【asobius】これよりいい曲を作れる
自信が今はありません
結成からわずか1年半で[Champagne]、BIGMAMAを輩出したRX-RECORDSよりミニアルバムをリリースしたasobiusがTOWER RECORDS限定ワンコインシングルをリリース!
取材:高良美咲
日本語のような英語のような一見不思議なバンド名の“asobius”。彼らの紡ぎ出す楽曲は、バンドを知らずに聴いただけでは洋楽と思ってしまうほどの壮大なスケール感を持つ。また、楽曲を際立たせる伸びやかで透明感のあるヴォーカルも特徴的だ。完成度の高い楽曲を次々に生み出す彼らだが、結成から2年足らずだというからさらに驚かされる。いったい、どのような経緯で結成されたのだろうか?
甲斐一斗
共通のバンドの友人がいるベースの海北くんに声をかけて、他のパートをmixiで募集したところギターの髙橋くんがきて、髙橋くんに知り合いを連れてきてもらいました。映画やゲーム、ディズニーアニメの音楽に影響を受けていたので、そこにポップさをバンド的なアプローチで加えて、人が幸せな気持ちになれるような音楽をやりたいと思い2011年10月に結成しました。バンド名は楽曲が英詞なので、英語のバンド名だと外国で被ったり埋もれると思ったのと、やはり日本人なので日本語を入れつつ決めました。
そんな彼らは結成からわずか1年半でRX-RECORDSより前作『Rainbow』をリリース。そこに辿り着くまでにはどのような活動をしてきただろうか?
甲斐一斗
最初の半年ほどは曲のクオリティーの基準になる曲として「I'm in the love」「antheme」「golden wombs」の3曲をバンドのすり合わせも兼ねて作曲していました。その後、その3曲を自主レコーディングして、デジパックで1000枚プレスして、無料で興味を持ってくれそうな人に渡しつつ、3カ月に一度ほどライヴをしていて、12年12月に結成後3度目のライヴでいくつかのレーベルから声がかかり、その時その中にいたのがRX-RECORDSだったんです。
楽曲制作に対する姿勢も意欲的だが、ライヴ、PVなどでは甲斐が歌いながらしなやかに指揮棒を振る姿がとても印象的だ。
甲斐一斗
僕が他の人のライヴを観たりしている時、ついつい手が落ち着かなく動いてしまうんです。せっかくだからこれを活かそうと思い、バンドというよりはお客さんと同調するようなつもりで指揮棒を振るようになりました。
そんな彼はLouis Armstrongの「What a Wonderful World」という曲を理想としているという。楽曲制作における際にどんなことを意識しているのかを尋ねてみた。
甲斐一斗
「What a Wonderful World」は歌詞も非常にシンプルで、人を選ばないというよりは全ての人を選んでいるという感じが好きなんです。楽曲制作については聴く人の気持ちを考えて作っています。特に、いつ聴くかについては、その日最初の音楽になりたいと思って作っています。
その意識のもと作られた洋楽さながらの楽曲たち。楽曲に負けないほどの存在感を持つ透き通ったヴォーカルだからこそ英語の歌詞がとても映える。歌詞を書く上で意識をしていること、英詞へのこだわりなどはあるのだろうか?
甲斐一斗
自分が作るメロディーは日本語と相性が悪いというか、自分ですごく気持ち悪くて許せないので英詞にしています。歌詞はできるだけシンプルにして、説得力は自分の歌で出すというスタンスで。
そして、前作から半年足らずでTOWER RECORDS限定ワンコインシングル「star light」を9月18日にリリース。軽快なクラップとそれに合わせたギターのフレーズ、リズムがとても耳に残る作品だ。
甲斐一斗
全てが思い通りにスッとできました。“みんなで幸せになる”という音楽を通してやりたいことをこの曲で体現してしまったので、作り終わって“あれ? できちゃった”というか、空っぽになってしまったというか、これから自分の中の曲作りは変わるんだろうなと思いました。自分の中で「star light」が良すぎたので、カップリングの「new morning」は対として作るなら、せっかくだから今までの自分ではできなかったことをチャレンジしようと作りました。前作のミニアルバム『Rainbow』の展開からすると意外かもしれませんが自分の中では地続きで、これからこういうこともいくらだってやっていいんだと思えました。今回作って思ったのですが、これよりいい曲を作れる自信が今はありません。燃え尽きました。聴きどころはやはり曲のさまざまな場面で使われるイントロのフレーズです。
自分が作った楽曲に絶対的な自信を持っているからこそ、奏でられる楽曲はさらに輝きを増し、凛々しくも感じるのだろう。そして、“音楽性はこれから広げたいという明確な意志はあります”とも語っていた。
甲斐一斗
個人的には作曲や楽器を弾くことに関してバックグラウンドが浅いので、ひと段落したらゆっくりとはいきませんが、オーケストレーションやシンセの扱い等の勉強や練習がしたいです。
まだまだ走り始めたばかりのasobius。楽曲制作に対しては意欲的で、たくさんの可能性を秘めている。最後に、リスナーへの気持ちを語ってもらった。
甲斐一斗
音楽を良いと思う時、その“素晴らしい”という想いはもともとその人の中にあって、それを再発見しているだけなんだと思います。僕はそのきっかけになれればそれだけで充分幸せです。
アーティスト
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