【ヒツジツキ】それぞれが想像する“
地下室の君と僕”の物語を描いてもら
いたい

L→R 宮田佳征(Dr&Cho)、堤 俊博(Vo&Gu)、和田奈裕子(Ba&Cho)


取材:土内 昇

小説のような物語性や世界観を持ち、聴く者の想像力を掻き立てるヒツジツキの楽曲。現在、彼らは“地下室の君の三部作”をテーマとしたコンセプチュアルな作品をリリースし続けている。その三部作で何を描こうとしているのかを、堤 俊博(Vo&Gu)に尋ねた。

三部作で僕にとっての“地下室にいる君と僕”の物語を表現しようとしています。その世界や登場人物は三部作中ずっと一貫しているので、登場人物の状態、心境、関係性なんかを聴く人なりに感じ取ってもらって、それぞれが想像する“地下室にいる君と僕”の物語を描いてもらえればな、と思っています。“地下室”は暗喩の意味合いでもあるので、自分が愛している人にとっての“地下室”とは一体何なのか、それを知っているならそこにどう自分は向き合えているのか、向き合うべきなのか…ということを併せて考えてもらえれば、共感できることも多いんじゃないかなと考えています。

第一弾の1stミニアルバム『rumpus room』に続く第二弾となるのが、今年1月にリリースされた2ndミニアルバム『closet classic』。今作で描こうとしたものは、どんな物語だったのだろうか?

前作は“僕からの君への手紙たち”がテーマで“僕”視点だったのですが、今作は違う視点になっています。前作の『コーダ』という曲の中で起きていたことなのですが、地下室の中の“君”は何かを必死に表現してるんですね。僕の中での“君”は、ヘンリー・ダーガーという絵描きに感化され、自分が思い描く何かしらの物語の挿絵をずっと描き続けている人なんです。今作は、その絵の物語たちとは一体どんな話だったのか、というのがコンセプトになっています。

そんな“地下室にいる君と僕”の物語を描く楽曲たち。その主人公となる“僕”も“君”も孤独を背負っているように感じたのが印象深い。

鋭い読みですね(笑)。そうです、『rumpus room』の“僕”も、『closet classic』の“君”も、孤独を抱えて生きています。お互いがお互いを必要とし、欲しているにもかかわらず、ふたりが生きるあまりに違う世界の境界線が払えない。ひとりでは生きられないと分かっていても、どうしても壁を払えない悲しい孤独感。ただ、実はそれに苦しんでいるのは自分ひとりじゃないんだと思えるような、聴いた人が孤独だけどひとりじゃないんだと思えて、救われるような音楽をやりたいと思いながら音楽をやっていますので、孤独感への救いは意識しますね。

ヒツジツキ

ヒツジツキ:神戸、大阪、京都の関西三都在住、窓辺の多重奏を歌う文学系3ピースシープバンド。2005年に鴨川のほとりで決起。06年3月に本格的に活動をスタートさせた。優しく、悲しく、激しい世界の物語を軸に、その登場人物たちの“心”を歌う。メンバー各々がクセのある音を放ち、喧噪・静寂を行き来しつつもストレートで人間的な感情表現を生み出している。

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