【ねごと】そこにちゃんと音楽が鳴っ
ていれば、バンドの概念なんて関係な
い
音楽専業となった4人組・ねごとが、10カ月振りのシングル「シンクロマニカ」をリリース。アニメ主題歌を表題曲とし、メンバーによるアフレコ、リミックス、楽器隊の“歌ってみた”と初体験を山盛りにした、その真意とは?
取材:清水素子
今春、メンバー全員が大学を卒業されたとのことですが、一番変わったことって何でしょう?
沙田
やっぱり、音楽に費やせる時間が増えたことですね。
蒼山
そのせいか、最近ライヴや曲作りがすごく楽しくて! 衣装を変えたり、この夏からは立ち位置も変えてみたり、どんどん新しいことを採り入れるパワーが出てきてるんです。
そんな中で生まれた「シンクロマニカ」は、なんだか不思議な曲ですね。浮遊感とともに高揚感が沸いて、日常というよりは近未来の世界が広がる感じ。
沙田
確かに現実的な感じよりも、ちょっと離れたところから見てるようなイメージはありますね。ねごとの曲って。
蒼山
「シンクロマニカ」もシンセの音が謎めいてたり、不思議な感じがあったので、その雰囲気を壊さない歌詞にしようって。だから、最後も“開く扉”でブチッと終わってるんです。
ええ。ビックリして続きを待っちゃいましたよ(笑)。
沙田
そこがねごとの醍醐味で、“もう一回聴こう!”ってなるじゃないですか。あと、ねごとにとっては疾走感も重要な要素なので、その疾走感とシンセの音で胸が熱くなるような音作りを目指しました。それと、覚えやすくてツルッと聴ける曲ってところですね。「シンクロマニカ」のポイントは。
蒼山
特にサビのメロディーが印象的だったので、そこに何か覚えやすい単語を入れようとして考え付いたのが“シンクロマニカ”だったんです。“シンクロ”と“ロマンチカ”を組み合わせた造語なんですけど、“シンクロする=気持ちが通じ合う”って簡単なようで難しいじゃないですか? 目に見えないし、かたちにもできないし、通じ合った証拠も持てない。でも、ギリギリまで近づいていく、そのトキメキを楽しめたらいいなぁ…っていうイメージで、歌詞も広げていったんです。
沙田
それで頭と最後にクラップ音を入れてるんですよ。手を叩くと勝手にシンクロするじゃないですか。そういうシンクロしたくなる要素はどんどん入れていきましたね。
蒼山
結果、そのシンクロ感が物語に合うということで、フジテレビ系アニメ『ガリレイドンナ』のオープニングテーマに起用していただけたんです。真っ直ぐなメッセージ曲ではないから、どこで共感してくれるかは聴く人次第だけれど、ここ最近の曲のテンションとは違う、またひと皮剥けた私たちがココにはいるので、まずは手に取って聴いてほしいですね。
沙田
アニメ映像とのハマりもピッタリなんで、ぜひ『ガリレイドンナ』もチェックしてください!
アニメも近未来を舞台にした物語ですし、ほんとにピッタリです。それで初回生産限定盤では、アフレコに挑戦を?
蒼山
はい。ここまでシンクロできたんだから、楽曲提供だけじゃつまらないと。書き下ろしのショートストーリーで、それぞれ『ガリレイドンナ』のキャラに扮してみたんです。
沙田
各キャラクターの性格を踏まえて演じたら上手くハマって、なりきるって面白いなぁって思えました。もうひとつ、初回盤では「メルシールー」(2011年発売シングル)を楽器隊がそれぞれに歌うというチャレンジもしているので、これで若い子たちが“自分も歌おうかな”って思ってくれたり、音楽に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいです。
蒼山
私からすると“こんなふうに歌うんだ!”って、すごく新鮮でしたね。それぞれの個性を改めて確認できました。
さらに通常盤のほうでは、くるりの「ばらの花」のカバーと、「Lightdentity」(2012年8月発売シングル)のリミックスも収録されていますね。
沙田
今までも洋楽曲をカバーして入れたことはあったけど、今回は邦楽でやろうってことになり、メンバー全員が好きな曲を選ばせていただいたんです。アレンジのテーマは“異国”。レコーディングでもコンガを叩いてたり、南国の夢の島を舞台にした「ばらの花」かな。リミックスは私ひとりでの作業だったので…過酷でした(笑)。今までリミックスはバンド外の方にお願いしてたんですけど、自分の作品をもう一回見直すチャンスなんじゃないかと思って挑戦してみたんです。
蒼山
ピアノがきれいに入っていて、瑞紀らしさもあって、すごく良かった! オリジナルが元気になりたい時に聴きたい曲なら、コッチはひとりで静かにいたい時でも聴けますね。
それにしても、これだけ多くの挑戦を一作に詰め込んだのは、なぜなんでしょう?
蒼山
今、ねごとが新しく変わっている時なので、その意志表示もしたかったし、裏を返せば、新しいことをしても“今”を楽しめてる私たちがいるってことなんです。そのひとつひとつが入口になって、全部を飲み込んでいけたらいいなって。
沙田
“バンドはこうあるべき”っていう概念にとらわれたくないんですよね。“バンドがアフレコやるの?”や“楽器の人が歌っていいの?”って言われても、そこで音楽がちゃんと鳴ってるんだったら、あんまり関係ない。そういう垣根を取っ払った上で、自分たちの中でキテるもの、面白いと思えてるものを堂々とかたちにすることが重要だから、ビックリだけじゃない何かを持ち帰ってもらえるんじゃないかと思ってます。
11月の東名阪クアトロを回る『SYNCRONIGHT TOUR』でも、きっと素敵なシンクロが起きるでしょうね。
沙田
はい。やっぱりライヴって、同じ空間の中でみんなと一番シンクロできる場所じゃないですか。だから、それをクアトロサイズで楽しめるのはすごく楽しみ!
蒼山
今回、対バンにも同世代のバンドを呼んだんですよ。同じ世代のバンドと一緒に音楽を盛り上げたいという気持ちは強いので、これをきっかけにライヴに足を運んでくれる人が増えたらいいですね。廉価で気軽に観られるライヴもあるんだって知らない子も多いから、もっとライヴの楽しさを伝えたい。そのために10月からの学園祭ツアーでも、良いステージと良い瞬間を与えられるように頑張ります。
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