【サンボマスター】こういう時代だし
、とにかく希望を歌いたかった

L→R 近藤洋一(ベースとコーラス)、山口 隆(唄とギター)、木内泰史(ドラムスとコーラス)

フジテレビ系ドラマ『スクール!!』の主題歌でもある、シングル「希望の道」を完成させたサンボマスター。カップリングには1月に行なわれた、アコースティックスタジオライヴを完全収録。希望しかないこの作品から新しい光が差し込む!
取材:フジジュン

シングル「希望の道」をリリースするわけですが、カップリングには1月16日に行なわれたアコースティックスタジオライヴを完全収録。USTREAMで生中継される中、僕は生で観覧させてもらいましたが、ものすごく良いレコーディングでした!

山口

いや~、嬉しいですね! 木内が突然、“山ちゃんが言ってたアコースティックライヴってアイデアはいいね”って言い出してね。俺、そんなこと言ったのも忘れてたし、“いいねって言っても大変だよ!?”って言いながらやったんですけど。そう言ってもらえるとやって良かったですね。

木内

俺も気軽な気持ちで言ったんですけど、まさかカホンがあんな大変な楽器だとは…(笑)。

山口

木内が言い出したことはね、毎回ろくなことがないんですよ! 全曲ライヴ(2007年9月1日@両国国技館で行なわれた全55曲、6時間超のライヴ)とかさぁ。

木内

アハハハハ! 結果、みんな“良かった!”って言ってくれるけど、確かに過酷なことばっかりだね(笑)。

山口

でも、USTREAMではかなりたくさんの人が観てくれたらしくて、ありがたいことですよね! まして、現場まで来てくれた業界人の方なんてね、よっぽどの物好きですよ!!

何言ってんの! “あんな貴重な現場に居合わさせてもらって、本当にありがとうございました!!”ですよ。

木内

ライヴの生中継ってUSTREAMではよくありますけど、ライヴであり、レコーディングでありっていう現場をみんなに観てもらうことはなかなかないですしね。

“今、まさに音楽が作り出されている瞬間を目撃しているんだ”っていう感動もありましたね。

山口

だから、あの雰囲気をみんなに観てもらえたのは良かったですよね。最初アコースティックでやるって言った時、俺がアコギを持って、近ちゃんがベースを持ってたんだけど、あまりグッとこなくて。“俺、エレキ持った方がいいかな?”ってエレキに持ち替えて、近ちゃんがアコギ持って。こんなこと言ったらあれだけどアコギはね、近ちゃんの方が上手いんですよ(笑)。で、やってみたらやっぱり良かったんですよね。そこから、いつもと作り方が違うから難しかったですけど、“これで雰囲気がバシッと決まれば、それで良いんでねぇか?”ってところまではいけて。

木内

もともとアコースティックをやろうって言った出発点が、“俺らの曲が本来持っているメロディーの良さをより良く聴いてもらえるんじゃないか?”ってところが狙いで。それが上手くできたと思うので、すごく満足しているんです。

山口

まず、「歌声よおこれ」とか、ギターで始まる曲は近ちゃんから始まりますからね。それだけで面白いですよね。

そう。ただアコースティックでゆっくり演奏してるだけじゃなくて、ちゃんと別モノとしてセルフカバーできているというか。シングルのカップリングには贅沢すぎるよ!

近藤

言ったら、セルフカバーのミニアルバム付シングルですから。そんなの聞いたことないでしょ?

確かに(笑)。でも、前作にも下北沢シェルターでのオーディションライヴの音源が収録されていて。山ちゃんがMCで“とにかくね、こういう面白いことがやりたいの”って言ってたけど、結成10年過ぎてそんな原点に立ち帰るところが良いなって。

山口

3人の関係が悪くなるようなことは止めようってのはいつも考えていて。3人でちゃんと喋ればぶつかることはないし、周りの賛否両論みたいなものがあっても3人が良ければいいんじゃないかって。それでやってこれたから、今もそういう気持ちでできるんじゃないですかね?

サンボマスターに限っては、解散や活動休止はないね(笑)。

山口

ないない! 今、日本にいるバンドで一番解散に遠いバンドじゃないですかね?(笑) 辞めたら友達もいなくなっちゃうし、な~んにもなくなっちゃうんだから。

ダハハ。シングル曲「希望の道」は、フジテレビ系ドラマ『スクール!!』の主題歌として放送中ですが、また名曲完成ですね!

山口

この曲は2010年に学園祭を回っていた頃、フジテレビさんに名指しで“ドラマの主題歌を作ってほしい”って言っていただいて。ありがたいなと思って作り始めたんですけど、ま~、時間がなくてね(笑)。曲はストックがあったから良いんだけど、それをかたちにしなきゃいけないから。移動中も3人で話し合ったり、地方でもスタジオ借りて。

近藤

“ギリギリまで待ちます”って言ってくれたんで、本当に年末ギリギリまで作業して。間に合って良かったです。

バンド3人で一発録りってわけにもいかない曲だしね。

山口

いやいや、一発録りですよ! ピアノもジャズ畑の人だったんですけど、一発録りなんですよって話したら、理解してくれて。ストリングスも大変でしたよ! 一回決まったものを木内が納得しないって言い出して。

木内

そうそう。家で聴き直すとなんか納得しないなぁって。次の日にアレンジャーさんの家まで行って(笑)。

山口

でもまぁ、それもあって良い曲になりましたからね。この曲では新しいロックンロールがやってみたくて。昔、ロックンロールはPTAをぶっ飛ばせみたいなことを言ってましたけど、時代は変わってPTAも熱狂するような素晴らしいロックンロールがたくさんありますから。そういうこともひっくるめてやってみたかったんです。

卒業ソングにも聴こえる「希望の道」は、実際に卒業式で鳴っていてもおかしくない曲だし、メロディーも合唱曲にもなるような耳馴染みの良さがありますよね。

山口

ワーって歌うより、こっちの方が雰囲気合ってるかなって。みんなの胸に響く曲になれば一番ですけどね。

歌詞もそうだけど、この曲には希望しかないです。

山口

どうかなと思う歌詞もあったけど、歌っちゃえって。こういう時代だし、とにかく希望を言いたかったんです。ひな形があることをやるのはロックのかたちとしては分かりやすいんだけど、バンドがいつも新鮮であるためにも、新しいひな形となることをやり続けなきゃダメだと思っていて。3人が納得することを模索して、またひとつかたちになったのがこの曲なのかなと思いますね。

「希望の道」

  • 「希望の道」
    SRCL-7575
    2011.03.23
    1223円

サンボマスター

山口隆(vo&g)、近藤洋一(b&cho)、木内泰史(dr&cho)が00年に結成。山口の狂気じみた渾身のヴォーカルと、ソウル魂が炸裂するファンク・サウンドでインディーズ・シーンの中でも異彩を放つ存在となり、様々なコンピレーションに参加。03年、オナニーマシーンとのスプリット・アルバム『放課後の性春』をメジャー・レーベルからリリース、同年リリースした1stフル・アルバム『新しき日本語ロックの道と光』が爆発的ヒットを記録した。その後、“コザック前田と泉谷しげる”やYO-KINGのシングル「審美銃」のバック・バンドをつとめたり、松尾スズキの映画『恋の門』の主題歌に「月に咲く花のようになるの」が選ばれたりと、音楽関係者やアーティスト筋にもに絶賛されている。要チェック。

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