【INKT】さらに攻め込んだ2ndミニア
ルバム『サイサリス』

L→R mACKAz(Ba)、SASSY(Dr)、KOKI(Vo)、kissy(Key)、Kei(Gu)

昨年11月にデビューアルバム『INKT』をリリースした後、そのモダンヘヴィロック直系のバンドサウンドとエモーショナルなヴォーカルを軸にした音楽性によって急激に注目を集めているINKTから、2ndミニアルバム『サイサリス』が届けられた。前作『INKT』よりもさらに攻め込んだサウンドは、ロックファンを中心にした幅広いリスナーに支持されることになるだろう。
取材:森 朋之

初ライヴによってがっちり掴んだ、INKTというバンドへの確信

INKTの結成は2013年11月で、昨年のデビューアルバム『INKT』と今年1月の1stライヴによってバンドの基盤はかなり出来上がってきたと思うのですが、ここまでの手応えはどうですか?

Kei

音源が完成した段階では“本当にこれでいいのかな?”みたいな瞬間があったんです。自分たちはやりたいことを詰め込んだけど、これがどんなふうに受け入れられるのか不安があったというか。でも、ライヴをやることでそれが解消されたんですよね。すごくいいリアクションがあって、“やっぱりこれでいいんだ”と思えました。

KOKI

一番最初の東京でのライヴはいっぱいいっぱいでしたけどね。最初のブロックは記憶がなくて、半分くらいまできたところで“あ、落ち着いてきた”って感じで。2回目の大阪でのライヴでようやく楽しむ余裕が出てきた感じなんですよ、正直なところ。でも、今Keiが言ったように、そこでスタートラインに立てたという感覚は強かったです。

mACKAz

俺らがいくら“カッコ良い”と思っていても、それがどう受け止められるかはライヴをやってみないと分からないですからね。一発目のライヴはみんなガチガチで無我夢中でしたけど、それでもお客さんは盛り上がっていたので嬉しかったですね。

音楽的な方向性も明確になってきた?

Kei

具体的なことは何も話してないんですよ。まず“このメンバーでバンドをやりたい”というのがあって、“じゃあ、音を出そう。曲を作ろう”という中で自然にできたものをかたちにしたのが1stアルバムだったので。

SASSY

自分らがカッコ良いと思うもの、初期衝動を詰め込みました。その後のライヴによって“誰が作った曲でも、この5人でやればINKTになる”という自信が付いたんですよ。それを経て、今回の『サイサリス』はもっと攻め込んだアプローチになっていて、すごく手応えがありますね。

なるほど。ちなみにメンバーのみなさんの音楽的なルーツというのは?

Kei

全員バラバラです。

KOKI

キャラもルーツもみんなバラバラですけど、INKTとしてやりたいことは共通していて。それが強みだと思うんですよ。

こうやって話していても連帯感がすごく伝わってきます。

KOKI

普段、音楽の話は一切しないんですけどね(笑)。

何の話をしてるんですか?

mACKAz

アニメ?

KOKI

そうだね。“今期のアニメは…”とか。

Kei

“あのオープニング曲、カッコ良いよね”って。もともと友達同士なので、急に仕事仕事した話にもならないというか。

KOKI

逆に恥ずかしくなるよね。

Kei

うん。自然に話している中で“そう言えば次の曲、こういうのはどう?”みたいな話になったり。で、“よし、やりますか!”ってなったら、スイッチが入るんですよ。そこはすごく自然にやれてますね。あと、最近kissyの自宅をプリプロ部屋として使わせてもらってるんですけど、作業が終わってからも、わりと終電ギリギリまで遊んでます。

KOKI

秘密基地ができました(笑)。

『サイサリス』の楽曲についても訊かせてください。まず1曲目の「Wanderlust」はkissyさんの作曲ですよね。

kissy

やっぱりライヴの中で見えてきたことが大きいんですよね。“このパートでこういうフレーズが欲しい”とか“ここでKOKIに叫んでほしい”というポイントを具体的に作れるようになってきましたね。

