【androp】僕が音楽に求めているもの
は“希望の光”
ミニアルバム3作『anew』『note』『door』に続く、androp待望の1stフルアルバムがついに完成! “人々の心に「希望の光」を灯したい”という力強い意志を込めた自らの楽曲の世界を内澤崇仁(Vo&Gu)に語ってもらった。
取材:道明利友
12曲目にも同名の曲がありますが、アルバムタイトルの“relight”は、どんな心情を込めて付けたものなのですか?
この曲の歌入れをしたのは、震災があった4日前ぐらいだったんです。で、この曲とアルバム自体のイメージがすごくリンクして、“relight”というアルバムタイトルにもつながったんだと思います。例えば、自分の中で今まで光っていたものがあるとするじゃないですか。で、それはずっと光っているものだと思っていたけど…今回の震災で僕が感じたのは、何か自分以外のものによって、その光が弱められたり、消されてしまうことがあるんだっていうことだったんですね。その弱くなった光だったり、消されてしまった光をもう一度灯したいと思ったんです。そういうことから、“再び灯す”っていう意味のある“relight”っていう言葉をアルバムのタイトルに付けました。
“光”というフレーズは、今回のアルバムの曲の中に多く見られますよね。そういうポジティブなイメージの言葉を歌詞に込めたいっていうのは、内澤くんの中でのこだわり?
こだわりというより…それが僕にとっては一番必要なものというか。僕が書いている曲のほとんどって言っても良いんですけど、“光”だったり、生きていく中での“希望”みたいなものを絶対に入れているんです。それは僕にとって一番必要なものだったり、“希望の光”だったり…僕が音楽に求めているものはそういうものなんです。
1曲目の「Strobo」は、その“希望の光”をアルバムのオープニングから感じさせる曲ということで、すごく印象的でした。
“Strobo”っていうのは、“光”じゃないですか。この曲は、その“光”に向かっていこうとする姿勢がすごく強いというか。“光”っていうのは、もちろん太陽をイメージするものでもあるし、自分が何かに向かっていく時に必要な道しるべになるようなものでもあると思うんですね。自分が行きたい場所だったり、見たい場所だったり、夢でも、希望でも“光”がないと、そういうものは何も見えないじゃないですか。その小さな“光”に向かっていこうっていう強い願いが、イントロのギターとか歌詞の最初の《はじまる》っていう言葉に表れていたりして。で、そのギターと歌の後ろに浮遊感のある音が鳴っていて、そこにさらにコーラスとベースとドラムとギターがガーンと鳴って、“広がり”が表現されるっていう。“光の一瞬を見るぞ”っていうようなイメージの、すごく広がりのある音像の曲だと思います。
そのオープニングから「ShowWindow」のような生音と電子音が融合するダンサブルな曲だったり、「Bright Siren」のようなちょっと不思議な雰囲気を醸し出すサウンドだったり、一曲一曲のカラーが違う多彩なサウンドアプローチも今回のアルバムは印象的なのですが、andropの曲作りや音作りにはどんな姿勢が根本にあるのでしょうか?
“やりすぎかな?”って感じる部分は省いたりしながら、自分の中から自然に出てくるものをかたちにするっていう感じで作っています。あえてテクニカルにしようとかっていうのは、全然ないんですよ。ただ、聴いている人が飽きないものだったり、後ろで鳴ってるサウンドが実は面白いものだったり…そういうバンドサウンドの上でメロディーが平然と鳴っているっていうのも面白いなと思うし。いろんな目線から切り取れて面白いと思える、飽きないと思えるものをやりたいっていうのが頭の中にあるから、こういう音楽になるのかもしれないですね。で、その僕らの曲を聴いてもらった人に自由に解釈してもらえたら良いなっていうのが、自分の中には一番にあると思います。
メロディー、歌詞、ひとつひとつの音色…どの部分にも、リスナーが“おっ!”と耳が惹かれるものがある音楽というか。
そうですね。一元的な見方だけではなくて、多元的な見方ができるような曲を作りたいっていうのはすごくあります。
確かに、さまざまなサウンドを緻密に構築して作り込まれている印象の曲もあれば、「Train」とか「Pray」みたいな衝動的なバンドサウンドも違和感なく並んでいますしね。本当に多元的なアルバムだと思います。
『Train』はライヴが終わった後に、良い意味で勢いに任せて作った曲なんです。今までとは違い、そこがすごく新鮮で。歌詞に関しては、懸命に人が何かに向かっていく姿勢に惹かれるっていう、僕自身の思いが強く出ている曲だと思います。『Pray』も『Train』と同様に勢いでいきました。そもそものイメージがバンドメンバー4人の勢いが伝わるものにしたくて。ギター、ベース、ドラムも結構シンプルなので、構築的なものじゃない面白さもあって。この勢いが聴いてくれる人にも、ライヴに来てくれるお客さんにも伝わればいいですね。
そのandropのライヴは、映像や照明とみなさんの演奏と融合させるとても独特なスタイルが注目されていますが、この手法はどんなきっかけから生まれたものだったのですか?
ライヴに対しては、最初はすごく難しいなと思っていたんです。自分たちの音楽を、自分たちの思いを100パーセント伝えるのは難しいことだと今も感じてるし…でも、ライヴっていうものの意味を考えたり、自分たちの音楽を聴いてくれる人がいるんならもっと良くしたいと思って行き着いたのが、映像だったり、照明だったりしたんですね。そういうものがあると曲に対するイメージが膨らんだり、もっと深いところまで受け取ってもらえるんじゃないか、伝わるんじゃないか、視覚としても感じられるもの、伝えられるものがあるんじゃないかと思ったし、そこからどんどん突き詰めていったら、自分もイメージ通りにできるようになってきて。そういうふうにバンドだけじゃなくスタッフも含めて、ライヴを作り上げているみんなでひとつのものをお客さんに伝えようっていう思いが強くて、今のこのスタイルができたんだと思います。
ライヴでは、聴覚だったり、視覚だったり、いろいろな感覚から楽曲の世界観を深いところまで伝えたいっていうことですね。
そうですね。CDを聴くだけでは得られない感覚っていうのを、ライヴでは表現できる。それによって、曲が持っているものをお客さんにさらに深く感じてもらえるんじゃないかっていう。そういうところで僕自身、ライヴっていうものに対して今は魅力を感じていますね。
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