【joy】全部が整理されていない感じ
が
自分の中での正解なんです
L→R 釜谷雪花(Key)、小瀧 恵(Dr)、天田優子(Vo&Gu)、本間友大(Ba)、松本泰樹(Gu)
男女混成5人組バンドjoyが、アニメ『エウレカセブンAO』のエンディング曲として流れている「アイオライト」でメジャーデビューする。作詞作曲を務める天田優子(Vo&Gu)にバンドや楽曲についてたっぷり訊いた!
取材:高橋美穂
メジャーデビューは、目標ではあったんですか?
いや、気付いたらこうなっていたっていう(笑)。基本的に音楽以外のことを何も考えられないんですよね。
じゃあ、どんな感じで結成されたのでしょうか?
私以外のメンバーは専門学校が一緒なんです。大阪の専門学校で出会って、ずっと大阪で活動していました。キーボードは上京するタイミングで変わったんですけど。最初は楽しそうだからやり始めた感じで、友達のバンドがレコーディングしているのを見て、“そうか、バンドをやっていたらレコーディングするんやぁ”って気付いたり(笑)。もっとバンドをカッコ良くしたいとは思っていましたけど。
音楽に対しては探究心が強いけれど、それに付随するお金とか名声とかに対する欲は、あんまりないというか。
そうですね。でも、自分たちがやってきた音楽に対しては“いいでしょ? いいでしょ?”って思うから、そういう意味で、もっとたくさんの人に聴いてほしいというのはあったし、メジャーデビューできるかもってなった時はすんなり受け入れられましたね。
天田さん自身が、joyに可能性を感じているのですね。
昔の曲も好きなんだけど基本的に飽き性なんで(笑)、次はこんなことしようかなっていうのがどんどん出てくるんですよね。あんまり制限も設けてないですし。
ちなみに個人的なルーツは?
もともとはカラオケが好きやったんで、歌うために女性ヴォーカルの曲を聴いていて。でも、大学に入った頃にはスタジオの人に教えてもらって、toeとかNATSUMENとかインストを知ったんです。最初は分かんなかったんですけど、そういうものを演奏する機会があった時に楽しさを覚えて、そっから考え方が変わっていったんですよね。
それはjoyの音楽性にもつながっていますか?
joyを始めた時は、歌も楽器みたいに使えたらいいなって実験したりしていました。でも、ライヴをするうちに一般の人は歌詞を聴いてるんだって気付いてびっくりしたんです。私、あまり歌詞を聴かないほうなんで。それから、昔はライヴで“インストがよかったです”って言われることもあって、その時は少し気持ちが揺れたんですけど…自分で曲も歌詞も書いて歌っているからには、もっと歌を伝えないと意味がないって今は思うようになりました。ただ、いろんな曲ができるっていうのがjoyの持ち味だから、たまにはインストとかも入っていいのかなって。
聴き手とも向き合って楽曲を作っているのですね。
ちょっとずつそうなりましたね。聴いてもらって初めて実現するっていうか。音楽って楽しいもんやってみんな言うけど、私は楽しいっていうよりは気持ちいいっていう印象があって。シンクロしている感じが。
そうすると、歌詞の書き方も変化していったのでは?
そうですね。ただ、私自身が押し付けがましくされるのが嫌いなので、聴き手にある程度委ねられるようにはしています。
では、今回のシングル「アイオライト」の歌詞は、どのように書いていったのですか?
アニメ『エウレカセブンAO』のあらすじを読んで、その内容に合わせて“自己実現”をテーマにして書きました。でもそのテーマの中で、いろんな捉え方ができるようになっていると思います。結果的に自分自身のメジャーデビューに対する心境と少しリンクしたところもあったし。
ちなみに“アイオライト”の意味は?
石の名前なんです。花言葉や石言葉が好きで、よく検索するんですけど、サイトによって書かれていることが、ちょっとずつ違ったりするんですよ。でも、アイオライトは同じ逸話があって。昔、航海の時に羅針盤代わりに使われていた石っていう。光の当たる角度で色が変わるからそれで方向が分かったと言われていて。道標になる石だということや、『エウレカセブンAO』の舞台が海であることからも、ぴったりやなって思って、付けたんですよね。
さっきインストの話も出てきましたけど、全部がインストにならなくてよかったなって思って。天田さんの歌声が特徴的じゃないですか。これは活かすべきだろうって思いますよ。
ありがとうございます。自分のことなんで、声が特徴的って言われても自分ではよく分かんないし、“もっといい人いるやん!!”とか思うんですけど(苦笑)。ただ、いろんな声が出るねって言われるんで、そういう意味では武器にはなるのかなって。
そんな声に因るところも多いにあるんでしょうけど、メロディーはさわやかだけど、何処か癖がある楽曲ですよね。
そういうのが好みなんだと思います。普段共存していないようなものが共存した時の変なバランスが好きで。それに、自分が曲を書くと100パーセントどちらかに振り切ったものにはならないんです。パッと聴き明るいけど、3割は陰が混じってるよね、みたいなものになる。でも、全部が整理されていない感じが、自分の中では正解なんですよ。書いていると、嘘偽りなく、裏にある部分も出てきちゃうから。そういうのも含めて、joyは二面性を大事にしているんですよね。
二面性っていうところだと、2曲目の「malus」は天田さんの声を楽器のように使ったインストですよね。デビューシングルで、大きな降り幅を見せてきたなと思いました。
ずっと自分たちで思っているのは、本当にいろんな曲をやっちゃうんで、1曲2曲じゃ伝え切れないと思うんです。本当は、アルバムを聴いて全貌を分かってほしくて。でも、シングルでどうにかそれを見せようと思ったら、これくらい極端なことをやってもいいんじゃないかなぁって。
極端に見えて、joyにとってはベストなかたちというか。
そうですね。基本はちゃんと歌っていこうと思ってるんですけど、気まぐれなんで(笑)。これからも、思い付いたことは何でもやっていきたいです。
メンバーは、みなさん気まぐれなんですか?(笑)
みんなバラバラなんですよね(笑)。みんなが好きなものを好きなだけ追求してて、いいように言えば自由やけど、悪いように言えば協調性がないっていう(笑)。だけど、それがなぜかひとつになった瞬間、すごく嬉しいんです。
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