【カルテット.】結成10年目を迎え、
ようやく言えた言葉

L→R NAL(Rap)、SAMON(Vo)、AViA(DJ&Trackmaker)


取材:ジャガー

音楽を発信する側と受け取る側の結び付きを第一に考え抜かれたアルバム『未完成』。“思いを届ける”ことにここまで意識が高まったのはタイトル曲「未完成」の誕生が大きいようだ。

「11カ月連続で配信シングルをリリースして、毎月まったくカラーの違う曲を出してたんですね。“カルテット.の音楽って何だろう?”って改めて考えさせられて。曲を作ることはもちろん、何をするにも終わりはない。いつも完成させたくて、そのための何かを求めている自分がいる。カルテット.は“4”って意味なのに、僕たちは3人組。“そこに君がいてカルテット.になる”…そう考えることができて、辿り着いた曲が『未完成』です。結成10年目を迎え、ようやく言えた言葉なんです」(NAL)

「本当に難産でした。けど、ふと偶然に運命の人と出会ったかのように、メロディーと歌詞が浮んで…自分の中にまだ知らない自分がいる。この曲はより強くそう感じた一曲でした」(SAMON)

「僕たち3人とあとひとり(=聴いてくれるあなた)との関係性を歌にしたいというイメージが最初にあったので、それがダイレクトに感じられるシチュエーション…すなわちライヴの瞬間を切り取ったようなトラックがいいなと。動画のように滑らかな映像ではなくて、その状況を俯瞰するような写真のスライドショーだったり、エンドロールみたいなイメージがありました」(AViA)

そして、リリックは酸いも甘いも経験してきた上での思いが吐露されている。夢見がちなところから現実を見てどん底に落とされることがあっても、ちゃんと自分を信じ抜く姿勢に奮い立たされた。

「もう三十歳だし、ヘタにカッコ付けたくないなって。飾り付けることなく、生々しい言葉を大事にしました。自分の中にあるポジティブさもネガティブさもいかに曝け出すかって」(SAMON)

そんなメンバーだけでなく、リスナーをも巻き込んで楽しもうとするカルテット.のスタイルが今回のデザインワークにも反映されている。

「ライヴって歌い手や聴き手の心境、場所によっていつも変化するものだから、CDでも同じことができないかってジャケットを塗り絵にしました。聴いた人の“君色”に染めてほしかったから。あえて、“未完成”を“完成”させるってのも面白いですよ(笑)。他にも、『ナイトトレイン』では車掌の声マネでラップしたり、『未完成』では単語をつなげて言葉のパズルを表現したり、アイデアでも勝負してます」(NAL)

「悩んで、迷って、寄り道して、遠回りして、ようやくひと筋の光が差して、向かうべき先へ一歩踏み出した、その軌跡を辿るようなアルバムだと思います」(AViA)

カルテット.

カルテット.:名古屋在住のヒップホップユニット。2010年より自主レーベルを設立、11年に“カルテット”から“カルテット.”へ改名。4人目最後の一枠、受け取ってくれる“あなた”を求め続ける。常時メンバー大募集中!! 三者三様、いや、四者四様のアイデンティティーがぶつかり合い生まれる音楽は常にはみ出し者。踊れてじんわり泣けるオルタナティブポップMuzic!!!!

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