【家入レオ】新たな制作スタイルにチ
ャレンジした意欲作
シャープでヘヴィでストレートというワードの選び方でメッセージを放ってきた彼女が、解釈を聴き手に委ねるイメージ重視の詞世界を初めて描き出した「太陽の女神」。強さとしなやかさの成長が、楽曲に歌声に表れている。
取材:竹内美保
デジタルシングルとして発表された「君に届け」からのきれいな流れでありながら、進化もはっきりと表れていると感じました。まず何より、詞、言葉の世界が今までの作品と比べると若干抽象的かな?と。
そうなんです! 以前は自分の経験や物事に対して感じた部分が言葉になっていないと“嘘だ”って言われる気がして。自分が作った作品が100パーセント確実に相手に届かないと何か突っつかれるんじゃないかという不安があって、すごく怖かったんです。だから、表現もストレートでしたし。でも、今回は“曲”そのもので自分を表現する作り方をしてみたいと思えたんですよね。だから、この「太陽の女神」はドラマ(『海の上の診療所』)の“出会いと成長”というテーマとストーリーに沿ってイメージして制作していきました。自分が経験したことがないことでもちゃんと自分なりに理解して作ることができて、そしてそれを信じて歌うことができたらそれは嘘じゃないと思うこともできましたし、そういうふうに“曲”で表現してみた新しい自分を感じてもらうことが私自身の成長にもつながって、それがまた新しい出会いを呼んでくれるんじゃないかな、と思っています。
その時点で実際の経験がなくても、自分の心の中に存在するものや描けていることって、自分にとってはひとつの真実だったりしますしね。いつかそれを経験する時のイメージにつながるかもしれないし。
はい。私が思っていること自体が経験したことに近いものもあるんじゃないかな、と思います。あと、さっき“歌詞が抽象的”と言われましたけど、今回は比喩表現を多く使っているんですよ。この歌詞に込めたメッセージは“大切なものはすぐ側にある”ということなんですけれど、それも比喩っぽく《僕の心に刻み込まれた 太陽の女神は そっと 背中照らしてくれる》という表現にしてみたり。“大切”という言葉はあえて使っていないんです、今回は。
心に思っていることをそのまま言葉にするという作業が、本当の意味でできたのかもしれないですね、今作で。
そうかもしれません。聴いてくださる方をちゃんと信じられるようになれたからこそだと思います、それは。だから、この曲は聴いてくださった方が感じるままに受け止めていただけることが一番いいな、と思っています。
受け止めた人が自分なりにまた消化しながら、いつの日にか“あ、この歌って本当はこういうことを歌っていたのかもしれない”というのも大事な気がしますし。
私が表現したかったことをすぐ分かってもらいたいと一方的に思っていたけれど、聴いてくださった方それぞれの解釈で受け止め方も異なるんだな、と思えるようになって、自分なりに一歩成長できたような気がしています。
《花は咲いてた 壁に向かって》という一節も抽象的な表現ですが、これはすごく映像が見えてきます。具体的なそれそのものというよりは、イメージとして。
この歌詞は実は何度か作り直したんですけど、ここだけはこだわって表現したかったところなんです。絵が浮かぶとおっしゃっていただけて嬉しいですし、この言葉があることで、より意味を深く感じていただけるといいなと思っています。
逆に“信じてみよう”という言葉は、レオさんのリアルな部分が明確に表れているように感じました。
やっぱり“永遠”ってどうしても難しいところがありますから。《永遠に願いを捧げてる》と書いていますけれど、私はまだ18歳で“愛ってあるのかな? ないのかな?”というところで揺れている部分もあるし…だから、“信じている”ではなくて、“信じてみよう”なんです。この部分は嘘なく私自身の思い、考えていることがリアルに綴れたと思います。
メロディー、サウンドの妙もグッとくる曲ですが、声の乗せ方がビート感を重視しているところにも耳を奪われました。
この曲は西尾(芳彦)先生と一緒に作っていったんですけれど、最初はギャンギャンのギターバージョンだったのをピアノバージョンにアレンジを変えたんです。でも、聴きやすくて歌いやすいものだと単調すぎて飽きてしまうので、覚えやすくて歌いにくいメロディーで(笑)、アレンジにもちょっと毒を入れつつを心がけて。歌い方も、ロックな中にもちゃんと耳に引っかかってくれるような声の使い方を心掛けました。
そして、「君に届け」は2曲目に収録されていますが、この曲では現代社会のメインテーマのひとつが取り上げられていますね。
この曲は西尾(芳彦)先生と一緒に作っていったんですけれど、最初はギャンギャンのギターバージョンだったのをピアノバージョンにアレンジを変えたんです。でも、聴きやすくて歌いやすいものだと単調すぎて飽きてしまうので、覚えやすくて歌いにくいメロディーで(笑)、アレンジにもちょっと毒を入れつつを心がけて。歌い方も、ロックな中にもちゃんと耳に引っかかってくれるような声の使い方を心掛けました。
そして、「君に届け」は2曲目に収録されていますが、この曲では現代社会のメインテーマのひとつが取り上げられていますね。
私たちの世代って生まれた時からSNSが身近にあって。すごく便利だなと思う反面、手の中で友達のその時の気持ちが更新されていくことで相手のことが分かりすぎて辛くなったり、自分自身のことも真実と違う情報が更新されていったり…。そして、簡単につながれるものは簡単に切れることも知ったり。だから、現実の世界で人と人が話すこと、それでつながっていく大切さも忘れないようにしたい、という思いを込めています。
3曲目「Who’s That」は歌詞がブッ飛んでいて驚きました。
アハハハハ。そうなんです! かなり遊べました、この歌詞は。最初書いたものはもっとすごくて、スタッフの方々に“これは…”と言われたぐらい(笑)。先ほど「太陽の女神」と「君に届け」の流れがきれいとおっしゃっていましたけれど、実は私もそう思っていて。それでもう1曲は思いっ切りロックな曲を入れたかったんです。ライヴでも一緒に思いっ切り歌い弾けることができる、忘れたくても忘れられない楽曲を目指して。音楽の中ではいい子でいたくない私を表現してみました。
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