【日食なつこ】やるべきことが発見で
きた作品


取材:ジャガー

気高き歌声と美しい旋律を奏でるピアノ。弱冠21歳にして築き上げられた感情渦巻く楽曲の世界…根岸孝旨、伊賀 航、浦 清英といったサウンドプロデューサーをはじめ、錚々たる布陣が集結したミニアルバム『異常透明』は、日食なつこの魅力が余すことなく詰め込まれた一作だ。

バンドの音が入ったっていうのは大きいですね。他の楽器が入ることで聴き手により伝わりやすくなったんじゃないかと思います。ただ、『跳躍』や『floating journey』といった長く歌ってきた曲は、バンドで演奏するというイメージがなかなか沸かなくて。下手に自分で考えるよりも、せっかく素敵なアーティストのみなさんに力を借りることができたので、アレンジをお任せしました。

楽曲への愛情から新たな音を加えるという作業は慎重になったという。中でも、彼女の歌声に引き寄せられるように音が集まる「エバーシルバー」は聴き応え十分だ。

『エバーシルバー』だけ録音の仕方がちょっと違っていて。ひとつの部屋の中にピアノとベースとドラムの3人でせーので録ったんです。それこそエンジニアさんと“音を寄せていく曲にしたいよね”って話をしてたので、それも効果として出てるのかなと思います。

さまざまな刺激を受け、誕生した本作を本人はどう感じているのか?

作った時期も世界観も一曲一曲違うので、楽曲がバラけたことで華やかなミニアルバムに仕上がったなと喜びの反面、初めての経験ということで自分が及ばなかった点…バンドの音を組み込む際の明確なイメージだったり、アレンジに関する知識のなさですね。それがすごく悔しくて。『異常透明』という作品は完成したけど、まだまだ自分の中には手を出していける余白があるなと思ったので、まずはここをターニングポイントにして次を頑張っていきたいなと。やるべきことが発見できた作品でもあるので、“完成=スタート”。これからが楽しみです。

頼もしい発言を裏付けるように、早くも新曲「ビッグバード」が配信限定シングルとして発表された。

岩手朝日テレビ高校野球テーマソングとして、自分が応援しに行った記憶を掘り起こしながら書きました。全力で頑張っている選手たちを“君はできるんだ”って歌うより、その選手たちが放つ熱いオーラや一生懸命頑張る姿を感じてもらいたくて、楽曲は情景になるように歌いました。きっかけは高校野球ですが、“ひと夏、一生懸命になる”という思いで書いたので、みなさんに聴いてもらいたいです。

日食なつこ

ニッショクナツコ:1991年5月8日、岩手県花巻市生まれ。10歳からピアノを、12歳から作詞作曲を始める。高校2年の冬から地元盛岡にて本格的なライヴ活動を開始。『ストファイHジェネ祭り’09』東北エリア代表アーティストとして、ファイナルに進出。独特の歌詞の世界、力強い歌声で人間の弱さと強さを紡ぎ、人の心を揺さぶる。

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