【NICO Touches the Walls】生の実感
を鋭く突き付ける渾身の一曲
L→R 古村大介(Gu)、光村龍哉(Vo&Gu)、対馬祥太郎(Dr)、坂倉心悟(Ba)
ライヴではすでに披露されている「Diver」が、ついにシングルとしてリリースされる。彼らの高い表現力が存分に発揮された名曲だ。光村龍哉(Vo&Gu)が高3の文化祭で歌った曲「友情讃歌」の青い甘酸っぱさも要注目!
取材:田中 大
「Diver」はライヴではもうやっていますよね。
光村
そうなんです。2010年の前半にやった『ミチナキミチ』っていうツアーで新曲を1曲ずつ披露していて。そのうちの1曲が「Diver」です。ライヴのアンケートでも反応が良かったのが、「サドンデスゲーム」とこの曲でした。「サドンデスゲーム」がお祭り騒ぎの曲だとするならば、「Diver」は心に訴えかけるシリアスな側面がある曲ですね。4人で足並みを揃えて、イントロからガッ!とお客さんに向けて放つような曲が欲しいと思っていたんです。たくさんのお客さんとシングアロングする気持ち良さをイメージして、サビのメロディーは作りました。
対馬
ライヴで初めてやった時はドキドキだったんですけど、お客さんに良い聴かれ方をしている感じがしました。“この新曲、どうなんだろう?”っていう感じではなくて、最初から楽しんでくれている手応えがあったので。
光村
最初にやった時はもっとテンポが遅くておっさん臭い感じだったんですけど(笑)。でも、この曲は内に熱いものを秘めている感じがあったので、こういうアレンジになっていきました。ギターも繊細な部分はありつつ、ガツンとしたものがありますし。ギターっぽく表現するならば、マーシャルのアンプをチョイ歪みくらいで弾いていたのを、フル10にした感じというか。
坂倉
『ミチナキミチ』でやった曲の中でも、最初からこれは自信がありましたね。意気込みはすごくあった記憶があります。1年をかけて成長させた曲ですけど、それってインディーズの頃みたい。当時の曲はライヴで成長させて、大事な曲になっていったので。
この曲、ギターソロがカッコ良いですね。
古村
さっきみっちゃん(光村)がフル10ってことを言っていましたけど、せっかくそうするなら、やっぱり弾かずにはいられないですよ。2009年頃はギターソロがない曲を作りたいとか言っていたみたいなんですけど、今は多分弾きたい時期なんだと思う(笑)。
このバンドって、演奏する喜びに満ちているのも大きな魅力だと思うんですよ。
光村
ライヴだと、どんどん音をデカくしたくなるバンドだし。今って客席の音は大きくても、ステージ上の音は小さいバンドが多いけど、うちはステージ上の音も大きい。“昔のバンドみたい”って言われたことがあります(笑)。
「Diver」はベースのスライドの音でスタートするのも、渋くて痺れるポイントですね。
坂倉
こういうのは初めてですね。そもそも僕から曲が始まることが今までなかったので。だから、たまに無意識でドラムのカウントを待っちゃって、“あっ、この曲は俺からだ!”ってなりますけど(笑)。
古村
始める瞬間はどういう気持ちなの?
坂倉
まあ、そうだね…なるべくカッコ良くというか。
古村
みんなを背負っている感じ?
坂倉
そこまではない(笑)。
対馬
いや、曲がそこから始まるわけだから、そういう気持ちが大事なんだよ!
(笑)。あと、歌詞が印象的です。とことん潜って溺れた末に、光を見出していくようなイメージがあるじゃないですか。独特の世界観だと思います。
光村
“息をしたくて”とか、かなり憂鬱なことを歌っていますけど、そういう気持ちをお客さんと一緒に吐き出した時のカタルシスみたいなものがある曲です。
普通の歌詞だったら“溺れるのは苦しいから早く水面に上がりたい”ってことを描くと思うんですけど、この歌詞ってとことん溺れようとしているじゃないですか。
光村
テーマは“生きる”ってことだったから、“生きてるってどういうこと?”を考えました。辛いことばかりの毎日は嫌ですけど、辛さを感じられることすらも生きている証なんだということをみんなと共有して、生きていることを確かめられる曲にしたかった。どんな人も心のどこかで思っていることを描けたと思います。サウンドだけじゃなくて、言葉の部分もみんなと共有して感じ取れる曲だったらうれしいです。僕はリアリストだから歌詞を書く時、綺麗事ばかりを言うことはできなくて。いろんなことを気付かされたり、自分の本音が詰め込まれたものでありたい。そういう意味で「Diver」はすごく痛くて辛い曲なんですけど、音楽だからそういうことを良いかたちで表現できるんだと思います。歌詞って読みものではない。この曲の歌詞はすごく苦しいけど、そういうものを吐き出すことに意味があるんですよね。音楽的なことを詰め込めた曲です。
音楽って言葉だけじゃなくて音色とかメロディーとか、いろんなものが融合するからなのか、とことんヘビーなことを表現しても、不思議とすがすがしさや前向きさが醸し出されることがありますよね。
光村
そうなんですよね。音楽にするからこそきちんと吐き出せて気付いてもらえることってある。僕らは音がでかい、あつかましい感じの音のバンドだけど(笑)。だからこそ、こういう「Diver」みたいな曲を歌って、きちんと人に届けられる面はあるんじゃないかと思います。この曲はすごく自分たちらしいですよ。
アーティスト
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