヒロキ
そうですね。なので、影響した曲がちらほらあったり。もとからあった曲もあるんですけど、東京に来てから詰めた作業をしたのもあって、少なからず影響はあると思います。
上京しての音楽活動というのは、いかがですか?
ヤマモト
音楽で活動していくんだったら、環境の優れてる東京でやらないといけないなってメンバー全員の決心が付いたんで、バンドにとっての転機になったかなと。自分たちもぬるま湯に浸からずにすむというか。
カナタ
東京に出てきたことで、音楽に集中できた。大阪だったら友達もいるし、どこに行けば何があるっていうのも分かってるし…とにかく誘惑が多い(笑)。けど、東京で行くところって言ったら、スタジオかメンバーの家しかなくて。“今日、うち米多いから来ない?”とか(笑)。生死を実感しましたね、気持ち的なところで…まぁ、自分の心の弱さが原因なんですけど。そういう音楽以外の面でも、自分たちにとってはすごく良い経験になりました。
いろんな経験を積むことで、音や言葉に深みが増したように思います。例えば歌詞だと、焦点を絞った書き方をして、情景が浮かびやすくなりました。
ヒロキ
それはありますね。狙ってるところがピンポイントというか。ひとつのフレーズをみんなで同じイメージに持っていくのと一緒で、歌詞も「カーラ」だったら“カーラ”というイメージを整えた上で考えていきました。今までは、“この辺りに当たればいいかな”って感じでやってたのを“これはこういうのがいい”っていうような。
アサカワ
どの曲も内容は濃いけど、ちゃんとつながりがあって聴きやすい。早いうちから流れが決まっていた「東京リュックサック」「バランス」「大きな木」は、やっぱり気持ち良くて。こういうアルバムができてよかったなって改めて思います。
曲を押し出すことで必然的にバンドの存在感も出ますね。
ヤマモト
自分というオリジナリティーをどう出していくのかをこだわったからじゃないですかね。人がやったことのない変わったフレーズを弾けば、当然耳に付くじゃないですか。でも、今回はそういうオリジナリティーではなくて、弾き方であったり、抑揚の出し方とか、細かなところで自分の色を出すってことを考えました。その曲に対してのイメージは、その曲だけのものなんで、そのイメージをいかに楽器で表現するのかが、一音一音の世界だったんで難しかったですね。
アサカワ
ドラムに関しても1曲1曲のイメージが強いし、歌詞も届きやすくてメロディーもすごく良かったので、世界観を大事にしました。ニュアンスを崩さないように作り上げていきたいなっていうのがありましたね。前作は、どっちかっていうと詰め込む作業というか…リズム隊でも、いろいろ難しいことをやってたんですけど、そういうことよりも曲が持つ雰囲気を大事にしたくて。
今作の指針を示した楽曲はあったのでしょうか?
ヒロキ
「隣の少女と僕と始まり」とか。アルバムの曲作りの原形となる作業ができた曲ですね。イメージを共有して、曲のためにみんなが世界観を擦り合せていくっていう方法で結構早くに曲が完成したんで、これをきっかけに全てが始まり、「space dive」が決め手になりましたね。
カナタ
とにかく変わりたい一心でした。それと同時に、自分から出てくるものをもっと信じたいというか…これまで自分をあまり信じずにあちこち遠回りすることが多かったんですけど、今回は自分から出てきたものを信じて進んでこれたので、これからはもっと自分を信じていこうかなと。
そして、プロデューサーに小林武史氏を迎えてのアルバム作りということで、既に発表されている「溢れる」や「ドリルドリル」もアレンジの変化で、すごく新鮮に響いてきました。
ヒロキ
4人以外の音のジャッジっていうのが、今回初めてで。小林さんがスパイスを効かせてくれた僕ら以外の音を、最終的に評価するのは僕たちなわけで。いろいろ話し合うんですけど、なにせ初めてなことだからジャッジするのに時間がかかりました。
カナタ
(ヤマモト)シンタロウがプロツールスを使えるようになったし、僕も鍵盤が少し弾けるんで、曲に対するアプローチがしやすくなって、こちらのプレイの幅が広がったのをきっかけに、音探しから曲作りが楽しくなって。小林さんとのやりとりの中で勉強できたり、いろんな部分でレベルアップできたかな。
おそらく、本作を携えてのツアーはこれまで以上に面白いものになりそうですね。
カナタ
今回のツアーは、アルバムをいかに表現できるかっていう楽しみが含まれるから、ツアーへの意気込みは去年よりも増すはずです。絶対にそういうモチベーションになるので。
ヒロキ
対バンツアーでは対バンさんと一緒にイベントをどれだけいいものにできるかっていう楽しみと打ち上げ(笑)。ワンマンは当たり前だけど僕らだけですし、前回よりワンマンの本数も増えてるので気合いも入ります。
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