【Prague】空前絶後! “瞬間”を封
じ込めた最新作

L→R 金野倫仁(Ba)、鈴木雄太(Vo&Gu)、伊東賢佑(Dr)

1月31日、渋谷CLUB QUATTRO。観客の見守る中、一発勝負でレコーディングされたニューアルバム『ある篝火について』。制作エピソード、当日の心境を3人が語る。
取材:田中 大

本作のアイデアは、どんな経緯で浮上したのですか?

鈴木

何かインパクトのあることをやりたいっていうのがずっとあって、いろいろ話し合っていたんですけど、“こんなことやったぜ!”って一番バンドとして胸を張れるのが、これじゃないかと思ったんです。

金野

でも、正直言って、やるまではどうなるかよく分からなかったです。それはスタッフも含めてですけど。スタジオでの一発録りとか、ライヴをただ録るのとは違いましたから。

鈴木

当日、演奏しながら、この企画の意味や意義を実感していきました。最初はアスリートが試合に臨むようなスポーツマンシップに則っていたかもしれないけど、途中から“お客さんと楽しんでるのもアルバムに入らなきゃ”って思うようになりました。でも、楽しさを感じられたのは途中から(笑)。

伊東

始まる前に、どれだけ逃げたくなったことか(笑)。あと、僕は1週間前にインフルエンザにかかって、本当に申し訳ないなと。本番前に治って良かったです。終わった後は開放感から、ひとり車で西のほうへ旅に出ました。雲ばっかり見ている1日があったり…。

鈴木

その気持ちは分かる(笑)。当日まで“緊張”という名の彼女と付き合っている感じでしたから。

でも、どの曲もすごくいいテイクが録れましたね。

鈴木

バンド内で鬼門だったというか、重要視していたのが「オカルト」と「オイルランプ」。この2曲は、リズム隊のふたりでノリをずっと研究していたよね?

金野

うん。演奏面のすごく深いところまで潜った曲です。ちゃんとひとつのかたちが作れたっていう感覚は、本番の1週間前までなかなかこなかったんですよ。

鈴木

Pragueってアレンジを複雑にしたがるバンドではあったんですけど、このレコーディングを見据えたことで、余計なことはしなくなりました。例えば、「トランスブック」なんて、2時間くらいでできた曲ですから。

伊東

「Fun Park」もそんな感じでした。(鈴木)雄太がパッと弾き始めて、本人から自然と出てきたメロディーが良かったんですよ。それをそのままかたちにしていきました。

鈴木

「インスタントスカイ」と「作戦C」はHemenwayのCharmにギターで入ってもらっていますけど、それは楽曲としての必然性があったからで。根本は“この3人は、こんなことができるんだぜ!”っていうのを言うためのイベントでした。自分たちでも終わった後で、“俺らはこんなことをできるんだな”ってことを再認識しましたね。

金野

個々のプレイヤーの魅力にも改めて気付きました。緊張感でいっぱいいっぱいになって、素っ裸になったからだと思います。あの瞬間のふたりはカッコ良かった。恥ずかしいけど…途中で涙しそうになることがありました(笑)。

伊東

俺は後ろからふたりを見て、いろいろ感じました。“子供を見る親って、こういうことなのかな?”って思ったり(笑)。雄太の曲間での進行も頼もしかった。今までに感じた中で、一番大きい背中でした。それを感じた時、すごく誇らしかった。その背中を見れば見るほど涙腺が緩んでいました(笑)。

鈴木

作り終わってすぐに、“次は何をしよう?”って考え始めていたのも嬉しい。“バンドとしてこういうことをしてやった!”って言い続けるのは楽しいし、大事だなと。今後もそういうことが言える曲とか、さまざまな活動をやりたいと思っています。

『ある篝火について』

  • 『ある篝火について』
    KSCL-2216
    2013.03.27
    3059円

Prague

鈴木雄太(vo&g)、金野倫仁(b)、伊東賢佑(dr)から成る関東出身のモダン・スリーピース・ロック・バンド、Prague(プラハ)。高校で3年間同じクラス、軽音楽部、プライベートも一緒にいた腐れ縁の鈴木と伊東の二人が、同じ音楽専門学校に進み、06年に金野と出会い結成。

自主制作盤を2枚出したところでレコード会社の目にとまり、09年9月に<キューンレコード>から1stシングル「Slow Down」でメジャー・デビュー。ジャンルを跨ぎながらもスタイルの海に溺れることなく軽やかに舞おうとするバンド・スタンスが特徴である。

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