ピアノのフレーズも目立ってますね。

Kei

目立ちポイントですね(笑)。鍵盤がいるということがINKTの特徴でもあるので。

KOKI

うん、そこはキーポイントかなって。…そういうことを言うと調子に乗るのでやめておきますけど。

(笑)。プレイヤーとしてアピールすることが、バンドの音楽性の広がりにつながってますよね。

kissy

ありがとうございます。ライヴで弾けるギリギリまで攻めてるので。

Kei

ギリギリを超えてることもあるけどね(笑)。

KOKI

kissyの曲、難しいんですよ。すごくカッコ良くて、メロディーはキャッチ―なんだけど、実際に歌ってみると“あれ?”って。

mACKAz

歌えちゃうから、また欲しがっちゃうんだよね。“もっとイケるんじゃね?”って。この前、1stアルバムの曲をカラオケで歌ってみたんですよ。その時、“あ!”って思いました(笑)。KOKI、頑張ってるんだなって。

KOKI

スタッフの人たちにも気付いてもらえましたね(笑)。 ードラムはどうですか? デモの段階では“これ、人間には叩けないよ”みたいなリズムとかも…。

SASSY

ちょいちょいあります。それがすごくカッコ良いから、いかに自分語に直しつつ再現するかを考えていて。そういう意味では、曲に育ててもらってますね。録り終わった時はいつもいい感じでレベルが上がってるので。

Kei

共通の認識として、ポップス感っていうのもあるんですよね。変に難しくしたり、プレイヤーだけが気持ち良くなるんじゃなくて、ポップであることに対する意識はあるんじゃないかなって。

なるほど。アルバムリード曲の「サイサリス」はアルバムの中でもっともアグレッシブなロックチューンで、Keiさんの作曲なのですが、ギターのリフでガツンと攻めてますね。

Kei

そうですね。これはまさに“前作よりも攻めたい”というところを直にかたちにした曲だと思います。作曲したのは僕ですけど、みんなに肉付けしてもらって、さらに熱くなった。この曲もピアノが入ることでガラッとイメージが変わったんですよ。kissyに“エロいピアノを弾いて”って渡して。

kissy

この曲に関してはジャズのアプローチしかしてないんですけどね。

Kei

そう言われた時は“え、どこが?”って思いましたけど(笑)。

kissy

曲ができてみて、総合的にはもちろんロックなんですけどね。僕のアプローチがジャズっていうだけで。Keiさんのアイデアをもとにして、“こうしたらINKTらしいし、もっとカッコ良くなる”ということを考えた結果なんですよ。

Kei

kissyは明らかにバックボーンが違うからね。

kissy

クラシック、ジャズ、R&Bです。

Kei

最初にこの5人で音を出した時、“歪ませるギターはKeiさんが初めてです!”って(笑)。

ハードなロックバンドをやることが初めてだったと。

KOKI

それがプラスになってるんですよね。型にハマらないというか。

mACKAz

俺らもジャンルには捉われてないですからね。“ロックはこうじゃないとダメ”みたいなことを決めると、つまらなくなるので。

KOKI

うん。迷走ではなくて、ジャンルレスなバンドになれてると思います。これからもどんどんいろんなことができると思うし。楽しみですね。

歌詞はKOKIさんが手がけてますが。

KOKI

基本は僕が作りますが、大筋できてきたら細かいニュアンスはみんなに相談しながら仕上げていく感じですね。

Kei

作曲者が(歌詞の)イメージやテーマを持ってくることが多いんですけど、そこから話をして膨らませてもらう感じです。

KOKI

“サイサリス”って植物の“ホオズキ”っていう意味からきているんですが、ホオズキには“偽り”っていう花言葉があって…というところから膨らませて。曲によっては“社会風刺を込めてほしい”という時もあるし、全部任せられることもあるし、やり方はバラバラですね。

KOKIさんの色気のあるヴォーカルも印象的でした。

Kei

そこに関しては、こちらから何も言わなくても出てくるので。

KOKI

レコーディングの時に“乳首触ってみようか”とか言われますけどね(笑)。

Kei

ハハハハハ! え、それ言っちゃう?

mACKAz

“エロさをブーストして”って(笑)。

KOKI

作曲者がディレクションすることが多いんですけど、それも楽しいですね。kissyは伝えるのが下手なんですよ。“グワーっとなって、ヒュッと締めたい”とか(笑)。

3曲目の「The Gift」はどのようなイメージで制作されたのですか?

kissy

ライヴで盛り上がる曲が欲しいと思って。

KOKI

SASSYが“ギフト”っていうワードを出してきたんですよ。イメージを聞いたら、“僕らを応援してくれるファンの人たちに向けたギフト”って。

SASSY

ライヴへのベクトルも強かったんですけど、明確なテーマがあったほうが伝わるだろうなって。

アーティスト